米中貿易戦争勃発~トランプ政権の優先順位、経済・内政から地政学へ~

●トランプ登場の背景にあった合理性

 いやしくも有権者が選択したからにはトランプ氏登場の必然性があったはずである。それは3点の課題解決として整理できる。第一は経済的課題で、格差、取り残された白人労働者、資本・貯蓄の滞留、アニマルスピリットの喪失などである。トランプ氏はこれに対してケインズ政策、有効需要の創造、規制緩和を対置した。第二に地政学、国際関係面での危機感、中国の台頭、米国覇権の危機、国際秩序の形骸化である。トランプ氏はこれに対して、二国間主義、国際機関の再構築、力による平和を対置した。第三は価値観、理想主義・リベラル・分配主義、例えばPC(ポリティカル・コレクトネス)という理想主義的建前の偏重。トランプ氏は法治の徹底、自己責任・リバタリアンを対置した。最高裁判事など人事を大きく刷新し、既存価値観からトランプ批判をするマスメディアに対して、ツイッターで対抗している。

 トランプ政権は上述3つの政策課題のうち、最初の一年で第一の経済と第三の価値観の手当てを終え、今第二の地政学、国際関係に大きく重点を移しているとみられる。経済司令塔コーン氏の退陣はそれを物語っている。

●二国間主義、敵は本能寺、中国のフリーライドの抑制にある

 TPP離脱、NAFTA再交渉など、多国間ではなく二国間にこだわる交渉方式は、敵は本能寺、異質国家中国の経済的台頭を抑制するには多国間主義では無理との認識があるとみられる。対中では通商法301条の適用を視野に、調査と交渉が始まっている。太陽光パネルと大型洗濯機に対して通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)が発動された。対中タフネゴシエーターとされるロバート・ライトハイザー米USTR代表は中国のWTO加盟を認めたことは誤りであった、と不公正貿易慣行に満ちている中国に対して貿易戦争の宣戦を真っ向から布告している。他方でトランプ大統領は、1月末のダボス会議において、一旦離脱したTPPに対して、再加盟の交渉に入る可能性があると表明した。二国間交渉で対中国圧力を大きく高めつつ、吟味しながら多国間協定に復帰する、まさに敵は本能寺である。国際機関の形骸化はWTOのみならず現状変更をあからさまに行う中国・ロシアが安保理の拒否権を保持している国連も同様である。その再構築にトランプ政権の真の狙いがあるのではないか。トランプ氏を単純な一国主義、孤立主義、保護主義というのは間違いであろう。

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