米中貿易戦争勃発~トランプ政権の優先順位、経済・内政から地政学へ~

●中国の成長は米国の寛大な関与にあった

 図表1に示すように米国の貿易赤字の半分が対中国であり、対中以外に大きな不均衡は存在していない。他方中国は巨額の対米貿易黒字によって長足の成長を遂げて来た。図表2に米国のGDPに占める経常赤字比率推移を示すが、全体では2006年の5.8%をボトムとし2016年には2.6%と大きく軽減してきた。その中で対中国だけはほぼ過去10年にわたって、2%弱の水準で推移している。つまり過去10年間、中国は米国GDPの2%という巨額の所得移転を受け、高成長を実現してきたのである。中国が米国覇権に挑戦する構えを見せた以上、これを米国が座視できないのは当然であろう。
 

 
●米中激突を回避する道

 トランプ政権の国家通商政策を担当しているカリフォルニア大学教授ピーター・ナバロ氏は、著書「米中もし戦わば 戦争の地政学」で共産党独裁政権の中国の覇権追及は変わりようがない事、それは必然的に米中衝突を引き起すこと、それを回避するには中国の軍事力増強の基礎である中国経済力を弱め、他方では米国国防力を増強し、未然に中国に米国覇権に挑戦する意欲をそぐことしかない、と主張している。図表3は世界4極の名目GDP推移と予想であるが、中国は2009年に日本を上回り、2016年にはユーロ圏を凌駕し、今の成長トレンドが持続すれば2026年に米中逆転が起きると予測される。米国が中国のフリーライド的側面を容認しつづけ、みすみす経済逆転を甘受するなどということは起きようもない。米国にとっての対中貿易戦争がいかに焦眉の課題かが明らかであろう。
 

 
(2018年3月8日記 武者リサーチ「ストラテジーブレティン196号」を転載)
 

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