S&P 500月例レポート(2017年10月配信)

●10月の見通し

 祝宴は続くでしょうか、それとも暴落が再来するのでしょうか。再び決算シーズンを迎えますが、第2四半期と同様に市場は現在のバリュエーションが維持されるかどうか、進展(そして高値更新)を見守る必要があります。

 ワシントンの話題は引き続き税制改革が中心となるでしょうが、実際の交渉(や裏工作)では12月の予算決議と債務上限をめぐる交渉がカギを握るとみられます。北朝鮮問題も依然として大きな懸念であり、緊張が高まり、小さなアクシデントが大きなインシデント(衝突)に発展する恐れがあります。

●政治情勢

 国連は北朝鮮への追加制裁決議を採択しましたが、中国とロシアの支持を取り付けるために米国が譲歩し、制裁内容はやや緩められた形となりました。ところが、北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を止めることはなく、トランプ大統領は(国連で)、北朝鮮が米国や他の同盟国を脅かすならば、米国は北朝鮮を「完全に破壊する」と発言しました。

 ドイツの総選挙では、メルケル首相率いる中道右派政党が得票率の33%(戦後最低)で第一党となり、極右政党で反移民を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」が13%を獲得しました。

 英国のメイ首相は、EU離脱に伴う数百億ポンドの支払いを受け入れるとの見方を示しましたが、労働許可、貿易、関税といった大きな問題についての交渉は続いています。日本では安倍首相が支持率の回復を狙って衆議院を解散しました。

 トランプ政権はオバマ政権下で施行された「幼少期に米国に到着した移民への執行延期措置Deferred Action for Childhood Arrivals(DACA)」について、議会が代替法案を可決できなければ6ヵ月以内に廃止すると発表しました。また、新たな入国規制(期限切れとなった前回の規制に代わるもの)を発表し、従来のイラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメンに加え、チャド、北朝鮮、ベネズエラが対象国に追加された一方で、スーダンは対象から除外されました。

 共和党は再びオバマケアの廃止または代替を試みましたが、単純過半数で可決できる期限までに採決に持ち込むことができず(共和党指導部は採決すら認めませんでした)、今回も失敗に終わりました。今では60%の賛成票が必要となります。

●各国中央銀行の政策行動

 74歳になる連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長が、個人的理由によって2017年10月13日付での退任を突然発表しました。同副議長は2018年半ばの退任が予想されていたことから、今回の発表は予定が早まったに過ぎません。フィッシャー副議長はイエレンFRB議長の見解を強く支持しています。トランプ大統領は副議長の後任と次期FRB議長候補を指名(もしくは、現在のFRB議長で、2018年2月で任期を終えるイエレン氏を再任)することになり、いずれの候補も上院の承認を得る必要があります。トランプ大統領が指名した候補者が就任するのは2018年で、それまでは金融政策の決定には係わらないものの、候補者の言動は影響力を持ちます。フィッシャー副議長の退任の発表は、金利に直接影響を与えませんでした。

 地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、個人消費は増加しましたが、商業ローンは減少しました。また、自動車産業の減速に対する懸念が明記され、労働市場は引き続き、「引き締まっている」と評価されました。7月のJOLT(求人労働移動調査)では求人件数は617万件となり、6月の612万件から増加しただけでなく、予想の600万件も上回りました。

 FRBは4兆5000億ドルのバランスシートの縮小を2017年10月に開始し、保有資産を月額100億ドルずつ削減すると発表すると同時に、12月会合で今年3回目となる利上げ決定をなお想定していることを示唆しました。今後の見通しとして、FRBは利上げを2018年に3回、2019年は2回、2020年は1回見込んでいることを明らかにしました。イエレン議長はクリーブランドでの講演で、インフレ率はFRBが予想した水準を下回っているが、なお想定通りに推移しており、2017年12月に0.25%の利上げが決定される見通しだ、と述べました。

 欧州中央銀行(ECB)は政策金利を据え置き、資産買い入れ(月額715億ドル)を少なくとも2017年12月末まで、あるいは必要があればそれ以降も継続することを発表しました。日銀は金利を据え置きましたが、投票結果は全会一致ではなく、1名の委員が金融緩和を主張して反対票を投じました。

●グローバル経済

 ユーロ圏の8月のインフレ率は前年同月比1.5%となり、7月の同1.3%から上昇しました。9月のユーロ圏マークイットサービス業PMIの速報値は予想の54.8を上回る55.6となり、同製造業PMIの速報値は予想の57.2に対して58.2となりました。

 S&Pグローバル・レーティングは中国の与信拡大によるリスクを理由に、中国のソブリン格付けをAAマイナスからAプラスに引き下げました。また、香港の信用格付けも最上位のAAAから米国と同格のAAプラスに引き下げました。

 米国の経済指標関連では、8月のマークイット製造業PMIは7月の53.3から52.8に低下し、サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は7月の56.3から58.8に上昇しました。8月のサービス業PMIは56.0と、7月の54.7から上昇しましたが、予想の56.9には届きませんでした。ISM非製造業景況指数も同様に、7月の53.9から55.3に上昇しましたが、予想の55.8を下回りました。9月のPMI速報値は、製造業PMIが8月の52.5に対して53.0に上昇、サービス業PMIが8月の56.9に対して55.1に低下した結果、総合PMIは54.6となりました。

 8月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.4%上昇し、食品とエネルギーを除くコアPPIは同1.9%上昇しました。8月の消費者物価指数(CPI)は予想通り前年同月比1.9%の上昇となり、コアCPIは予想の同1.6%上昇を小幅に上回る同1.7%上昇でした。8月の個人所得は前月比0.2%増、個人消費支出は同0.1%の増加でした。8月のPCE価格指数は前月比では0.2%上昇、前年同月比では1.4%の上昇でした。

 7月の建設支出は予想の前月比0.6%増に対して同0.6%減となり、前年同月比では1.6%増となりました。7月の製造業受注は予想の前月比3.2%減とほぼ同じ同3.3%減となり、6月の数字は速報値の3.0%増から3.2%増に上方修正されました。8月の鉱工業生産は予想の前月比0.1%増に対して同0.9%減となり、設備稼働率は7月の76.9%から76.1%に低下しました。8月の卸売在庫は前月比1.0%増、小売在庫は0.7%増となりました。7月の企業在庫は予想通り前月比0.2%増加しました。耐久財受注は予想の前月比1.5%増を上回る同1.7%増となり、前年同月比では5.1%増となりました。

 8月の財の貿易収支は輸出が0.2%増、輸入が0.3%減となり、その結果、629億ドルの赤字となりました。8月の輸入物価指数は予想の前月比0.4%上昇に対して同0.6%上昇(前年同月比では2.1%の上昇)、輸出物価指数も予想の0.2%上昇に対して0.6%上昇(前年同月比では2.3%の上昇)となりました。

 2017年第2四半期の非農業部門労働生産性の確報値は予想の前期比1.3%上昇を上回る同1.5%上昇(速報値の同0.9%上昇から上方修正)となり、単位労働コストは予想の前期比0.3%上昇に対して同0.2%上昇しました。

 9月のミシガン大学消費者信頼感指数は8月の95.3から95.1に低下しました。9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は119.8と、予想の120.2を下回り、同時に8月の数字は速報値の122.9から120.4に下方修正されました。8月の自動車販売台数は7月の軟調から改善しましたが、内訳は強弱が入り混じり、General Motors(GM)が前月比7.5%増、Ford(F)は同2.1%減でした。8月の小売売上高は予想の前月比0.1%増に対して同0.2%減、自動車を除く小売売上高は同0.2%増となり、予想の同0.5%増を下回りました。8月の景気先行指数は予想の前月比0.2%上昇を上回る同0.4%上昇となりました。

 2017年第2四半期のGDP成長率の確報値は予想通り前期比年率3.1%となり、改定値の同3.0%から上方修正されました。2017年第2四半期の企業利益の確定値は前年同期比7.4%増でした。

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