企業価値向上の実践~塩野義製薬の‘自分ごと化’

・一方、抗HIVの新薬が2013年に承認を得て、グローバルに動きだすことになった。英国のViiV社(グラクソスミスクライン:GSK系)と共同開発したテビケイ(HIVインテグラーゼ阻害薬)が2017年に向けて大型新薬に育った。これによって。クレストールからテビケイへのバトンタッチができて、パテントクリフを克服、5年連続でピーク利益を更新した。

・2014年4月に策定した中期計画では、2020年のありたい姿に向けて、3年ローリングで計画をアップデートしていくことにした。2020年のビジョンは、創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける、とした。

・①感染症、疼痛・神経と、②日米に集中し、③SDGに関わるような社会的課題を解決しつつ、④イノベーションと医療経済性のバランスを成長のカギとする。

・2016年10月に、中期計画をアップデートした。社内の慢心と危機感をうめていくには、より高いレベルの目標を定めた方がよいと判断した。2020年までの定量目標として、1)成長性KPI(新製品売上2000億円、経常利益1500億円)2)効率性KPI(ROIC 13.5%、CCC(キャッシュ コンバージョン サイクル)5.5カ月、自社創薬比率50%以上)、3)株主還元KPI(ROE 15%以上、DOE 4.0%以上)とした。

・今回の特徴は、①収益構造を変革する、②社員に分かり易い指標を掲げる、③現場へ徹底する、という点にある。ロイヤリティ収入に依存して、自社のコアビジネスは赤字という体質から、コアビジネスでもしっかり稼ぐことを目標とした。KPIをROEからROICに変えて、ツリー分解で組織全体との関連性を分かり易くした。それを組織の末端まで‘自分ごと化’させるように活動する。

・シオノギ流のエンゲージメントでは、1)社長自らが時間の25%を使って機関投資家、アナリストと対話を行っている。2)顧客にも25%の時間を使って、卸、医師、薬剤師、患者との対話に出かけている、3)従業員に対しては、毎年平均を上回る昇給に加えて、①女性活躍、②子育てサポート、③健康促進に力を入れている。

・シオノギ流コーポレートガバナンスでは、1)取締役6名中3名が社外、2)監査役5名中3名が社外、3)非執行の会長が取締役会議長、4)指名・報酬の諮問委員会を置く、という体制をとっている。監査役の任期は2期8年である。

・社外取締役について、手代木社長は、社内のことが分かって、しっかり社長に意見が言えるようになるには3年が必要、そこから厳しく経営にも響くような意見が出てくる。よって、任期の目途は最長10年くらいが適切という印象をもっている。

・株主、顧客、社会、従業員の4つのステークホルダーに対して、常に最適なバランスで接していく。社長の時間配分も25%ずつ使っている。そして、この適切なバランスが崩れた時に企業は破綻する、という手代木社長の主張は、極めて説得的で感銘を受けた。
 

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