ピケティ氏よりトランプ氏、世界過剰貯蓄に対する最適処方箋

【5】トランプ政権登場の必然性、歴史的意義はあるのか

変革が必要であった、(1)世界秩序、(2)富の還流、が行き詰っていた

 トランプ氏がレーガン氏の様に歴史的大統領になるのかならないのか、判断はあまりにも時期尚早ではある。しかし全くのアウトサイダーであったトランプ氏を登場せしめた必然性があるとすれば、トランプ氏が歴史的指導者として大化けする可能性を秘めている、と言える。

 トランプ大統領当選後の、メディアや市場の反応には戸惑いがある。確かに彼の主張は矛盾と欺瞞に満ち、大衆の怒りをたきつけそれに依拠する典型的ポピュリスト、とみなされても仕方がない面はある。しかし、彼を支持した有権者の大半がポピュリスト的主張を支持したとは考えられない。最も民主主義の鍛錬を積んだ米国有権者がトランプ氏に託した期待とは何か、を想像することが大切である。株式市場がこれほどまでに肯定的に反応している以上、そこには明白な合理性があるはずである。トランプ氏の訴えが有権者の琴線に触れたことを、認めなくてはならない。

 その第一は、世界秩序の衰弱(米国から見れば無法の闊歩)であろう。不法移民もイスラムに対する過激発言も、有権者は世界の無法を容認しない意志ととらえたのではないか。とすれば答えは米国覇権と世界秩序の再構築であり、軍事力増強が必要となるが、それは孤立主義とは対極のモノである。トランプ氏がPeace through strength というレーガンのアジェンダを繰り返して述べていることはそれを示していると考えられる。新たなならず者国家の台頭、テロの多発、新大陸サイバー(=サイバー空間)での覇権と安全保障確保、などに対する対処が必要である。そして経済ファンダメンタルズは米国の国防力増強、覇権強化を十分に可能にする強さがある。

 第二は、企業の儲けが広範な雇用や生活水準の向上につながらない経済の目詰まり、グローバリゼーションの繁栄から取り残されている地方経済とスキルの低い労働者への共感である。保護主義や孤立主義的発言は低スキル労働者の窮状を放置しないというメッセージとしてとらえられた。それはプロ成長政策によって解決できる。地域経済、低スキル雇用の底上げが最重要な政策課題と認識され、この二つの課題にヒラリー・クリントン氏とトランプ氏のどちらが解決能力を持っているかが問われ、米国有権者はトランプ氏と判断したのではないか。またリーマン・ショック以降金融規制が強化され、新規ビジネス開業が大きく落ち込んでいることも、経済の目詰まりと見られる。上下両院を制した共和党の伝統的政策との折り合いをつけつつ、大胆な政策が打ち出されようとしている。トランプ氏がどう考えても実現不可能なポピュリスト的主張(保護主義、孤立主義、排外主義)を修正していけば、それはレーガン流保守革命の第二弾と言うほどの変化をもたらす可能性もある。
 
zu12-13
 
 トランプ氏の本音主義、過剰なコンプラ批判、建前理想主義批判は潜在的に人々が求めているものだったのかもしれない。

良好な日米関係が想定される、円高圧力はもう起きない

 そうしたトランプ氏の傾向は、安倍首相との親和性がある。安倍=トランプ関係は、ロン(レーガン)=ヤス(中曽根)関係に似る可能性がある。世界の首脳の中で安倍首相が最初にトランプ氏と会見したことはそれをうかがわせる。日米関係はむしろ好転していくのではないか。日本の新安保法制の策定や、対米思いやり予算(駐留経費の75%負担率は世界最高)をトランプ氏は必ず評価しよう。また外貨準備のすべてを米国国債で運用している日本の協力的運用姿勢(中国との大きなコントラスト)をトランプ氏が知れば評価するだろう。日本経済のプレゼンスの上昇は、(1)日米で補完分業体制が確立していること、(2)中国のオーバープレゼンスの抑止、の観点から歓迎されるだろう。

 円高誘導はもう起きない。日本にとってアンフェアな為替操作国モニター制度は修正されるかもしれない。
 
zu14-15
 

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> ピケティ氏よりトランプ氏、世界過剰貯蓄に対する最適処方箋