Big Story世界情勢と日本株式をめぐる投資環境

(4) 世界に働く二つの力、②アメリカで起きているイノベーションと消費力の増大

米国で発現するサービス消費主導の好循環
 では、ポジティブな動きはどこにあるかというとアメリカだ。アメリカで起きている歴史的な経済イノベーション、消費力増大で持続成長がみえてきた。アメリカ経済の成長の推進力はサービス消費の増加である。1995年以降のアメリカのセクター別雇用をみるとここ数年、教育、医療、サービス、娯楽などのサービス分野が増えている。人々のサービス消費水準が向上しているからである。外食に行き、いい医療を受け、いい教育を受け、エンターテインメントを楽しんでいるからだ。サービス消費の増加によって、リーマンショック以降10%まで高まった失業率が4.9%の完全雇用の水準まで低下した。そして給与が増え、新たな消費を引き起こすという好循環が起こっている。正しく消費増、需要増、雇用増、所得増という好循環がサービス軸に起こっている。直近のISM非製造業指数も非常に良い数字だった。
 
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 二つ目に期待できるのはアメリカの住宅である。過去50年間平均の米国住宅投資の対GDP比率は5%、ピークはリーマンショック直前の6.7%、リーマンショック後のボトムは2%。今は3.6%でまだ半分も回復していない。住宅はアメリカの中で一番遅れている分野である。住宅供給がかなり遅れているために住宅の需給が逼迫している。貸家は減っていて世帯が増えているのに住宅供給が追い付いていない。貸家需給が逼迫し、家賃が上がっている。もう一つは持ち家比率が69%から63%へ下がって、これから借金して持ち家比率が上昇する局面にある。アメリカの住宅投資は貸家も持ち家もこれから上昇する入り口にある。
 
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公的需要が牽引、ケインズ政策の時代に
 三つ目に一番期待できるのは公的需要である。アメリカのGDPを民間需要、公的需要にわけたものを見ると、2009年のリセッションの後、民間の経済は過去の成長トレンドに戻ったが、成長が屈折した公的事業がここ5年ぐらい横這いだったことが分かる。2009年以降アメリカのGDPの成長率はかなり屈折し、アメリカ経済は長期停滞に陥ったという議論がうち出された。確かに経済の成長率は落ちたが、それはひとえに公的需要の停滞によるもの、公務員の首切りがあり、歳出削減が行われ、公的需要は横這いとなった。しかしこの先行的需要は大きく増加する場面に入ろうとしている。公的需要を抑制させた財政赤字が完全になくなっているからである。2010年GDPの10%あった財政赤字は今2%。いよいよ民間で余っているお金を政府が借金して需要創造するという、ニューケインジアン時代に入ろうとしている。クリントン氏、トランプ氏、どちらでもこの考えは一致している。アメリカのほとんどのエコノミストもケインズ時代を主張し始めている。
 
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拡大の余地大きい信用循環
 四つ目のアメリカ経済のポジティブな要素は信用循環である。景気が良くなるのも悪くなるのも、信用が拡大するか収縮するかだ。アメリカの実質ベースでみた負債成長率は10年ごとにサイクルがやってくる。ボトムは1971、1981、1991、2001、2011年にある。次のボトムは2021年で2016年はまだそのど真ん中だ。過去の10年サイクルの経験則が続けば、まだこれからアメリカの信用拡大が続くということだ。それとは別に信用拡大が続くかという論理的検証も必要だ。貸し手がお金を貸せる状況にあるか、借り手がお金を借金できる状況にあるのかである。貸し手の状況と言う点では銀行はバランスシート調整が終わって積極的に融資を拡大していく情勢になっている。他方借り手の重要な指標はインタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益/ 利払い費用)、つまり借金の負担が利益に対してとれだけかという比率だ。今のアメリカはこの比率が史上最高の高さだ。企業利益は史上最高、分子の金利は史上最低だから、企業はどんどん借金しレバレッジを高めて、財務効率を高めていくという場面にある。借金をして設備投資をする。設備投資の案件がなければ借金して企業買収する。その案件がなければ借金して自社株買いをする、配当をする。レバレッジを高めることは正しくEquity to Debt Swap、つまりコストの高いequityをコストの低い借金に変えるとで、それは低金利環境の下では合理的な財務行動である。低金利の時代が続くとすれば正しくこのアメリカの信用拡大がまだまだ続くと言っていいと思う。
 
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 以上のような景気見通しを踏まえれば、アメリカの経済はバラ色と言っていいのか、そうではないのが次の論点である。

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