メイ英国首相訪日の画期的意義

 対EUとの経済関係を要約すれば、英国はEUにとって米国に次ぐ輸出相手国であり、貿易面で巨額の赤字を持つ一方、日本や米国の企業、金融機関などの欧州拠点であり対EU投資で所得を稼ぐという相互依存関係にある、と言える。したがってBrexitとそれに伴う英ポンド安は、対EUとの貿易収支を大幅に改善する一方、EU圏をにらんだ対英投資を冷え込ませ、また英国の国際金融拠点としての競争力をそぐと言うデメリットもある。

 このメリット、デメリットの比較において、むしろメリットの方が優る可能性が大きいのではないか。英国の国際金融拠点、国際サービス産業拠点としての魅力度はEUに加盟しているからというよりは、それ以前から備わっている特質に由来すると考えられる。英国で金融業の免許を持っていればEU全域で営めると言うシングル・パスポート制度が失われれば一定の影響は避けられないが、相応の激変緩和措置もあり得る。情報の集積、ネットワーク形成等を考えるとフランクフルトなどが、ロンドンに代替する国際金融拠点化するとは考えにくい。
 
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●英国の世界金融拠点上での競争力は容易に損なわれず

 グローバリゼーションの主要素、資本主義、市場経済、民主主義と英語、諸法体系とビジネスプロトコルなどの母国は米国とともにイギリスである。イギリスは米国とともに世界秩序の主柱であり、依然として英連邦の主宰国であり、多様な国際関係の中核国である。英国の国際金融拠点、サービス業拠点としての地位はBrexit後も変わらないのではないか。実際スイスはEUには加盟していないが、EUとの健全なビジネス関係を構築している。

●英国が反グローバル化するとは考えられない

 そもそも、これほどまでの開放的経済大国化した英国が、Brexit が現実化したからと言って、巷間語られるような閉鎖主義、排外主義に陥るとは考えられない。むしろ英国はEU以外の諸国・地域との連携を強め、別な形でのグローバリゼーションの深化を図るのは確実であろう。

 言うまでもなく今後の世界経済成長を牽引する地域・国は米国、インド、ASEAN、アフリカなど、むしろ非EU圏にある。大英帝国の遺産である英連邦を基礎とした国際的ネットワークの翼をそれらの国・地域に広げるという選択肢が浮上してくるとすれば、EU側も、離脱後の英国を冷たくあしらうわけにはいかないだろう。ましてイタリア、スペイン、ギリシャなどの南欧諸国が(いかにポピュリズムが台頭しているとはいえ)EU離脱により、現在手にしている信認の高い通貨(ユーロ)と有利な金利を手放すとは考え難い。それは危機に瀕したギリシャのチプラス政権の変身を見ても明らかであろう。このように見てくると、Brexitが、欧州統合の崩壊の始まりとかグローバリゼーションの失敗や終焉等というセンセーショナリズムは極論であることが分かる。
 

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