S&P 500月例レポート (2017年11月配信)

●金融市場の動き

 10月のS&P 500指数は、9月末の2519.36(同月の上昇率は1.93%)から2.22%上昇し(配当込みのトータルリターンは2.33%)、2575.26で取引を終えました。同指数の3ヵ月間の上昇率は4.25%(同4.76%)、年初来の上昇率は15.03%(同16.91%)、また2016年11月8日の大統領選挙日の終値2139.56からの上昇率は20.36%(同22.73%)となっています。S&P 500指数は10月中に終値での最高値を11回更新しました(直近の高値更新は2017年10月27日で2581.07)。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は9月末の22405.09ドルから4.34%上昇し、23377.24ドルで10月の取引を終えました。年初来の上昇率(昨年末の終値は19762.60ドル)は18.29%となっており、10月中に12回終値での最高値を更新しました(直近の高値更新は2017年10月24日で23441.86ドル)。

 原油価格は9月末の51.64ドル(8月末は47.07ドル)から5.4%上昇して54.44ドルで10月を終えました。2016年末の53.89ドルからの上昇率は1.0%となっています。米国10年国債の10月末の利回りは2.38%と、9月末の2.34%から上昇しました。月中には2016年12月末の2.45%を若干上回る水準で取引される場面もありました。金価格は10月に0.8%下落し、1トロイオンス1271.80ドルで取引を終えました。9月末の1282.50ドルから下落しましたが、2016年12月末の1152.00ドルからは10.4%上昇しています。

 英ポンドは9月末の1ポンド=1.3399ドルから1.3285ドルに下落し(2016年12月末は1.2345ドル)、ユーロも9月末の1ユーロ=1.1814ドルから1.1651ドルに下落しました(同1.0520ドル)。円は9月末の1ドル=112.50円から113.70円に下落しました(同117.00円)。

 VIX恐怖指数は月中の最高は13.20、最低は9.11となり、最終的に9月末の9.51から10.15に上昇して月を終えました(2016年12月末は14.04)。ボトムアップベースで算出したS&P 500指数の1年後の目標値は2755で(現在値から7.0%上昇)、またNYダウは2万5104ドル(同7.4%上昇)と、史上初の2万5000ドルの大台突破を目指しています。

●11月の見通し

 2017年11月1日か2日には議会が税制改革法案を一部公表する見通しです。また、11月2日にはトランプ大統領による連邦準備制度理事会(FRB)の議長人事の発表が見込まれています。

 企業収益は売上増を背景に堅調でしたが、小売業の業績は実店舗販売とネット通販で明暗が分かれる結果となるかもしれません。年末商戦はAmazonとWal-Martの一騎打ちとなる可能性もあります。注目すべき指標の1つが売上高全体の伸びですが、実店舗からネット通販へと消費者の購買行動がシフトしていることも重要です。

 短期的に市場に影響を及ぼす不確定要因としては北朝鮮情勢、モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査とそれに対する反応、そしてスペインのカタルーニャ州を発端とした欧州各地での独立をめぐる動きの広がりです。

 過去を振り返ると、11月は59.6%の確率で月間騰落率がプラスとなっており、その平均上昇率は3.95%、また平均下落率は4.25%で、全体の平均騰落率はプラス0.68%となっています。

 今後のFOMCスケジュールは、2017年12月12日-13日*、2018年1月30日-31日、3月20日-21日*、5月1日-2日、6月12日-13日*、7月31日-8月1日、9月25日-26日*、11月7日-8日、12月18日-19日*(*は記者会見が行われる)となっています。

●世界の動き

 カタルーニャ州がスペインからの独立を宣言しました。スペイン政府はラホイ首相に同自治州を直接統治する権限を付与、これを受けて首相はカタルーニャ州の州議会を解散し、2017年12月21日に新たに州議会選挙を行うことを宣言しました。前カタルーニャ州首相のカルレス・プチデモン氏はベルギーに出国しました。

 それ以外の選挙を見ると、オーストリアの総選挙では中道右派と極右政党が勝利し、31歳のクルツ氏が新首相に就任する見通しです。安倍首相は10月22日の総選挙で快勝し、衆議院で絶対安定多数(衆議院全体の3分の2)を確保しました。同首相の勝利については不戦勝のようなものだとの見方も一部にありました。

 中国共産党は(5年に1度の党大会で)習近平氏が国家主席として2期目(1期は5年間)を担うこと、また党規約に習氏の名前を盛り込むことを承認しました(習氏の名前が党規約に明記されることは、同氏への権力集中と長期政権への布石が打たれたことを意味します)。

 ベネズエラ政府は債務不履行に陥ったものの、猶予期間中に5億8600万ドルの返済を実施しました。市場関係者は引き続き同国の債務残高とその返済能力に対して慎重な見方をしています。

●米国政治

 トランプ大統領はティラーソン国務長官が「時間を無駄にしている」と発言し、北朝鮮との対話を拒否しました。メディアが大統領と国務長官が以前対立していたと報じていたため、10月4日にティラーソン氏は「辞任は考えたこともない」と釈明せざるを得なくなりました。トランプ大統領はイランが核合意を順守しているとは認められないとし、議会に「検討」を指示して対応を委ねました。大統領はプエルトリコを訪問してハリケーンによる被害状況を視察し、人道支援を約束しました。また、かつての財政破綻問題の解決の必要性についても言及しました(プエルトリコの債務残高は740億ドルで、1人当たり約2万1700ドル。米国の州政府の中ではマサチューセッツ州の債務残高が現時点で最も多く、1人当たり約1万1100ドル。全州政府の債務残高の平均は1人当たり3600ドル)。

 EPAはオバマ前大統領が打ち出したクリーンパワープラン(裁判所により差し止められ、発効していません)の撤廃案を発表しました。FCCは2017年11月に、米国のテレビ局や新聞社の所有規制に関して大幅な規制緩和が実施されると報じられました。議会下院は上院可決済みの予算決議案を可決し、両院そろって所得税改革に向けて動き出しました。税制改革法案の詳細は11月初旬にも公表される見通しです。上院は消費者に銀行やカード会社を訴えることを認める規制を撤廃しました(賛否が50対50と拮抗しましたが、ペンス副大統領が決定票を投じ51対50で可決)。これは議会との軋轢が続いていたトランプ政権にとっては重要な勝利です。

 米国議会は保険加入申請期間の終了に伴い、トランプ大統領が支払い停止を検討していたオバマケアに基づく補助金に関して、その復活に向けて作業を進めてきました。超党派での合意が成立するかに見えましたが、大統領の支持が得られず、議会は調整作業を続けています。

 共和党の内輪もめも続いており、2名の上院議員(一貫してトランプ大統領を批判してきたフレーク氏と一時はトランプ氏を支持していたコーカー氏)は、2018年の選挙への不出馬を表明するとともに、大統領を激しく非難しました(ジョージ・ブッシュ元大統領や現職のマケイン上院議員に続くものです)。議会とトランプ政権が折り合いをつけるに連れて、去る人が増える可能性があります。そして、来年の中間選挙では、トランプ大統領に近い候補が選出されるか、それとも民主党か、という問題にも注目が集まるでしょう。

 モラー特別検察官(元FBI長官)は昨年11月の大統領選でのロシア介入疑惑に絡み、トランプ陣営の元選挙対策本部長ポール・マナフォート氏を起訴しました。ロシア疑惑に関する捜査開始以降で初めての起訴となります。

●各国中央銀行の政策行動

 次期FRB議長をめぐる憶測が10月も続きました(イエレン議長は2018年2月3日に任期満了を迎えますが、FRB理事会メンバーとしての任期は2024年1月31日まで継続されます)。本稿執筆時点の候補者は4名で、そのうちイエレンFRB議長、パウエル現FRB理事(最有力候補)、ケビン・ウォルシュ元FRB理事の3人はいずれもFRBメンバーとしての経験を持ち、金融政策に対してはそれぞれ異なるものの、比較的近い見解をもつ(利上げのペースに関して)とみられています。そのほかに、スタンフォード大学の経済学者ジョン・テイラー氏も候補者として名前が挙がっています。トランプ大統領の現在の経済担当大統領補佐官(および元ゴールドマン・サックス社長)であるゲイリー・コーン氏は候補者リストから外れたようです。

 市場はFRBの2つの主な目標に関する候補者の見解に注目するでしょう。金利については、4人の候補者は揃って上昇すると見込んでいますが、想定される上昇ペースはそれぞれの候補者で異なっています。また、4兆5000億ドルに膨らんだバランスシートの縮小については、報道されている情報に基づけば、候補者の見解にはかなりばらつきがあります。

 8月のJOLT(求人労働移動調査)によれば、求人件数は608万2000件で予想の616万件を小幅に下回ったものの、高い水準となりました。地区連銀経済報告(ベージュブック)は地域的な労働力不足、とりわけ熟練労働者が足りない状況が続いており、労働者を確保するためにボーナスが支給されていることを指摘しています。

 FOMCの9月19-20日開催分(ハリケーン「ハービー」襲来後でしたが、雇用統計が発表される前で、会合後には記者会見が開かれました)の議事録が公表され、新しい情報はありませんでしたが、低水準のインフレ率と労働市場のタイト化に対する懸念が示されたことから、12月12-13日開催予定の会合で追加利上げ(予想は0.25%)が発表されるという見方が強まりました。

 欧州中央銀行(ECB)の政策理事会は資産購入プログラムを(2017年12月から)2018年9月まで延長し、2018年1月からは購入額を月額600億ユーロから300億ユーロ(現在は約350億ドル)に縮小することを決めました。この資産購入プログラムは延長期限以降も購入額を縮小して続けられる可能性があります。国際通貨基金(IMF)は中国の2017年成長率見通しを従来の6.7%から6.8%に引き上げ、2018年の成長率見通しをこれまでの6.4%から6.5%に上方修正しました。日銀は金融政策決定会合で予想通り、金利とこれまでの政策を据え置きました。

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