Big Story世界情勢と日本株式をめぐる投資環境

 グローバル要因に対する配慮でドル安が起こったとするならば、1998年と同様に世界危機が沈静化、安定化すれば再びアメリカは利上げに戻り、ドル高トレンドに回帰する。これがメインシナリオと言っていいと思う。理由は後述するようにアメリカ経済にほとんど問題がないからである。アメリカ経済は持続的景気拡大の途上にあり、物価上昇率も高まる方向にある。従って利上げ、その結果ドル高が起こりうる国内環境にあることははっきりしている。と考えれば、今のドル安は一過性であると見ることができる。もっとも、そのような議論が正しいかどうかは国際金融危機がおさまるかどうかにかかっている。1998年、国際金融危機の源泉はルーブルであり、ロシア経済の規模は小さく封じ込めは容易であり、比較的短期間のドル安と流動性供給でルーブル危機はおさまった。

中国発の国際金融危機(中国からの資本流出と元下落)を如何に阻止するか
 しかし、今の危機の源泉は中国。恐らく中国は人類の歴史上空前といっていい過剰投資を行い、潜在的な金融リスクは著しく高まっている。この中国を抑え込むのにルーブル危機と同様にわずか半年ぐらいの金融緩和、流動性供給で足りるかというと、スケールが違う。中国危機によってアメリカの金融政策の手足を完全に縛られてしまうこともあり得る。アメリカのファンダメンタルズだけでドル安トレンドが再びドル高トレンドに転換するとはいいにくい状況にある。重要なことはこれとともに円高が起こったことだ。今年の初めになぜ急激に円高となり、そしてなぜ円高を促進するようなアメリカの財務省からのメッセージが届くのか。円がどんどん強くなり、日本の麻生財務大臣がこれは極めて乱暴な秩序を乱す円高で介入する覚悟があるといような発言をすると、その翌日にはアメリカのルー財務長官がマーケットは秩序だっている、介入が必要な環境では到底ないと麻生財務大臣の発言を常に否定する。際限のないと思われるほどの円高が半年の間進行した。これは世界危機対応の円高と言っていいと思う。

円高は国際金融危機封印のための犠牲、日本は貸しを作っている
 今の世界危機の源泉は中国。中国の危機の最も重要なポイントは元の暴落と中国からの資金流出。中国からの資金流出が続き、元が暴落したら世界は破局的な金融危機に陥る可能性がある。従ってこれを抑えるためには人民元の価値をなんとしても守ってもらわないと困る。人民元が暴落したら恐らく一巻の終わり。従って中国当局に人民元の価値を守らせることがアメリカと世界先進国の共通の必要性である。中国に守らせるために犠牲として、人身御供として円が差し出されている。今の円高はファンダメンタルズや日本の固有の理由によるものでなく、世界秩序維持のためにある意味犠牲とされている。我々日本人からするとフラストレーティングな話だ。世界の秩序維持が必要としてもなぜ日本だけがそれほど大きな犠牲を受けなければならないのか。しかし、時にはそういうこともあるので諦めるしかない状況だと思う。考えようによってはグッドニュースである。つまり世界のために日本が犠牲になっているということは貸を作っているということだ。いずれはこの貸を返してもらうので今は辛抱しようということも言える。

 この間の推移を振り返ると1月末にダボス会議が開かれ、そこでジョージ・ソロス氏が中国のハードランディングは不可避だから人民元と香港ドルを売ると高らかに中国売りの宣言をした。中国当局は、とんでもない中国は健全だと反論したが、アメリカ政府も日本政府も反論したい気持ちであった。ジョージ・ソロスが言う通り中国発の世界金融危機が起こったら世界経済が終わりだから、なんとしてもそれをくい止めなければならない。ここでできたのはジョージ・ソロスの人民元のショートに対する米中連合。国際当局は呉越同舟、人民元の価値を守るという共通の利害に至った。中国にとっても必要だが、世界にとっても必要である。

 1月末から世界の注目は中国の元の暴落と中国発の世界金融危機を阻止するための国際金融協調であり、それが2月末の上海で開催されたG20国財務相・中央銀行総裁会議のメインテーマとなり、ここでの競争的通貨切り下げの回避が合意された。どこの国も自分の国の国内事情のために通貨の切り下げをし、その国内経済の問題を他の国に転嫁しないという約束を取り付けたのだ。その最も重要なターゲットは中国。中国は壮大な過剰供給力をもっているので、元を安くして遊んでいる工場を動かして中国がもっている問題を海外に転嫁すると中国経済の負担は軽くなる。同時に世界は中国発のデフレの輸出で大混乱に陥るということを止めさせるG20の最も重要なフォーカスである。

 しかし、中国に中国は問題あるから人民元の価値を維持するために努力しろと言っても納得する国ではない。世界中も協力するから中国も努力するよう、その証拠に日本は円高も容認しているという話だと思う。上海G20では中国がターゲットであったにも関わらず金融協調のために日本円もそれに道連れにされたのである。G20の後、麻生財務大臣と黒田総裁は円に関する議論は出なかったと言ったが、アメリカやオランダ財務当局は円の議題となったと全部ひっくり返した。それ以降は米国による円のトークアップ。日本政府が一生懸命円高を回避しょうとしてもアメリカはどんどん円高期待を強める口先介入をするというのが円高のプロセスである。正しく円高は国内或いはファンダメンタルズに原因があるのではなく、グローバルな金融危機を回避するため、中国に人民元の価値を守らせるための道連れになっている。となると日本の財務省による円高阻止介入は困難になる。なぜなら中国は待っていましたと言わんばかりに人民元を切り下げて、その原因は日本が通貨切り下げ競争をしたからと日本に責任転嫁することがほぼ明らかだからである。こうして日本の為替介入困難がわかっている投機筋はますます円高投機を進めてきたのである。日本は困難なトラップに落ち込んだと言える。したがってこの先を展望するには中国危機がどう展開していくかを洞察するのが必要になってくる。

円高進行には限界も、100円程度が高値か
 その観点から、円高進行の限界も見えつつあるのではないか。第一に中国危機の封印がほぼ見えてきたこと(中国は目先的には、資本コントロールで通貨下落を抑えつつ、国内では財政による需要創造と金融緩和によるバブル延命で市場の信認を保つことに成功している)、第二に米国からの円高促進要因も低減していくと予想される①ドル高批判論者であるトランプ候補の当選確率が低下していること、②米国は日本が円高容認という犠牲を払ったこと、それが日本経済を困難にしていることを理解している、よって大切な同盟国日本にこれ以上の犠牲を求めるはずはないということ、③米国経済が堅調なこと、が想定されるからである。つまり米国当局のドル円相場観は、1ドル100円以下は超えないと見られ、それが市場で理解されるにつれ、日本株一人負けの是正が強まっていくと想定される。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> Big Story世界情勢と日本株式をめぐる投資環境