フィンテック(FT)と人工知能(AI)

・では、大手金融機関はどうするのか。「金融ニッポン」のフォーラムで、大手のトップがそれぞれ語った。みずほFGの佐藤社長は、FTをベースに、これからはB to Cではなく、C to Bを強化するという。つまり顧客(C)が本当に求めていることをFTで知り、それをサービスに取り込んでいく。

・銀行の伝統的業務は、新規参入のベンチャーも含めて、どんどんアンバンドリングされていく。お金を貸すオンラインレンディングが台頭している。ロボットが資産運用のアドバイスを行うロボアドは、これまでの4分の1の手数料で同じようなサービスを提供する。そういう動きが海外では進んでいる。海外の大手金融機関は新しいベンチャーと組んで、FTに取り組んでいる。みずほもそれにならって、オープンイノベーションを強化する。

・野村HDの永井CEOは、ロボアドの導入を進めるという。AIのDL(ディープラーニング)を利用して、運用のゴールと金額を定めて、投資家のタイプを判断していけば、それに合った運用方法をアドバイスする。そのサービスをまもなく本格化させる。

・三菱UFJ(MUFG)の平野社長は、ブロックチューン技術を利用したビットコインのような独自のプライベートコイン(MUFJコイン)を開発しており、これを広く使えるように工夫するという。通常のビットコインよりも信用がおけるものにしたいと強調する。

・金融はやはり信用が大事なので、ベンチャーといえども、一気には成り上がれない。三菱UFJはベンチャーと組んで、新しい仕組みを作り、既存の仕組みを壊しながらでも、大いにFTを進めるという。

・では、FTの何が新しいのか。利用者サイドからは、1)利便性が高まるのか、2)安全で信用できるのか、3)コストが安く済むのか、という3つが問われる。サービスを提供する金融機関サイドでは、1)新しい技術を活用していかにビジネスモデルに仕上げるか、2)そのセキュリティは万全か、3)コストを上回る付加価値を作り出せるか、が勝負である。

・アンバンドリングによって、バリューチェーンが破壊される既存の金融機関にとっては、新しい仕組みを自ら提供し、顧客と事業を守りたいと考える。さらに既存のビジネスを失っても、それを上回る新しいビジネスを手に入れるように、ビジネスモデルをチェンジしていく。大手金融機関は、オープンイノベーションをベースに、ビジネスモデルのトランスフォーメーションを推進すべく舵を切っている。

・FTでも、IoT、AI、BD(ビッグデータ)、RB(ロボット)が使われる。その中で、一番の鍵を握るAIでは何が新しいのか。東大の松尾豊准教授の話を聴いた。AIの第1期(1960年代)は、チェスを指すなど‘考えるのが早いAI’が特徴であった。第2期(1980年代)は、エキスパートシステムのように専門家の知識を置きかえる‘物知りなAI’であった。そして、今回の第3期(2010年代)は、DL(ディープラーニング)のように‘データから学習するAI’である。

・DLの凄いところは、画像認識にある。コンピュータで初めてパターン認識ができるというレベルにきた。これによって、ロボットで運動の習熟ができるようになり、AIで言語の意味がわかるようになってきた。

・この「意味がわかる」というのは、文と画像の相互変換ができるということである。これまでのAIは、何らかの特徴量を抽出することに主眼があったが、その特徴を事前に決めていたのは人間であり、そこに限界があった。一言でいえば、犬と猫を見分けるのは容易でなかったと、松尾先生はいう。

・今回のDLは、ニュートラルネットワークをモデルとして学習するので、何が特徴かも自分で決めていく。ヒトの視神経モデルに近い。記号とパターン(画像)を、行ったり来たりができる。「風船が飛んでいる」を一度画像にする。次に「風船が山を飛んでいる」を画像にする。そうすると、現実の世界の違いがイメージとしてはっきりしてくる。この記号空間とパターン空間のやりとりで、認識力が格段に上がってくる。

・何よりも目のパターン認識機能が上がり、次に耳の音声認識機能が上がっている。センサーで何らかのデータをとり、そのBDを認識、意味理解、運動へと結び付けていく。その学習プロセスを自動化している。

・金融において、第2世代の時は、一流のプロのFM(ファンドマネージャー)の判断を何とかコンピュータプログラムに置き替えようとしたが、それは余りにも多様でできなかった。今回は認識力が高まり、意味が理解できるレベルが上がっているので、定型パターンを超えて、顧客とやり取りして運用サービスのレベルを上げることができるようになる。

・では、ロボットFMとロボットFMが戦う時代がくるだろうか。それに人間のプロFMが勝てるのだろうか。将棋や囲碁ではAIが勝ってきたが、果たしてどうであろうか。はっきりしていることは、金融において顧客判断をサポートしてくれるコンシェルジュのレベルは、AIの活用で大きく上がってこよう。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

1 2

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> その他> フィンテック(FT)と人工知能(AI)