MS-Japan 有本隆浩社長インタビュー

人材情報を背景に新たなネットワークビジネス構築へ

●有本隆浩氏
MS-Japan 代表取締役社長

 
 士業(公認会計士、弁護士など)と一般事業会社の管理部門に特化した人材紹介業を主力とするMS-Japan<6539.T>は、2017年12月に東証1部上場を果たした成長期待の企業。同社独自の人材紹介コミュニケーションプラットフォーム「Manegy」を開設し、登録者数を飛躍的に拡大することで新たなネットワークを構築し、ビジネスを展開する意向を示している。今後の展開について、同社の有本隆浩代表取締役社長に聞いた。

――士業と一般事業会社の管理部門に特化した背景は?

有本 私は人材関連サービスの業界を作った最大手企業のリクルート出身で、そのなかでは一貫して営業畑を歩み、士業や管理部門にまったく縁がありませんでした。ところが、会計事務所を知る機会があり、比較的狭い業種の社員採用にも関わらず、当時は新聞の求人広告や就職情報誌など、不特定多数の読者を対象とした不効率な採用方法に頼らざるを得ませんでした。そこで、公認会計士などの資格取得を目的とした大手会計専門学校と提携することで、もっと効率良く優秀な人材を獲得できるのではないかと考えて、会計事務所の人材をはじめとした士業の人材関連ビジネスをスタートさせました。

 事業会社の管理部門に特化した人材紹介については、バブル経済崩壊に伴って求人ニーズが冷え込んで、大企業でも存続をかけて1995年頃から大量リストラをせざるを得なくなりました。そのころ、極めて難しかった厚生労働省による人材紹介事業の認可を取得することに成功しました。そこで、“逆転の発想で”大規模リストラの対象となっている管理部門の人材紹介に特化することにしました。大量リストラの反動で、近い将来必ず人員補充が必要になると確信し、その通り翌年から大企業はそれまでほとんど無かった中途採用を本格的に開始しました。これによって、当社は成長軌道に乗りました。

――参入障壁が非常に高い事業内容と聞いていますが

有本 士業や管理部門に特化した人材紹介は、当社が一から始めた事業で、まだその当時は同領域のビジネスはありませんでした。もう一つは、時代の潮流をいち早く捉え、新たな事業を創出してきたことです。時代がどんどん変化し、さまざまな法改正や規制緩和、制度改正が実施されますが、ここをチャンスと捉えて、その隙間をいち早く埋めてきた会社です。例えば、平成の不況時に国際的な会計基準の導入が進められました。上場企業はすべてこの対応を迫られましたが、そこで必要とされたのがUSCPA(米国公認会計士)資格を持つ人材で、そのような人材を当社は豊富に抱えていました。また、ジャスダック市場の開設によって、日本でもIPOの基準が緩和されてベンチャー企業の株式上場がしやすくなる環境が整いました。そこで当社は、大手のベンチャーキャピタルなどと組んでIPO準備に向けた人材支援をスタートしました。

 公認会計士や弁護士も同じことで、当時公認会計士はほぼ100%監査法人に所属していました。平成不況もあって、公認会計士の資格取得者を監査法人が吸収できなくなり、余剰状態となりました。そこで、公認会計士という優秀な人材に、社会でより広くご活躍いただくために監査法人以外の一般事業会社にも公認会計士の紹介を積極的に実施し、マーケットを開拓していきました。弁護士もロースクール化が導入されましたが一方で就職浪人も目立ちはじめていました。そのタイミングで、公認会計士と同様に能力の高い優秀な弁護士人材を法律事務所のみならず幅広い分野に送り出す事業をスタートしました。それにより、当時インハウスの弁護士は極めて少数でしたが、いまでは数千人が企業内で活躍しています。

 さらに、最近ではコーポレートガバナンス・コードが導入されました。ここで必要になるのは会社のガバナンスを強化するための、いわゆる“社外役員”など監査関連の人材です。上場企業やIPO準備中の企業がこうした人材の採用に苦慮していました。そこで当社は、豊富な経験を積み重ねてきた年齢50歳以上の即戦力の優秀なハイクラスのシニア人材について“EXPERT SENIOR”として紹介することを先駆者としてスタートしたのです。このように、時代の変化をいち早く捉えて早期にシェアを握ることで他社が参入することは難しい状態にあります。

――コミュニケーションプラットフォーム「Manegy」について

有本 これは当初、求職者を集めるための手法という発想でスタートしました。従来、当社は士業や管理部門の方々が購読する専門誌に広告を出す方法に加え、2~3年前から世間により幅広く当社のサービスを認知していただく為に、駅看板、電車内などの交通広告といったマスマーケティングを活用しはじめました。すると、当然一方で求職登録者1人当たりに掛けるコストは上昇します。そこで考えたのが、全国に350万人いる士業や企業管理部門の人材に対して、転職時だけではなく、日ごろの業務で役立つようなサービスを提供し、日頃から当社のサービスと接点をもっていただくことで、当該領域の人材を抱え込む戦略です。当該領域の人材を抱え込むことで、転職時にはスムーズに当社の人材紹介サービスをご利用いただき、人材紹介事業の登録者を効率的に増加させることが可能となります。これが、コミュニケーションプラットフォームである「Manegy」です。

 そして、Manegyはそれだけではなく、変化を遂げていきます。登録していただいている士業の方々の先には、当然顧問先として、中小企業や未上場企業の経営者という存在があるわけで、そのネットワークまで考えると、さまざまなところに新規事業のマネタイズポイントが潜在し、大きなビジネスに発展させることができると考えています。数年後に登録者数が100万人程度にまで拡大すると、個々の登録者の特性などのデータを掌握することで、膨大なビジネスチャンスが到来することが予想されます。今後は人材紹介事業のみならず、Manegyを軸としてビジネスが転換する可能性もあります。また、長期的には国内で培ったManegyのノウハウは、主要先進国でも十分通用すると想定され、海外での人材ビジネスの展開につながります。

――IPO支援の事業の展開について

有本 IPO支援事業では、17年に上場した約90社中、65社と取り引きがあり、そのうち42社・91人の紹介実績がありました。上場準備企業については、アーリーステージから参加して“月次の決算はちゃんと締まっているか”など、上場準備の基礎的なところから支援をスタートします。企業からいただいた求人を鵜呑みにするのではなく、本当に上場準備に必要な人材を、どのタイミングで採用することが最適かを企業と話し合うことで、今必要な人材を明確にするコンサルテーションを行っています。そのようなサービスにより、有難いことに当社は証券会社やVCなど、IPOを担う周辺の多くの企業様からの紹介で、管理部門に関する様々な求人依頼を多くいただきます。また、ガバナンス体制の強化のために、監査役など社外取締役へのニーズも非常に強いものがあります。

――昨年12月に東証1部指定となりましたが

有本 数年前まで上場するつもりは全然ありませんでした。当時、創業以来25年を経過して、高収益体質でキャッシュフローも豊富な企業に育て上げたことで、経営者として一応の達成感もあり、引退さえ考えるようになり、上場する必要性を感じていませんでした。ところが、今後の人生をじっくりと考える機会があり、その結果15年1月に改めて自分を奮い立たせ、命懸けで一番頂上を目指してもう一度チャレンジしようという考えに至り、上場を決意しました。東証1部への直接上場も考えましたが、より確実な方法ということで、16年12月に上場し、東証マザーズ市場を通過する道を選びました。東証1部指定は最短の記録となっています。

 やはりIPOして良かったと思います。経営内容がすべてディスクローズされるということで、株主に対して成長して利益を出し続ける責任を実感し、これが揺るぎないものとなっています。積極的にチャレンジすることで、新規事業のヒントも湧き上がり、新しいビジネスの展開を日々創造し、計画しています。これがアグレッシブな行動につながり会社にプラスの変化が起きています。

――中期的な経営ビジョンについてお話しください

有本 18年3月期第3四半期累計(17年4-12月)の新規登録者数累計は、1万692人(前年同期比26.77%増)と順調な伸びをみせています。現在の人材不足の市場環境においては、この登録者の伸びに、売上高は比例して拡大します。今後も既存の人材紹介のビジネスについては持続的に成長できると考えています。そこに、Manegyに関連した新たな戦略事業をうまく軌道に乗せ、さらなる成長を図っていきたいと考えています。将来の当社の姿は人材関連ビジネスだけではなく、大きな広がりを見せると想像しており、やや抽象的ですが今後は情報のマッチングビジネスやマーケティングなど、ネットワークビジネス主体の企業に発展していくと思います。コミュニケーションプラットフォーム「Manegy」の登録者数を増加させ、新しいビジネスも飛躍的なスピードで成長させていきたいと考えています。

――「プレミアム株主優待倶楽部」など株主還元の現状と今後について

有本 当社の「プレミアム株主優待倶楽部」は、数多くの商品のなかから、自分の好みに応じて優待商品を選ぶことができるのが大きなメリットであり、大変ご好評をいただいております。当社の配当と合わせて今後も株主還元施策についても意識していきたいと思います。

(聞き手・冨田康夫)

●有本隆浩(ありもと・たかひろ)
1961年生まれ。大阪府出身。大学卒業後に(株)リクルートを経て、28歳で株式会社日本MSセンター(現 株式会社MS-Japan)を設立し、代表取締役(現代表取締役社長)に就任。大手会計専門学校と提携し、会計領域に特化した人材ビジネスを開始。1995年、人材紹介事業の許認可を取得し、管理部門特化型NO.1エージェント(※注)として業界をリード。2016年12月東証マザーズに上場し、1年後の17年12月に東証1部上場を果たす。

※注:2017年3月、楽天リサーチ(株)調べ「人材紹介のブランドに関する調査」

●株式会社MS-Japan
http://company.jmsc.co.jp/

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