S&P 500月例レポート(2017年9月配信)

●各国中央銀行の政策行動

 イングランド銀行は政策金利を据え置き(6対2)、同時に2017年の予想成長率を1.9%から1.75%に、2018年は1.8%から1.6%に引き下げました。7月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表され、一部のメンバーがバランスシート縮小プロセスの開始を主張したのに対して、数名のメンバーが2%の目標を下回って推移しているインフレ率を主な理由に、反対したことが明らかになりました。

 なお、2017年9月19-20日に予定されている会合では、バランスシート縮小プロセスが開始されるか、そのスケジュールが示される見通しです。8月はカンザスシティー連銀が主催する、年に一度のジャクソンホール会議が開催され、FRBのイエレン議長とECBのドラギ総裁が講演しましたが、いずれも今後の政策変更を示唆することはありませんでした。

●世界の動き(もはやテロ事件も無視できない)

 ケニアの大統領選挙では現職のケニヤッタ氏が再選を果たしましたが、野党候補の支持者による抗議が暴動に発展し、不正投票の疑惑も報じられています。ベネズエラで行われた選挙ではマドゥロ政権が憲法改正の権限を握りましたが、野党のリーダーは選挙の不正を訴え、この問題に抗議する反対派のデモが続いています。米国は人権侵害や、独裁体制の強化を狙った違法選挙を理由に、マドゥロ政権に対する制裁を決めました。ベネズエラ国内では、新たに発足した制憲議会の権限が強まったことに反対するデモが続いています。ベネズエラの外貨収入の95%を占める石油生産に関与しているChevron(CVX)、Repsol(REPYY)、Statoil(STO)、Total(TOT)といった企業は、同国から従業員を引き上げています。

 対立と言えば、米朝間の緊張も一段と高まっており、米国は北朝鮮をけん制しようと、大陸間弾道ミサイルに対する迎撃実験をカリフォルニア州で再度行いました。中国は、北朝鮮の核開発計画を阻止することを狙った国連の制裁決議(中国も賛成票を投じた)に対応し、北朝鮮からの石炭、鉄・鉄鉱石、海産物の輸入を禁止しました。北朝鮮は米国領グアム近海を目標としたミサイル発射計画を撤回しましたが、8月後半にはミサイル3発を発射し、さらに1発は日本の上空を通過するなど、発射テストは続けられています。

 フランスではパリ近郊で兵士の集団に車両が突っ込み、6人の兵士が負傷しました。運転していた容疑者は逮捕され、テロ事件と断定されました。スペインのバルセロナでは、多くの観光客で賑わう目抜き通りをワゴン車が暴走し、16人が死亡、100人以上が負傷しました。これもイラク・シリア・イスラム国(ISIS)が関与したテロ事件と断定されました。バルセロナから120キロ離れたカンブリスでも自動車が歩行者に突っ込み、警察がテロの容疑者5人を射殺しましたが、バルセロナの事件と関連があるとみられています。

●企業の雇用とレイオフ関連

 8月のADP民間雇用者数は、前月比18万5,000人増の予想に対して同23万7,000人増と大幅に上回り、7月についても当初の17万8,000人増から20万1,000人増に上方修正されました。7月の雇用統計も堅調が続き、非農業部門就業者数は20万9,000人増と、予想の17万8,000人増を上回り、6月の数値も予想を大幅に上回った22万2,000人増(予想は17万人増)から23万1,000人増に上方修正されました。失業率は前月の4.4%から4.3%に低下し(予想通り)、2001年以来の低水準となりました。労働参加率は62.9%と、前月の62.8%から上昇しました(5月は62.7%)。週平均労働時間は前月と同じ34.5時間でした(予想通り)。平均時給は前月比0.3%増の26.36ドルで予想と一致し(前月は26.25ドル)、前年同月比では前月と同じ2.5%の伸びとなりました。この雇用統計に関して市場では、全般的に緩やかで底堅い前進を再び示したとみられたことから、大きな反応は見られませんでした。6月のJOLT(求人労働移動調査)では求人件数は616万3,000件となり、5月の570万件から増加しただけでなく、予想の560万件を大幅に上回りました。

●米国経済

 7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は予想の53.2をわずかに上回る53.3となり(6月の52.0から上昇)、サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は6月の57.8から56.3に低下しました(予想は56.2)。7月のサービス業PMIは予想の54.2に対して54.7となり、6月の確報値の54.2から上昇し(速報値は53.0)、ISM非製造業景況指数は予想の56.9や6月の57.4を下回る53.9となりました。7月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.1%低下(予想は0.1%上昇)、前年同月比では1.9%上昇となりました。8月のPMI速報値は、製造業PMIが52.5(予想は53.2)、サービス業PMIが56.9(予想は54.8)、総合PMIは予想の54.3を上回る56.0となっています。7月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%の上昇と、予想の0.2%の上昇を下回り、前年同月比では1.7%上昇しました。コアCPIも予想の前月比0.2%の上昇に対して0.1%上昇し、前年同月比では1.7%の上昇でした。

 7月の鉱工業生産は前月比0.3%増の予想に対して0.2%増となり、設備稼働率は前月と同じ76.7%で予想と一致しました。6月の建設支出は前月比では予想の0.5%増を下回る1.3%減となり、前年同月比では1.6%増となりました。6月の製造業受注は前月比3.0%増となり、予想の2.7%増を上回りました。5月の数字は当初発表の0.8%減から0.3%減へ上方修正されました。6月の卸売売上高は予想の前月比0.6%増をわずかに上回る0.7%増となりました。

 第2四半期の労働生産性は前期比で0.9%上昇し、第1四半期の0.1%上昇(速報値の横ばいから上方修正)から大幅に改善しました。単位労働コストは予想の前期比1.3%上昇を下回る0.6%の上昇でした。第1四半期が速報値の2.2%上昇から5.4%上昇に上方修正されたことが影響しました。

 7月の輸入物価指数は予想と一致して前月比0.1%の上昇、前年同月比では1.5%の上昇となったのに対し、輸出物価指数は前月比で0.4%上昇し(予想は0.2%上昇)、前年同月比では0.8%上昇しました。6月の個人所得は前月比0.4%増の予想に対して横ばいとなり、5月は当初の0.4%増から0.3%増に下方修正されました。6月の個人消費支出は予想通りの前月比0.1%増でした。第2四半期の企業利益は前年同期比8.1%増でした。7月の個人所得は予想と一致して前月比0.4%増、個人消費支出は予想の0.4%増を下回る0.3%増となりました。7月のPCE価格指数は予想と同じ前月比0.1%の上昇、前年同月比では1.4%の上昇となりました。コアPCE価格指数も前月比で0.1%上昇し、前年同月比では1.4%の上昇でした。

 7月の自動車販売台数は減少し、Ford(F、発表週に2.8%安)は7.4%減、General Motors(GM、同1.2%安)は15.4%減でした。7月の小売売上高は予想の前月比0.3%増を上回る0.6%増となり、6月の数値は当初の0.2%減から0.3%増に上方修正されました。7月の耐久財受注は前月比5.8%減の予想を下回る6.8%減となり、前年同月比では4.2%増でした。7月の財の貿易収支は輸出が1.3%減、輸入が0.3%減となり、貿易収支は651億ドルの赤字となりました。7月の小売在庫は前月の前月比0.6%増から0.2%減に落ち込み、卸売在庫も6月の0.6%増に対して7月は0.4%増となりました。8月の消費者信頼感指数は122.9と予想の120.6を上回り、7月の数値は当初の121.1から120.0に下方修正されました。2017年第2四半期GDP成長率は前期比年率換算で予想の2.8%を上回る3.0%となり、実質個人消費は3.3%増でした。

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