S&P 500月例レポート(2018年5月配信)

●企業業績

 2018年第1四半期の企業業績で重要な点は次の3つです。まず、第1四半期の業績予想が2017年末から10.4%引き上げられ、EPSは過去最高を更新する見通しであるほか、2018年予想、2019年予想ともに8.3%引き上げられています。第2に、営業利益率は過去20年間の平均が8.08%であるのに対して、2018年第1四半期は現時点で、過去最高の11.75%となっています(これまでの最高は2017年第4四半期の10.27%)。第3に、売上高は前年同期比9.0%増と好調で、過去最高を記録した2017年第4四半期(年末商戦)に次いで2番目の高水準となっています(ただし、前期比では-3.1%)。これまでに決算発表を終えた企業の業績は良好でしたが、好業績への期待感が高かったため、株価の上昇は限られました。現在、279社が第1四半期の決算発表を終え(時価総額では全体の63.7%、企業数では全体の55.2%)、事前予想を上回った企業は217社、予想を下回ったのは46社、予想通りだったのは16社でした。

 売上高では、完全に比較可能なデータのある276社のうち200社(72.5%)で予想を上回りました。これまでのところ、予想を上回った割合が最も高いのは33社のうち31社(93.9%)で、営業利益が予想を上回った情報技術セクター、次いで30社のうち28社(93.3%)が予想を上回ったヘルスケアセクターとなっています。一方、冴えなかったのは電気通信セクターと公益事業セクターで、実績が予想を上回った企業数は、電気通信セクターでは2社のうち1社、公益事業セクターでは10社のうち5社で、いずれも50%となっています。金融セクターは概して好調で、トレーディング収益の改善も追い風となり、52社のうち41社(78.9%)で業績が予想を上回りました。全体としては、第1四半期の営業利益は過去最高を更新する勢いを示し、前期比10.9%増、前年同期比30.1%増となっています。

 米国の一般会計原則(GAAP)に基づく公表利益は、税額控除の評価減に関連して費用が発生したことを背景に、2017年第4四半期に減少しましたが(法人税率引き下げにより、繰延税金資産の将来価値が減少するため)、2018年第1四半期には大幅に増加して、過去最高を更新する見通しです。

 会社発表の2018年通期の業績見通しは引き続き堅調で、特に2018年第1四半期予想の引き上げ幅が大きく、第1四半期末からは5.2%、年初来では10.4%引き上げられています。2018年通期の業績見通しは、2018年第1四半期末からは1.3%、年初来では8.4%引き上げられました。2019年予想は年初来で8.4%引き上げられています。

●トランプ大統領と政府高官

 米連邦捜査局(FBI)は、2016年米大統領選へのロシアの介入を調査しているロバート・モラー特別検察官が提供した情報に基づき、トランプ大統領の弁護士の事務所を家宅捜索しました(報道によれば、当該情報はモラー特別検察官が発見したものの、同氏の調査とは関連性がないようです)。トランプ大統領は家宅捜査に関してFBIを非難しており、同大統領がモラー氏を解任するのではないかとの観測が広がっています。ポール・ライアン下院議長は、任期満了(2019年1月)をもって議員を引退する意向を表明しました。

 マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官(同氏はトランプ大統領から国務長官に指名され、議会の承認を受けました)が極秘に北朝鮮を訪れ、金正恩朝鮮労働党委員長と会談しました。トランプ大統領と金正恩氏の会談に向けた計画が進展しています(交渉内容よりも開催地に関して)。

 フランスのマクロン大統領がワシントンを訪問しました。トランプ、マクロン両大統領は表面上「友好的な関係」を取り繕いましたが、マクロン大統領はトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」に対抗して、世界は団結する必要があると公式の場で発言しました。ドイツのメルケル首相も訪米し、トランプ大統領と会談を行いました。両氏は、表向きは融和的な姿勢を示したものの、通商をめぐる合意には至りませんでした。

 トランプ大統領から退役軍人長官候補に指名されたロニー・ジャクソン氏(元ホワイトハウス担当医)は、経験不足と報道された「素行」面の問題を理由に議会からの猛反発に合い、指名を辞退しました。

 米最高裁判所が、トランプ大統領が発動した渡航禁止令に対する審理を行いました。最終的な判断は6月に予想されます。現段階では、最高裁が渡航禁止令を阻止することはないとみられています。トランプ大統領は、鉄鋼・アルミニウム関税の適用例外措置に関する決定を2018年6月1日まで1カ月先送りしました。

●利回り、金利、コモディティ

 米国10年国債の利回りは一時3%の水準を突破し、終値でも3%を上回ったものの、月末は3月末の2.74%から上昇の2.95%となりました(2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。英ポンドは3月末の1ポンド=1.4028ドルから1.3767ドルに下落し(同1.3498ドル、同1.2345ドル)、ユーロも3月末の1ユーロ=1.2303ドルから1.2081ドルに下落しました(同1.2000ドル、1.0520ドル)。円は3月末の1ドル=106.41円から109.29円に下落し(同112.68円、117.00円)、人民元も3月末の1ドル=6.2990元から6.3337元に下落しました(同6.5030元、6.9448元)。

 原油価格は3月末の1バレル=64.96ドルから5.4%上昇し、68.45ドルで月を終えました(同60.09ドル、53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は、3月末の1ガロン=2.764ドルから2.961ドルに上昇して月を終えました(同2.589ドル、2.364ドル)。金価格は3月末の1トロイオンス=1,329.40ドルから1,316.10ドルに下落して月を終えました(同1,305.00ドル、1,152.00ドル)。VIX恐怖指数は月中の最高が25.72、最低が14.57となり、3月末の19.78から16.05に低下して月を終えました(同11.05、14.04)。

 中央銀行関連のニュースでは、FRBが大幅な経済成長の拡大を見込み、インフレ率が2%に達することに自信を深めている一方、貿易戦争を下振れリスクとみなしていることが、2018年3月会合分のFOMC議事録で示されました。FRBの地区連銀経済報告では、地区連銀が関税の影響をやや懸念していることが明らかになった一方、12地区全てで雇用の伸びが示されました。欧州中央銀行(ECB)は予想通り政策理事会で政策金利を据え置き、緩和的な金融政策を再確認しました。日銀も政策金利と政策を据え置きました。

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