S&P 500月例レポート(2018年4月配信)

●企業業績

 2018年の企業業績の見通しは引き続き改善しており、四半期と通年ベースで過去最高を記録すると強く期待されています。近々始まる第1四半期決算の業績予想は年初来で4.9%引き上げられています。これまでのところ、決算期がずれる企業のうち19社が既に発表を終え、そのうち事前予想を上回った企業は16社、予想を下回ったのは2社、予想通りだったのは1社でした。売上高に関しては、18社のうち14社が予想を上回りました。2018年通期への期待感は依然として強く、業績予想は7.1%引き上げられています。

 密かに懸念されるのは期待感が強すぎるかもしれないことで、四半期決算が過去最高を更新しても、投資家は満足しない可能性があります。決算シーズンは2018年4月13日(金)に始まります(過去を振り返ると、13日の金曜日に市場は56.2%の確率で上昇しており、全体の平均が52.2%であることを考えれば、多少運が良い日と言えるかもしれません)。まず、Citigroup(C)、JPMorgan Chase(JPM)、Wells Fargo(WFC)などの大手銀行の発表を皮切りに、4月末までには3分の2以上の企業が決算発表を終える見通しです。従来、決算シーズン中は業績動向が相場の流れを決めます。

●トランプ大統領と政府高官

 トランプ大統領は鉄鋼とアルミニウムの輸入品が補助金によって米国で不当廉売(ダンピング)されているとして、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課すことを命じる大統領令に署名しました。国内の政治的圧力は強く、関税発動を受けて批判的な見方(および利害関係)が浮上しました。

 欧州の数ヵ国が想定される報復関税のリストを発表しましたが、リストには議会と政治的なつながりを持つ米国地域の生産品も対象に含まれています。中国も報復措置をとることをほのめかしています。カナダとメキシコはNAFTA交渉が続く限り、関税の対象から除外されます。EUは鉄鋼とアルミニウムの関税の対象から一時的に除外されており、その間に米国との交渉を行います。それ以外に関税の対象から除外されたのはアルゼンチン、オーストラリア、ブラジルで、韓国は米国の新たな鉄鋼関税からの恒久的な除外を求める交渉を行った最初の国となりました。

 貿易戦争をめぐる動きはこれだけにとどまらず、トランプ大統領は中国からの輸入品に600億ドル相当の関税を課すことを命令し、中国企業による米国のテクノロジー企業への投資を制限するための提案を60日以内に公表するようムニューシン財務長官に指示しました。ただし、これは中国との交渉の窓口であるというのが大方の見方です。これを受けて、中国は米国からの輸入製品128品目に対する関税を発表しました(交渉次第では変更される可能性があります)。この措置は2段階からなっており、実際に実施されればそれぞれ30億ドルと19億ドル相当の影響が予想されます(2段階での実施とすることで、交渉の時間を稼ぐことができます)。

 米政権内では主要ポストの交代が相次ぎました。トランプ大統領は早朝に発信したツイートで、ティラーソン国務長官(Exxon Mobilの前CEO)の更迭を発表し、後任にマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官を充てるとともに、CIA長官の後任には現副長官のジーナ・ハスペル氏を指名しました(両人事とも議会承認が必要)。また、ツイートで、デービッド・シュルキン退役軍人長官を解任し、後任に大統領専属医のロニー・ジャクソン氏を指名しました。ゲーリー・コーン国家経済会議議長の後任人事(同氏は自らの辞任を表明)に関するツィートはありませんでしたが、大統領は3月14日に、CNBCのコメンテーターで保守系エコノミストのラリー・クドロー氏を後任に起用しました。また、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任し、元国連大使のジョン・ボルトン氏を後任に任命しています。

 米上院は銀行規制緩和法案を承認しました(賛成67、反対31)。今回の法案は、ドット・フランク法による中小銀行に対する規制を修正するもので、今後予想される下院案との調整が図られることになりますが、トランプ大統領は署名による法制化の意向を示しています。市場では、今回の規制修正案は中小銀行が対象であるものの、正しい方向に向かう一歩であり、大手銀行に対する規制修正の前触れと受け止められました。上下両院は、2018年9月30日までを期限とする、両党が合意した1兆3,000億ドル規模の歳出法案を承認しました。以前にトランプ大統領が法案に署名する意向を示していたため、大半の議員は2週間の休会のためワシントンを後にしましたが、大統領は法案に不満を表明。ただし、最終的には法案に署名しました。

 北朝鮮が米国と協議を行うため、核開発プログラムを凍結する用意があると表明しました。これを受けて、米国は協議開始には核開発の凍結が条件になるとの見解を示しました。その後、トランプ氏に協議のための訪朝を要請し、核・ミサイル開発を停止する用意があるとの北朝鮮のメッセージを、韓国が米国に伝えました。トランプ大統領は非核化協議のため、北朝鮮の金正恩最高指導者と会談を行うことに合意しましたが、具体的な会談の日程(当初は2018年5月までとされた)や場所は依然として未定です。さらにその後、金正恩氏が米国との協議を控えて中国を訪問し(最高指導者就任以降初の外遊)、習近平国家主席と会談しました。また、北朝鮮と韓国は2018年4月27日に韓国で南北首脳会談を開催することを発表しています。

●利回り、金利、コモディティ

 米国10年国債の3月末の利回りは、FOMCが25bpの利上げを行う中、2月末の2.88%から2.74%に低下しました(2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。

 外国為替市場では、英ポンドは2月末の1ポンド=1.3989ドルから1.4028ドルに上昇した一方(同1.3498ドル、1.2345ドル)、ユーロは2月末の1ユーロ=1.2336ドルから1.2303ドルに下落しました(同1.2000ドル、1.0520ドル)。円は2月末の1ドル=109.20円から106.41円に上昇し(同112.68円、117.00円)、人民元も2月末の1ドル=6.3489元から6.2990元に上昇しました(同6.5030元、6.9448元)。

 原油価格は2月末の1バレル=61.77ドルから5.2%上昇して64.96ドルで取引を終えました(同60.09ドル、53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は、3月末は1ガロン=2.764ドルと、2月末の2.676ドルから上昇しました。金価格は、2月末の1トロイオンス=1,331.80ドルから0.2%下落して1,329.40ドルで取引を終えました(同1,305.00ドル、1,152.00ドル)。VIX恐怖指数は月中の最高が26.22、最低が19.60となり、2月末の19.85から19.97に上昇して月を終えました(同11.04、14.04)。

 予想されていた通り、パウエルFRB議長率いる新体制の下、FOMCは25bpの利上げを決定し、全会一致でフェデラル・ファンド金利(FF金利)の誘導目標を1.50%から1.75%に引き上げました。四半期毎に公表されるドット・プロットではメンバーの強気度が高まり、今年は4回の利上げ(今後さらに3回)が示唆されました。2019年のドット・プロットの中央値は2.9%(2017年12月の2.7%から上昇)で3回の利上げが示唆され、2020年の中央値は3.4%(同3.1%)で2回の利上げが示唆されました。FF金利の長期見通しは12月の2.8%から2.9%に引き上げられました。

 また、FOMCの見通しでは、GDP成長率は2018年が2.7%(12月予想の2.5%から上昇)、2019年が2.4%(同2.1%)、2020年が2.0%(据え置き)と予想されています。失業率に関しては、2018年に3.8%に小幅低下した後、2019年と2020年は3.6%になると予想されています(失業率の長期見通しは4.5%)。コアインフレ率の見通しは、2018年は1.9%に据え置かれた一方、2019年と2020年はともに2.0%から2.1%に引き上げられました。

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