驚愕の日本企業収益性向上、その秘密と持続性<後編>

[3]日本企業が築いたグローバルビジネスモデル、海外が巨大なプロフィット・センターに

 日本企業の海外部門の収益寄与がいかに大きくなっているか。以下では経済産業省海外事業活動基本調査(海外事業活動をしている6500社からアンケートを得ており、カバレッジと信頼性は高い)から全体像を探ってみる。残念ながらこの統計は2016年度が最新であり、直近の2017、2018年の法人企業統計経常利益率上昇の直接の要因分析にはつながらないが、以下の分析を見れば、最近の利益率向上に、海外部門が大きく寄与していることは、ほぼ明らかであろう。

守りの海外進出から攻めの海外進出へ

 日本の製造業の海外進出は1980年代、貿易摩擦と円高に対応した、電気機械と自動車産業の北米、アジア進出から始まった。特にアジア進出は現地の安価良質の労働力確保が最大のねらいであり、いずれも守りの進出であったといえる。しかし低賃金追求要因は2007年の32%から2016年には16%まで低下しており、代わって市場確保と最適生産といった攻めの要因が海外進出の動機になっている。図表12に見るように海外生産比率(海外進出企業における)は1980年代の10%台、1990年代の20%台から、直近ではほぼ4割に上昇した。また海外雇用人員は、2010年代に入りほぼ550万人で頭打ちとなっており(図表13)、日本企業のグローバル・サプライチェーンはほぼ確立し終えたとみられる。

海外が巨大なプロフィット・センターに

 摩擦、円高などのリスク回避から出発した日本企業の海外拠点は、今や巨大なプロフィット・センターとなっている。図表14に見るように、製造業の海外法人経常利益額を国内法人経常利益合計額と比較すると、海外利益の比重が著しく高まってきたことがわかる。1993年にはわずか製造業3.8%(全産業1.4%)であった経常利益の海外対国内比率は、2000年に製造業10.3%(全産業8.8%)、2005年製造業18.1%(全産業14.7%)、2010年製造業27.4%(全産業23.4%)、2016年では製造業27.9%(全産業16.2%)と大きく充実してきた。しかも国内利益には海外子会社からの配当、ロイヤルティなどの支払いが含まれている。2016年度に製造業企業が海外子会社から受け取った収益はロイヤルティ2.2兆円、配当金2.6兆円、その他を含め合計5兆円にのぼる。国内製造業の経常利益合計(法人企業統計)は24.4兆円であったので、そこから5兆円を差し引けば、製造業の純国内経常利益は19.5兆円となる。他方製造業の海外子会社の経常利益合計は6.7兆円であるが親会社への支払いロイヤルティ2.2兆円を戻して加えれば8.9兆円となる。こうして製造業にフォーカスすれば、国内の親対海外の子の利益比較は2対1の割合となる。加えて、国内親会社は海外子会社向け販売で当然マージンを得ている。それらを考慮すれば、今や日本の製造業企業の利益の半分近くは海外部門が稼いでいる、と言って過言ではないだろう。
 
 
 

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