S&P 500月例レポート(2017年8月配信)

●トランプ大統領と政府高官

 トランプ大統領はドイツのハンブルクで開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席しました。この2回目の外遊の途中で数カ国を訪問しましたが(訪問先の国々でトランプ大統領に対する抗議が起きました)、最も注目を集めたのはG20サミットの最中に行われたプーチン大統領との会談でした。G20サミットでは、貿易をめぐる意見の不一致が浮き彫りになり(米国を除く全ての国がトランプ大統領の「米国第一主義」に反対しました)、気候変動対策に関する新たな妥協案の起草も断念する結果となりました。トランプ大統領とプーチン大統領の(2時間16分に及ぶ)会談では、シリア南西部での停戦が合意されました。初期段階では、この停戦合意は維持されている模様です。

 トランプ大統領とマクロン大統領はパリで会談を行い、双方の意見の違いに理解を示し、両国共通の利益に係る分野において努力することを表明しました。トランプ大統領は、米国がパリ協定に再び参加する可能性があることを示唆しました。

 一方、トランプ大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏は、2016年11月に行われた米大統領選の前にロシア政府の代表者と会談していたことが報道され、トランプ・ジュニア氏が公表した電子メールでもそれが確認されました。この会談はヒラリー・クリントン候補にとって不利な情報の入手に関するものでした。この件が明らかになったことで、ホワイトハウスの関係者に対する調査が強化され、トランプ・ジュニア氏は後に、米国上院委員会において非公開で証言しました。

 トランプ大統領は、セッションズ司法長官がロシア疑惑の調査から身を引くことが分かっていたら、同氏を司法長官には指名しなかった、と語りました。一方、セッションズ司法長官は職務を継続することを表明しました。トランプ大統領はロシア疑惑の捜査の対応にあたっている、大統領の個人的な法律チームのメンバーを刷新しました。また、ホワイトハウスのスタッフ数名も更迭し、投資家であるアンソニー・スカラムッチ氏をホワイトハウス広報部長として新たに採用しました。この採用に反発したショーン・スパイサー大統領報道官が辞任した後、トランプ大統領はラインス・プリーバス首席補佐官を更迭し、後任にケリー国土安全保障省長官を起用しました。ホワイトハウス広報部長に就任したアンソニー・スカラムッチ氏は就任後10日で辞職しました。

 議会上院では共和党員の党派心が発揮され、ヘルスケア法案の審議開始が辛うじて可決されましたが(上院議長を務めるペンス副大統領が議長決済票で賛成票を投じました)、その後の法案通過は否決されました。オバマケアの廃止の範囲を縮小した「スキニー」と呼ばれる廃止法案(オバマケアにわずかな修正を加えた法案)はギリギリの攻防の末に、賛成49、反対51で否決されました。この結果、スキニー廃止法案は放棄され、共和党指導部は民主党に対して、交渉による総合的な法案を提出する姿勢を示しました。医療保険業者は今後の政府助成金を案じて(トランプ大統領は7月分を支払うことを表明しています)、州が運営する保険制度から徐々に撤退しつつあります。今後に目を向けると、上院は8月の休会終了後(2017年9月5日)に、税制改革の審議を開始する予定であることを表明しました。本稿執筆時点で、市場が税制改革による押し上げ効果を織り込んでいる様子はありません。

●各国中央銀行の政策行動

 カナダ中銀は7年ぶりの利上げで政策金利を0.50%ポイント引き上げて0.75%とし、今後の金利政策は「経済指標次第」であるとの見方を示しました(米国の連邦公開市場委員会・FOMCも同様の文言を用いています)。日銀は金融政策決定会合で、物価上昇率2%の目標達成時期を2020年に先送りしました。

 欧州中央銀行(ECB)の政策理事会はこれまでの政策を据え置き、秋(2017年第4四半期)に資産購入プログラムについて(理事会内で)議論することを理事会後の記者会見で示唆しました。6月の政策理事会の議事要旨では、ECBがユーロ圏経済に対する自信を深め、量的緩和プログラム(QE)における資産購入規模の縮小を検討していることが明らかになりました。

 FOMCは7月25~26日に2日間の会合を行い、これまでの政策を据え置きました。会合後の声明によれば、米連邦準備制度理事会(FRB)は今後早い時期に保有債券の再投資政策を変更し、バランスシートを縮小する見通しです。FOMCはまた、インフレ率が2%を下回る水準で推移する中、米国経済は改善しており、リスクバランスは引き続き均衡していることを指摘しました。

 トランプ大統領は投資ファンドのマネジャーであるランダル・クオールズ氏をFRBの大手銀行監督担当の副議長に指名しました。クオールズ氏はFRB理事の定員7人に名を連ねることになります。さらに、トランプ大統領は2018年2月3日に任期切れを迎えるFOMC議長職の有力候補として、イエレン現FRB議長と、(元ゴールドマン・サックス役員で、国家経済会議委員長でもある)ゲイリー・コーン経済担当大統領補佐官の名を挙げました(FOMC会合は2017年9月19~20日、10月31~11月1日、12月12~13日、2018年1月30~31日)。

 ECBのドラギ総裁はカンザスシティー連銀主催のジャクソンホール・シンポジウムで講演を行う予定です(2017年8月24~26日)。ドラギ総裁は前回2014年8月にジャクソンホールで講演した際に、ECBの資産購入プログラムの開始を示唆したことから、今回の講演でECBの景気刺激策の縮小が示されるのではないかと予想する向きもあります。

●世界の動き

 ベネズエラではマドゥロ大統領が目指す憲法改正のための制憲議会発足に反対する非公式の国民投票が実施され、国民が反対票を投じました。米国は制憲議会選挙の実施に先立ち、ベネズエラ高官ら13人に対して制裁を科しました。

 ポーランドではドゥダ大統領が、政権与党が提出した司法改革法案に拒否権を発動しました。同法案は政府に最高裁判事全員に退任を迫る権限を認める内容でした。

 北朝鮮は今年に入って11回のミサイル発射を実施しましたが、直近に発射されたのは米国本土を射程圏内に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)でした。米国は国連安保理の緊急会合開催を要請し、より厳しい対応が協議されて強い非難声明が発表されましたが、(最終的に)米国は外交努力を続ける姿勢を示しました。7月末に北朝鮮は再度米国を射程圏内とするICBMを発射したため、これに対抗して米国は朝鮮半島上空に爆撃機を飛行させました。

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