ソニーの動的ガバナンス~対話が業績向上へ

・ガバナンスが対話を通して業績向上に結びつくかという点で、吉田CFOから7つの指摘があった。第1は、グループ上場企業の100%子会社化である。グループのシナジーを追求し、利益相反を回避するため、金融以外は本体に吸収した。

・100%子会社にして、上場を廃止した。SME(ソニーミュージックエンターテイメント)、ソニープレイステーション、ソニーケミカル、ソネットなどである。少数株主の利益を保護しつつ、企業価値を生み出せるか。それが上場と整合的かを判断して決めたという。

・第2は、アクティビストの問いかけである。2013年5月に米国のサードポイントが株を7%所有して、映画音楽事業を分離上場せよと要求してきた。非上場のエンタメ部門の価値を顕在化させ、規律ある経営にもっていけ、その資金でエレキ部門の大赤字を立て直せ、というものであった。

・結論は分離上場せず、100%保有する方がよいと判断した。サードポイントはキャピタルゲインを得て、株を売却した。結果として、エンタメ事業のあり方に緊張感が高まり、位置付けが見直されて、開示のレベルも上がった。

・第3は、事業ドメイン(領域)の選択である。PCのVAIOを売却した。TVは2014年7月に売却せず分社化した。モバイルはJV(合弁)にして分社化した。投資家からは、TVもモバイルも撤退せよと言われた。金融も意味があるのかと問われた。

・ここでの課題は、機関投資家は今ある事業の撤退については、さかんに意見を言うが、どういう事業に参入せよとは全く言わない。ドメインの選択は、経営における付加価値の向上をどう考えるかに依存する。それでも、撤退の提案は対話のきっかけとして前向きに受け止めた、と吉田CFOは強調した。

・第4は、2014年9月に無配を決断した。モバイルののれんの減損で1700億円を処理した。-500億円の赤字が-2300億円になると公表した。7年間で累積純損失は1兆円にも上った。この無配で、構造改革が加速することになった。

・第5は、2016年3月期に黒字化した後、次のKPIとして、営業利益5000億円以上、ROEは10%以上と設定した。ROE 10%の目標は過去にもいってきたが、今回はセグメント毎のROICを設定し、マネジメントの報酬にも、その達成をビルトインした。

・具体的にブレークダウンしたことが、従来と全く違う。ROEの目標では、社内のパッションを惹起しない、と指摘する。シェアではなく、競争に勝って儲けるというマインドにもっていくようにした。

・第6は、ROE 5%以下なら議決権行使で経営トップを再選しないというISSの助言に対して、どう対応するか。2014年度はISSのこのルールに抵触した。ISSは、例外はない、と形式的に判断する。あとは投資家と個別に話をして説得するしかない。大株主は分かっていたので、平井社長、吉田CFO等が手分けして、訪問活動を行った。60社の機関投資家を回って議論した。

・結果は大半が賛成してくれて、議決権での賛成票は、2014年の総会で89%であったに対して、2015年88%とさほど下がらなかった。因みに、2016年はROEが6.2%に向上したので、賛成は96%となった。ここでわかったことは、ファンドマネージャーと議決権行使の担当者は分れているので、適任者と議論する必要があった。

・第7は、累損1兆円を補強するために、エクイティファイナンスが必要であった。2015年7月に、公募増資3000億円、CB1200億円の計4200億円のファイナンスを実行した。コロンビアピクチャーを買収した1988年以来、26年ぶりのファイナンスであった。この間CBを1兆円出し、ほとんど全てが株に転換したが、CBの時はロードショウがいらなかった。

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