「市場金利を統制下に」、黒田バズーカ第三弾の威力を考える

2013年から続くGDP>金利の関係
 しかし、日銀が今回の量的金融緩和政策の「総括的な検証」で指摘したように、量的金融緩和が始まって以降、名目長期金利の低下と物価のプラス化により、実質金利が大きく低下し、自然利子率を大きく下回っていると観測されるようになっている。

 何が経済の実力か、自然利子率はどの程度かに関してはいくつかの計測方法により異なる結果が報告されている。しかし、経済の実力を名目GDP成長率、そのコストを名目長期金利と単純化すれば、両者の関係は鮮明である(名目成長率と名目金利の関係は、実質成長率と実質金利との関係と同義である)。図表1に見るようにアベノミクス/量的金融緩和導入前と、後とでは全く変わっていることが明らかであろう。アベノミクス前の20年間(1992年から2012年まで)は金利>GDP成長率の関係が続き、金利(=信用)が経済成長の制約要因であったことが明らかである。しかし2013年以降、両者の関係は GDP成長率>金利とはっきりと逆転し、金利(=信用)が経済の促進要因になっていることが明らかである。

 健全な信用創造が続きデフレに陥っていない米国では、リーマンショックの一時期を除きGDP>金利という関係が維持されている。日本と米国の経済の地力に対する金利の水準が著しく異なっていたことが、日本のデフレの原因であったとすれば、その原因はすでに解消されている。2013年以降3年間続いたGDP>金利の関係が持続できれば、リスクテイクマインドの復元とリスクテイクの果実の好循環を定着させることができる。2015~6年は石油価格下落により(一過性要因とは言え)物価上昇率が低下したが、それが実質金利の上昇につながらないようにするためには、名目金利を引き下げる必要がありここにマイナス金利導入の意義があった。
 
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リスクテイク爆発の引き金になるかもしれない
 今回の長期金利を0%にくぎ付けする日銀の政策は、GDP>金利が長期に続くことを確信させ、一気にリスクテイクを促進する契機になるかもしれない。そもそも、2013年以降雇用者数は増加、労働需給はタイト化し、ようやく賃金上昇が定着し始めている(図表3、4)。原油価格上昇により一時的にマイナスとなったCPIが2017年には1%程度まで回復することもほぼ見えている。28兆円の財政出動、中国経済の小康状態化、商品市況の底入れ、世界貿易の底入れと緩慢な回復、米国経済の堅調、等の環境の下で日本の実質GDPの1%程度までの回復はエコノミストのコンセンサス(ESPフォーキャストでは0.9%)となっている。昨年の企業統治改革(コーポレートガバナンスコード、スチュワードシップコード)に続き、働き方改革、緩慢ながら外国人労働者の受け入れ、配偶者控除の廃止などの税制改革等成長政策も進展している。円高による企業収益悪化も一巡となれば、株式市場に大きな追い風が吹く公算は大きい。まして日本株式はアベノミクス失敗、ないしは頓挫と見た外国人により極端な売られ方をしており、需給(裁定買い残の歴史的低下)は大きく改善しているのである。また日本株式のバリュエーションは極端に割安になっている

 依然として為替市場では円高論者が多数派であるが、円高論者の多くが日本株に悲観的な見方をしている。しかし仮に日本株高が始まれば、それがリスクオンの円安要因となる可能性が考慮されていないことを付記しておきたい。
 
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