アジアにおける外国人材争奪戦-海外出稼ぎ労働者の未来市場-

2、中国の沿海部は人手不足、ソリューションは何か

 中国は労働人口大国であり、これまで国際労働市場で労働力の供給国であった。しかし、今後は労働力の輸入国に転じる可能性がある。生産年齢人口の減少に加え、経済発展に伴う労働需給の逼迫、賃金上昇が大きいからだ。

 中国の沿海部は労働需給が逼迫、人手不足である。沿海部は経済発展、特に第3次産業の成長が著しい。表2にみるように、この数年、第3次産業は実質7~9%成長が続いている。サービス産業は雇用吸収力も大きいので、就業者数は8~9%の伸びが続いている(注、製造業の就業者数は横ばい)。その結果、沿海部の都市部の総就業者数は6~7%で伸びている。

 一方、農民工の流動は減少気味である。沿海部は内陸からの農民工流入で経済発展してきたが、今や内陸も経済発展し、沿海部への農民工供給は増えなくなっている。生産年齢人口の減少、雇用吸収力の高い第3次産業の成長、農民工流入の限界と、沿海部の労働力は需給両面から逼迫要因が強まっている。
 

 
 機械化、ネットワーク経済の技術進歩でイノベーションが俟たれるが、はたして人手不足を労働節約型技術進歩ですべて相殺できるであろうか。製造業は労働集約型業種の追い出し(海外あるいは内陸移転)に加えて、機械化・ロボット化が急速に進み、雇用数は横ばいである。しかし、第3次産業は発展のスピードが高く、かつ雇用吸収力も大きいので、技術進歩による省力化だけで雇用量を横ばいにするのは難しいのではないか。ソリューションとしては、やはり労働力の輸入に向かう可能性があると考える。(拙稿「中国が労働力を輸入する日」及び「続・中国が労働力を輸入する日」参照)。

 技術進歩は労働者を減らすか否か、大きな論争があるのは事実である。例えば、2030年までに(2016年比)、米国、ドイツ、日本は25%、中国は16%、インドは9%の労働力が自動化されるという予測もある(米MCKINSEY GLOBAL INSTITUTE)。しかし、中国沿海部は2030年までに、生産年齢人口10%減少、第3次産業8割増加(年率5%成長仮定)が見込まれるが、それを織り込んで雇用量16%削減、人手不足なしを達成できるであろうか。(注、GDP成長率1%を選択するならバランス)。

 海外出稼ぎ労働者は、収入を求めて出稼ぎに行くのであるから、低賃金の国にはいかない。従来の中国はその対象にならなかった。「中国が労働力の輸入国になる」など、誰も夢想だにしなかった。しかし、今や沿海部の賃金は中進国を大きく超え、しかも格差が大きく、日本より高所得の人が沢山いる。外国人労働者を吸引できる賃金になっている。賃金水準という前提条件が成立し始めたので、誰も想定しなかった事態が起きる日が近づいたのである。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> その他> アジアにおける外国人材争奪戦-海外出稼ぎ労働者の未来市場-