Big Story世界情勢と日本株式をめぐる投資環境

(3) 世界に働く二つの力、①危機深化する中国

乱気流の原因は二つの相克する力の作用による
 以下ではアメリカと中国で起こっている、相反する力をみていこう。現在の世界経済、世界の金融市場は乱気流である。乱気流のため我々は年中目を白黒して、株が下がって買い場だと思ったら急に上がり、飛びついたらそこが高値で下落する。とてつもなく荒いマーケットだ。なぜなら市場に異なるベクトルの二つの大きな力が働いているからだ。一つはポジティブな力。アメリカで台頭する技術革新、産業革命とその下で形成されつつある新たな商品ライフスタイルの向上の動きである。しかし大変ネガティブな力が中国から吹いている。なぜなら中国では人類の史上空前の過剰投資が行われ、そのつけがいよいよ払われなければいけない局面に立ち入ったのだ。アメリカのポジティブな風と中国のネガティブな風が世界金融市場を覆っているので当然として乱気流が起こっている。これが今市場に起こっているボラティリティの重要な背景だと思う。米中経済の内実を解明する必要がある。

危機進行する中国、モノの成長は止まった
 まずは中国。深刻な経済困難に陥りつつあると思う。恐らくモノの成長が止まるどころか、収縮していく過程に入っているだろう。鉄道貨物輸送量や粗鋼生産量や発電量や輸出入などの動きはマイナスのトレンドに入っていて回復できないであろう。回復できない理由はこれまでの成長を牽引してきた投資がもはや増加趨勢を維持できなく、これから中国の投資は減少していくからだ。投資の分野は(1)住宅・不動産、(2)企業設備、(3)インフラ・公共投資。この三つの投資を極端な規模まで拡大してきた。2011年以降の2年間に中国が使ったセメント消費量はアメリカが過去100年に使ったセメント消費量と同じだといわれる。大変な投資をして、数年の間に中国の風景が劇的に変わった。ビルが林立し、高速道路が動き、高速鉄道、地下鉄などとてつもない変化が起こったが、そのような大投資が大きな歪みを引き起すのは避けられない。

積み上がる過剰供給力と潜在的不良資産
 歪みの一つは、猛烈に増やした企業設備、住宅などの大変な過剰供給力である。鉄鋼、セメント、造船、等大半の産業で著しい過剰能力をつみあげている。たくさん作った住宅は購買力がついてこないから人が入っていない。ゴーストタウンのような住宅が都市の周辺に林立し、特に内陸部の住宅価格が大幅に下がっていることがついこの間まで起こっていた。今はテコ入れで少し住宅価格が戻っているが、この過剰な住宅供給、インフラ、公共投資も同じだ。過剰な投資の結果起こったのが過剰供給力で、そのままつまり過剰な住宅に誰も住まなければ、次起こる第二歪みは不良債権である。短期的には金融緩和によりその問題を覆い隠そうとしているが、近い将来顕在化することは避けられない。これでは中国は成長できない。GDPが6%と言ってもモノのGDPはもう成長できない領域に入っているのである。
 
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顕在化するアキレス腱、外貨減少と元下落
 モノの成長が止まった上に、二つ目の問題である中国のアキレス腱がはっきり見えた。いくら過剰投資や潜在的不良債権があったとしても、ずっと追い貸しを続けて金融緩和を際限なく続ければバブルは温存されるという手もある。或いは破綻しそうなゾンビ企業でも融資が継続されれば帳簿上の損失を隠して、運転資金を貸し続ければ生き続けることができる。しかしそのような中国のオペレーションを著しく困難にするアキレス腱が見えたのが去年8月以降の展開である。それは外貨事情の悪化と、元の暴落のリスクである。中国のマネーの供給M1と外貨準備の推移をみると、M1は長期的に大きく上昇してきた。M1、マネーの供給の増加が野放図と言えるほどの投資を可能にしてきたのだ。そのマネーの供給は外貨からきた。つまり外貨準備がどんどん積みあがり、外貨を裏付けとして通貨が供給されたのである。中国の中央銀行、人民銀行の総資産のうち8割は外貨資産である。中国は一般的な新興国と同じに、外貨の裏付けによってマネーが供給されているカレンシーボードに似た通貨システムであるというのがつい最近までである。外貨の裏付けでマネーが供給され、そのマネーが増えたので投資できたという因果関係にある。その外貨が今どうなっているかというと、2014年6月をピークに外貨準備高が急激に減り始め、昨年8月には人民元の急落が始まった。中国の外貨準備は大きく減る非常にリスクのある勘定だとわかったが、これは多くの人にとって意外だった。中国の外貨準備高の積み上がりは中国の自力によるもの、つまり競争力が強く、貿易黒字が大きいので中国は外貨準備高が増えたと思っていた。しかし実は中国の外貨準備高の増加のうち半分は自力の貿易黒字であるが、後の半分は海外からの借金、資金流入である。この事実は去年まであまりはっきりしなかった。統計が明らかになったことによって、それまでの外貨準備急増を支えた資本収支が2014年夏場ころから大幅な流出超となりそれが中国発の金融危機懸念に結び付いたのである。中国の経常収支、貿易黒字は依然として大幅な黒字なので外貨準備高が減る条件にないはずだ。しかし、外貨準備高が減っているということはいくら貿易黒字があっても、それをはるかに上回る資金の流出が起こっているのだ。今までは海外からの資金流入で実力以上に中国のマネーは潤沢だったが、海外へ資金が流出しているので事情は大きく逆転した。去年の8月以降、中国発の金融危機の可能性が強まったのだ。資金流出と人民元相場がコントロール可能か否か、ここに問題が集約されている。仮にアンコントローラブルとなれば、国内での金融緩和はしり抜けとなりバブル崩壊とゾンビ企業の破綻を通して金融危機が勃発する。それが回避できるか否か、が問われる。
 
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