トランプ政権下の日本株投資戦略、壮大な上昇相場の始まりに

 米国の失業率は足もとで4.7%とほぼ完全雇用の状態にあります。そのようななかでの景気拡大ですから、当然インフレ圧力は高まります。FRBは最低でも2回、あるいは3回と政策金利を引き上げることになり、市中金利も上昇するでしょう。そうなると、ドルも相当強くなります。当面は景気ブーム、株高、金利上昇、ドル高、こういったうねりが起こると思います。

 しかし、もっと重要な点は、米国経済のファンダメンタルズが、大統領選挙の前から歴史的に例を見ないほど良い状態にあったということです。それは、(1)企業収益が過去最高の水準にあること、(2)グーグルやアップルのようにイノベーションに基づくグローバルな競争力をもっている企業が多数存在すること、(3)貯蓄が潤沢で投資余力が高まっていること、(4)財政が健全化していること、(5)インフレ率が抑制されていること、です。

 したがって、今の米国経済はものすごく馬力の強い機関車のようになっているといえます。だからこそ、新政権が打ち出す政策が燃料になって非常に大きな効果を発揮することが期待できるのです。この点を、まずは強調しておきたいと思います。
 
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小祝:米大手ファンドKKRのヘンリー・クラビス会長はトランプ新大統領には、経済の閉塞感を打破し、時代遅れになったルールや政治体制を刷新してくれるのではないか、という期待感があると述べていますが、先生はこの点についてどのようにお考えでしょうか。

武者:米国経済の強さ、一番の活力は、新しいビジネスがどんどん興ってきたことだと思います。しかし、米国の開業率を見ると過去ずっと高水準だったものが、リーマンショック後に廃業率と同じところまで急落し、その後も上昇していません。

 今の米国経済の問題点を挙げるならば、このように、若々しさが消えてしまったところではないでしょうか。それが、閉塞感につながっていると思います。そしてトランプ新大統領は、この原因を規制によるものだと考えているのだと思います。全てとは申しませんが、基本的に私もそう思います。
 
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 企業に対する規制の中でも、今後緩和が期待されるのは金融規制です。ドッド・フランク法といった非常に厳しい金融規制によって銀行が金を貸せなくなっていることは非常に大きな問題です。現状は、FRBが超金融緩和をしてエンジンをふかしているにもかかわらず、信用創造が十分とは言えない状況です。

 これを見て資本主義が終わりに向かっているといった極論を言う人がいますが、これは間違っています。確かに、これだけエンジンをふかして車(資本主義)が走ってないのですから、車が壊れているという見方は大衆受けしそうです。しかし、よく見れば、アクセルと同時に、金融規制という強烈なブレーキをかけているのです。日本でも、ヨーロッパでも、バーゼル規制を中心とした過剰な統制は行われていて、経済を損なっている要素は大きいと思います。

小祝:トランプ新大統領は、選挙期間中に移民の制限や保護主義的な主張を繰り返していました。そういった政策が実行されると、労働力不足やインフレ率の上昇といった問題を起こし米国経済の足を引っ張る可能性があると思うのですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

武者:私はその点について、基本的に心配していません。そんな政策は到底できないし、誰も得をしないので、合理的に考えればやるわけがないのです。トランプ新大統領が選挙期間中に主張してきた保護主義的・孤立主義的な発言は、選挙用のレトリックという側面が強いでしょう。

 トランプ新大統領のそういう発言の意味を考えると、虐げられている貧しい白人の肉体労働者に寄り添う姿勢を示したということだと思います。「君たちを苦しめている奴らを懲らしめてやる」ということですね。ウォール街を強く非難していたことも同じで、新政権移行チームの顔ぶれや新任財務長官を見れば、結局、ウォール街の人達を重用していることがわかります。

 世界最大の覇権国である米国の指導者が、誰の得にもならない、バカげたことをやるわけがありません。トランプ新大統領が過去に何を言ったかということにこだわりすぎると、本質が全く見えなくなってしまします。

【3】米国の好景気、ドル高はこれから相当長い期間続く

小祝(丸三証券 社長):足もとの金利上昇やドル高は行き過ぎると米国経済にとってマイナスの影響が出る可能性もあります。先生は、米国の金利やドル相場についてどのような見通しを持っておられますか。また、その影響についてはどのように考えればよいでしょうか。

武者:レーガン政権の時が典型ですけれども、当時は大型の財政出動と金融引き締めのポリシーミックスによって金利が上昇しドル高になりました。しばらく景気は良かったのですが、最終的には双子の赤字と呼ばれる、大幅な貿易赤字と財政赤字が問題になりました。それを考えるとトランプ新大統領の今回の政策も、結局は、金利上昇とそれによる過剰なドル高につながり、景気を息切れさせてしまうのではないかという懸念は、一般的な解釈としてはあり得ると思います。

 ただし、今とレーガン政権当時とは大きく違っているところがあります。それは先ほども申しましたが、米国経済のファンダメンタルズが、かつてないほどに良いということです。レーガン政権のときは、米国の産業競争力が大幅に劣化しつつあって、特に日本との競争において、エレクトロニクスや自動車といった製造業の分野で、まさに追い越されようという状況でした。それ故に、ドル高によって貿易赤字が大きくなって、日米貿易摩擦を引き起こしました。そして、輸出産業を中心に企業収益が悪化したために、歳入も思うように増えず財政赤字が膨らんだということです。

 私は、今回は良い意味での金利上昇、ドル高が相当長期間にわたって続くのではないかと思っています。つまり、金利は上昇するけれども、そのペースは緩やかで景気を冷やすほどではない。そして、ドル高になっても米国の貿易赤字は大きくならない、ということです。貿易赤字に関しては後で詳しくご説明しますが、ドル高になっても増えるどころか減る可能性もあると見ています。

 金利上昇は当然、経済成長を抑制する要因になります。しかし、同時に進むドル高によって海外からの資金流入も増加して、米国の金利上昇ペースは抑えられると思います。また、今の米国には、かつてのイメージとは違って、企業部門、家計部門ともに潤沢な貯蓄があります。これも金利上昇を抑制する要因になります。

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