2016年12月1日時点での主要市場見通し

・長期的には、世界の株価や外貨相場(対円)については、楽観している。世界の実質経済成長率は(図表2)、先進国は足踏み気味であるし、世界全体でも決して急加速はしないが、新興国中心に徐々に持ち直すと見込まれている。世界景気の持ち直しは、当然株高要因であるし、リスクを取って様々な国に投資しようとの動きが強まることは、「リスク回避のための円高」の裏返しで、円安・外貨高要因となる。

・ただ、表面的な実質経済成長率の高まりが極めて限定的でも、投資テーマ(パラダイム)は徐々にではあろうが、大きく変化していくことが想定される。それは、これまでの「ディスインフレ」(日本はデフレ気味)、「ゼロ・マイナス金利」、「利回りが高く安全な投資先志向」から、「マイルドインフレ」、「プラス金利」、「リスクはあるが成長性の高い資産への投資」へ、といった変化だ。

・トランプ新政権が、インフラ投資の拡大や減税により、成長志向ではないか、との足元の市場の評価は、述べたような投資テーマの変化に気づかされる、1つのきっかけだったのかもしれない(米次期政権の経済政策を高く評価するものではない)。

・中国に対するいたずらな悲観論は後退しており(ただし中国経済の成長率の緩やかな低下は長く続く)、ブラジルやロシアなどの経済成長率も、徐々に持ち直しの気配を見せている。これが国際商品市況の底入れに寄与している。エネルギー価格は、生産コストを大きく低下させた米シェールオイル・ガスの増産が見込まれるため、上値は極めて限定的であろうが、現水準から原油価格が横ばいでも、前年比ベースではこれまでの下落から上昇へと転じつつある(図表3)。

・米国株のイールドレシオをみると、これまでは長期的に上値が低下していく傾向線が存在した(図表4)。これは、米国経済の長期的な成長力の減退を示していた(PERも長期金利も、低くて当然という市場実態に移行してきた)ためだと推察されるが、足元の市場動向で、上値抵抗線を上抜けてきている。これは、証券市場における大きなトレンド変化の始まりかもしれない。

・このように、経済の成長率がじわりと高まり、物価が押し上がり、金利がある程度の水準に上がってくる、という展開を予想するわけだが、それはバブルの再来でも、努力しない企業や産業が救われることでもない。引き続き国際的な競争は厳しく、知恵を出して付加価値を生み出し続けないと、これまでの成長企業が、あっという間に消え去ることになるだろう。マクロ経済の大きな明るい変化は、これまでは努力する企業や産業すらも報われにくかった経済環境が、努力する企業や産業だけはそれに応じて相応に報われる経済環境になってくる、ということを意味すると考える。

・こうした経済環境下では、何もせずに、現金を抱えてじっとする企業は、淘汰されていくだろう。リスクを取って現金を何らかの形で有効に使う企業が、報われることになるだろう。

(図表3)
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(図表4)
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・しかし、厳しい競争に対して、政治的に抵抗する勢力はある。特に衰退する産業・企業においては、そこで働く人たちは、職を失うことに対する危機感が強い。しかし多くの識者が指摘するのは、そうした層は衰退する産業から拡大する産業に転職しようとの気概も、新しい産業で働くためにITスキルなどを学ぼうという意欲も、乏しいという点だ。

・こうした「自分は何も努力する気はないが、何かいいことが起こらないだろうか」といった層の不満は、外に向かっている。すなわち、「安値で輸出攻勢をかけてくる新興国が悪い」「職を奪う移民が悪い」といったようなものだ。こうした層は普段は静かだが、無記名投票になると本音を現し、英国のEU離脱や米トランプ政権の誕生を引き起こした。

・しかし前述のように、努力する企業や産業(そして労働者)は報われるが、そうでない企業や産業は報われない、という当たり前の経済環境が続くだろう。その時に、たとえば米国では、「トランプ政権に期待したが、何もしてくれない」との的外れな不満が爆発する恐れがある。そうした事態になれば、米次期政権は、支持率を大きく低下させて力を失うか、あるいは悪あがき(対中経済圧力を強める、保護貿易主義的な経済政策を一段と強化させる、国際的に活動する企業を叩いて米国内回帰を強制する、米ドル安を強く求める、など)に走る恐れが強まる。

・こうした米国内での政治的混乱がいつから始まるかは予断を許さないが、仮に 2018年以降にそうした事態に陥るとすると、市場はそれを先取りして 2017年のどこかから、米株価・米ドル相場の調整に陥る(下落しないまでも、少なくとも上昇の足が止まる)展開が懸念される。2017年の世界市場の株高・外貨高のピークは、年末ではなく年央近辺のどこかの可能性を想定する。

以上、シナリオの背景。
このあと、前月号(2016年11月号)見通しのレビュー。

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