続・中国が労働力を輸入する日-フィリピン人家政婦20万人在留-

2、政府間協議が始まっている

 フィリピン人家政婦の就労について、フィリピン政府と中国政府の間で話し合いが始まっている(『北京青年報』2017‐08‐02記事)。
 フィリピン労働雇用省の報告書(2017年7月30日発表)によると、労働省と中国大使館の話し合いがもたれ、中国5大都市(北京、上海、アモイなど)にフィリピン人家事労働者を送る可能性について協議している。可能性として月収10万ペソ(13000元=約22万円)を提供することに取り組んでいるという。大変な高給である。

 まだ、確定した話ではないが、フィリピン人家政婦に、合法的な「就労ビザ」が発給され、月収22万円の高給が支払われる。実現すれば、すごい事態だ。

 フィリピンは外貨収入の大半を出稼ぎ労働者OFW(Overseas Filipino Workers)の仕送りに頼っている。それがフィリピン国民の消費や経済成長を支えている。フィリピン人家政婦に就労機会を与えることは経済協力を意味する。中国の新たな外交手段になるであろう。外国人労働者の受入れは新しい規範(New Paradigm)を帯び始めた。

 非合法であるが、市場では事態が進展している。それを受けて、フィリピン政府と中国政府の間でこの件について協議が始まっている。実態が先行し、それに追随、後追いして政策制度が変更される。古今東西を問わず、世の常だ。

 日本でいえば、「ヤミ米」「やみ小作」問題もその典型だった。80年代までは土地を借りて農業経営の発展を図ると、「闇小作」と批判された。しかし、今では借地による規模拡大は“国是”である。コメの流通も同じだ。食管赤字が巨額になり、それを避けるためコメは自由流通をしばらく黙認していたが、ついに食管制度は廃止され(95年)、現状追認の自由流通になった。洋の東西を問わず、市場経済の浸透力は怖いほどすごい。それが中国の外国人労働力受入れ問題でも起きているわけだ。

 今の段階では、外国人労働力の輸入は全般的な問題ではなく、「家政婦」限定の話であろう。しかし、内陸の安徽省に質のいい家政婦がいるにもかかわらず、フィリピン人を輸入しているという事実は留意しておきたい。

(注)フィリピン人家政婦に対するビザ規制緩和を特殊事例とみなすか、農民工流動不足による人手不足対応として工場や建設現場のワーカーまで広げるのか、結論はしばし留保したい。内陸から沿海部への農民工の流動の減少は統計事実であるが、2014~15年に深刻化した資本ストック調整に伴うマクロ経済活動の低迷の影響かも知れない。本稿では2016年までの統計で「農民工の減少」を確認しているが、経済活動が本格的に復活した場合、この動きはどうなるか、まだ確認できていない。沿海・内陸の格差、所得インセンティブに対する農民工の反応が低下したかどうか、2017年の統計を待ちたい。

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