S&P 500月例レポート (2017年11月配信)

●グローバル経済

 ユーロ圏の8月の失業率は3ヵ月連続で横ばいの9.1%となりました。ドイツの8月の鉱工業生産は前月比0.7%増の予想を上回る同2.6%増となり、前年同月比では4.7%増となりました。英国の9月のインフレ率は3.0%と過去5年間の最高を記録し、イングランド銀行が2017年11月に政策金利(現在0.25%)を引き上げるとの観測が強まりました。英国の2017年第3四半期のGDP成長率は前期比0.4%、前年同期比では1.5%でした。日本の9月の卸売物価は前年同月比3.0%上昇しました。中国の2017年第3四半期GDP成長率は前年同期比6.8%となり、政府目標である6.5%を上回りました。

 米国の経済指標関連では、9月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)が53.1となり、予想の53.0を僅かに上回りました(8月は52.8)。サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は予想の58.0を大幅に上回る60.8となりました(8月は58.8)。9月のサービス業PMIは55.3と、8月の56.0から低下しました。10月のマークイット総合PMIの速報値は予想の54.8を上回る55.7となり(9月は54.6)、同製造業PMIの速報値は9月の数字から2.89%上昇、同サービス業PMIの速報値は同1.5%上昇しました。9月のISM非製造業景況指数は59.8と、予想の55.5と8月の55.3の両方を上回りました。

 9月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇して予想と一致し、前年同月比では2.6%上昇しました。9月の消費者物価指数(CPI)は予想の同月比0.6%上昇に対して0.5%上昇し、前年同月比では2.2%上昇となりました。食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%の上昇となり、前年同月比では1.7%上昇しました。8月の建設支出は予想の0.3%増を上回る0.5%増、前年同月比では2.5%増となり、7月速報値の0.6%減は1.2%減に下方修正されました。

 8月の貿易収支は輸出が0.4%増、輸入は0.1%減となり、その結果、424億ドルの赤字となりました(予想通り)。9月の財の貿易収支は輸出が0.7%増、輸入が0.9%増となり、641億ドルの赤字となりました。9月の輸入物価指数は予想の前月比0.5%上昇に対して0.7%上昇し、前年同月比では2.7%の上昇となりました。輸出物価指数は前月比0.8%上昇して予想の0.4%上昇を上回り、前年同月比では2.9%上昇しました。

 9月の自動車販売台数は予想を上回り、Ford(F、発表週に2.4%高)は前月比8.7%増(予想は2.3%増)、General Motors(GM、発表週に11.2%高)は前月比11.9%増でした。自動車販売台数はハリケーンの影響を受けた地域の消費者による自動車の買い替え需要により、増加しました。

 8月の製造業受注は予想の前月比1.0%増に対して1.2%増となりました(7月は3.3%減)。8月の卸売売上高は前月比1.0%増の予想に対して0.9%増でした。9月の耐久財受注は前月比2.2%増となって予想の1.0%増を上回り、前年同月比では8.3%増となりました。9月の小売在庫は自動車在庫の取り崩しによる影響を受けて、前月比0.6%増の予想に反して1.0%減少しました。9月の卸売在庫は前月比0.8%増の予想に対して0.3%増となりました。

 9月の鉱工業生産は前月比0.3%増となり0.2%増の予想を上回り、製造業生産指数は前月比0.4%上昇の予想に対して0.1%上昇となりました。設備稼働率は8月の75.8%から上昇して76.0%となりました。9月の個人所得は前月比0.4%増で予想と一致し、個人消費支出は前月比0.9%増の予想に対して同1.0%増となりました。9月のPCE価格指数は予想通り前月比0.4%上昇し、前年同月比では1.6%上昇しました。9月の景気先行指数は予想の前月比0.1%上昇に対して0.2%低下しました。ミシガン大学消費者信頼感指数は9月の101.1から10月は100.7に低下し、予想の101.0を下回りました。10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は9月の120.6から125.9に上昇して、121.0の予想を大幅に上回りました。

 2017年第3四半期のGDP成長率の速報値(11月29日に改定値、12月21日に確報値が発表)は前期比年率3.0%となり、同2.5%の予想を上回りました。GDP成長率はハリケーンの悪影響にもかかわらず高い水準を記録し、2014年以降で初めて2四半期連続で3%以上を記録しました(2017年第2四半期は3.1%)。

●住宅市場

 10月のNAHB住宅市場指数は68となりました。これに対して予想は前月と同じ64でした。9月の新築住宅着工件数は113万件(年率換算)と、予想の117万件に届きませんでした。住宅着工許可件数も同様に予想の124万件を下回り、121万件となりました。8月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は前月比0.4%上昇(予想は0.6%上昇)、前年同月比では5.9%上昇となりました。

 米連邦住宅金融局(FHFA)発表の8月の住宅価格指数は前月比では予想の0.4%上昇を上回って0.7%上昇となり、前年同月比では6.6%上昇しました。9月の中古住宅販売件数は540万戸(年率換算)と、予想の530万戸を上回り、前月比では0.7%増、前年同月比では1.5%減となりました。9月の新築住宅販売件数は66万7000戸(年率換算)と、減少予想の55万5000戸を上回りました。8月は56万1000戸でした。マイナス材料は、9月の中古住宅販売仮契約指数が予想の前月比0.4%上昇に対して横ばい、前年同月比では3.5%低下したことです。

●雇用関連

 9月のADP民間雇用者数は、前月比14万人増の予想に対して13万5000人増となり、8月は当初の23万7000人増から22万8000人増に下方修正されました。

 8月の雇用統計は非農業部門就業者数が予想の18万人増に対して15万6000人増と、失望的な結果となりました。9月は10万人増の予想に対して3万3000人の減少となりましたが、市場(の大半)はこれについては問題ないと受け止めました。2010年9月以来となる新規就業者数減少のきっかけとなったのはハリケーンです。ウォール街はこれを一時的要因と捉えており、いずれ改善すると見込んでいます。

 非農業部門就業者数は予想を下回ったものの、雇用統計には幾つか明るいデータもあります。失業率は8月の4.4%から4.2%に低下し、2001年2月以来の低水準となりました。平均時給は26.55ドルと、前月比では予想の0.3%増に対して0.5%増、前年同月比では2.9%増となりました(賃金上昇圧力の兆候がやや見られる背景には労働市場の逼迫だけでなく、低賃金労働者不足の可能性もあります)。週平均労働時間は34.4時間で前月と変わらず、労働参加率は8月の62.8%から63.1%に上昇しました。2017年第3四半期の雇用コスト指数は、予想通り、前期比で0.7%上昇し、前年同期比では2.6%の上昇となりました。

●M&A関連

 食品サービスのAramark(ARMK)は、リネンサプライおよびサービス企業Avendra〔Marriott(MAR)が所有〕ならびにユニフォームレンタルおよびリネンサプライ企業AmeriPrideの競合2社をそれぞれ13億ドルと10億ドルで買収すると発表しました。

 保険会社Harford Financial Services(HIG)はAetna Group(AET)から生命保険および損害保険部門を14億5000万ドルで買収すると発表しました。報道によると、ドラッグストア・チェーンのCVS Health(CVS)は、その医療保険会社Aetna(AET)に対する買収交渉を進めており、買収価格は660億ドルとなる模様です。

 住宅建設大手Lennar(LEN)は同業のCalAtlantics Group(CAA)を現金と57億ドルの株式交換を通じて総額93億ドル(債務を含む)で買収すると発表しました。

 ソフトウエア・ソリューションのRockwell Automotive(ROK)はEmerson Electric(EMR)による270億ドルの買収提案を拒否したと発表しました。百貨店大手Nordstrom(JWN)は非上場化の計画を中断しました。市場が注目していた日用品メーカーProtector & Gamble(PG)の株主総会では、投資家ネルソン・ペルツ氏の取締役就任は否決されました。

●企業業績

 企業業績に対するウォール街の期待は高く、業績が伸びるだけでなく過去最高を付けると予想されていました。これは予想を下回る結果になれば売りにつながることを意味します ― そして市場が過去最高を更新したことから、この期待は(全般的に)満たされたと判断できます。

 本稿執筆時点で、S&P 500指数の時価総額の69.2%に相当する銘柄(構成銘柄数の52.4%)が決算を発表し、この段階で利益は過去最高を記録すると思われます。さらに重要なこととして、売上高も過去最高を記録しそうに見えます(経費削減や自社株買いだけでは1株当たり利益の増加は持続しません)。利益はハリケーンの影響を受け、損保会社は保険金支払額を実際に費用として計上し(そして計上する予定)、また将来の費用のための引当金を計上しました(したがってキャッシュフローは2017年第4四半期決算に反映されるでしょう)。決算を発表した317銘柄のうち利益が予想を上回ったのは233銘柄と、73.5%に相当します(長期平均は67%)。また現時点で、2017年第4四半期の利益予想の下方修正は僅かで、再び好決算(ならびに過去最高益)となることがうかがわれ、2017年は過去最高益になると見込まれるものの、PERは20.5倍です。

 2018年に関しては(予想PERは17.8倍)、15.0%の増益が見込まれており、極めて好調です(予想を盲信するのであれば)。大きな期待を抱くことが素晴らしいのは今に始まったことではありませんが、税制改革が実施される可能性がある点を踏まえると、この予想が実現する可能性はあるでしょう。

 売上高に関しては、結果はさらに良好で(小売りセクターはまだ決算発表を終えていませんが)、314銘柄のうち予想を上回ったのは203銘柄と、64.6%に相当し、売上高は前年同期比で5.6%増と、四半期ベースで過去最高となる見込みです。企業は経費削減や自社株買いを通じて最終の1株当たり利益を増やせることは実証しましたが、1株当たり利益を増やすためにはある時点で売上高を増やす必要に迫られます(利益を押し上げるために買収する場合は別です― シナジー効果を戻さないように)。

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