S&P 500月例レポート(2016年8月配信)

 経済関連のニュースでは、中国の6月の輸出(米ドルベース)は前年同月比4.8%減、輸入は同8.4%減(人民元ベースでは輸出は同1.3%増、輸入は同2.3%減)となりました。同国の第2四半期GDP成長率の速報値は前年同期比6.7%、6月の鉱工業生産は前年同月比6.2%増でした。シンガポールの第2四半期GDP成長率は前年同期比2.2%となりました。ドイツでは、新たに発行された10年国債の利回りがユーロ圏で初めてマイナスとなりました(発行額45億ドル、利回りはマイナス0.05%)。ドイツの投資家信頼感指数は、6月のプラス19.2から7月はマイナス6.8に落ち込みました。Markitが発表するユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)の速報値は、6月の53.1から7月は52.9に低下しましたが、低下幅は予想より小幅にとどまりました。英国の製造業PMIは52.4から47.7に低下し、2016年第3四半期のGDP成長率がマイナスになる可能性を示唆しています(ブレグジットの影響もあると考えられます)。日本のPMIは6月の48.1から7月は49.0に上昇しました。国際通貨基金(IMF)は2016年の世界の経済成長率予測を3.2%から3.1%に、2017年についても3.5%から3.4%に、それぞれ下方修正しました。IMFは補足として、英国とEUが合意に至らなかった場合、2016年の世界の経済成長率は2.6%に落ち込む可能性もあるとの厳しい見通しを示しました。欧州中央銀行(ECB)は、英国の国民投票後初となる政策理事会を開いて、政策を据え置き、金利は長期にわたり現行またはそれ以下の水準に維持するとの意向を示しました。イングランド銀行もECB理事会の前週に開催した金融政策委員会で、政策を据え置くことを決めました。今のところ、ブレグジットに反応するのは尚早ではあるが、各国の当局は対応に備えているというのが「トレンド」のようで、大半の見方では、必要に応じて追加の支援策や刺激策が講じられると予想されます。イングランド銀行の会合では、利下げが行われるとの予想に反して政策金利は据え置かれましたが、次回会合はわずか3週間後(8月3日)に開かれるため、8月にも追加の刺激策が打ち出されるとの見方が示されました。このニュースを受けて英ポンドは上昇しました。英国の6月のインフレ率は前年同月比0.5%上昇となり、5月の同0.3%上昇から加速しました。日銀は上場投資信託(ETF)の年間購入額を580億ドルに拡大する一方で、国債買い入れプログラムや政策金利は据え置くことを決めました。全体としては、追加緩和の規模は投資家の予想を下回るものでした。米国の経済関連では、6月のサプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は53.2となり、市場予想の51.5を上回りました。ISM非製造業景況指数は56.6となり、5月の53.3から上昇しました。6月のサービス業PMIは51.4で、5月の51.3から上昇しました。6月の建設支出は前月比0.6%増が予想されていましたが、同0.8%減となりました。5月の製造業受注は4月の前月比1.8%増に対し、5月は同1.0%減となり、予想通りの結果となりました。5月の貿易赤字は411億ドルとなり、事前予想の400億ドルを上回りました。5月の求人労働移動調査(JOLTS)では、求人件数は550万件となり、前月の585万件から減少しました。雇用統計も5月は低調でしたが、6月の数値が予想を上回ったことを受け、株式市場は最高値を更新しました。景気先行指数は5月に前月比0.2%低下しましたが、6月は予想通りに同0.3%の上昇となりました。7月の消費者信頼感指数は97.3で、6月の97.6からわずかに低下しましたが、市場予想の96.0を上回りました。5月の輸入物価指数は、市場予想の前月比0.5%上昇に対し、0.2%の上昇にとどまり、前年同月比では4.8%の低下となっています。一方で輸出物価指数は、事前予想の同0.3%上昇に対して0.8%上昇となり、前年同期比では3.5%の低下となりました。5月の卸売在庫は前月比0.1%増と、市場予想の0.2%増を下回りましたが、4月の数値は(当初予想を上回る)同0.6%増から0.7%増に上方修正されました。6月の耐久財受注は前月比4.0%減と、事前予想の1.3%減を上回る減少幅となり、前年同期比でも6.4%減と大きく落ち込みました。6月の鉱工業生産は0.6%上昇し、市場予想の0.4%上昇を上回り、製造業生産も予想の0.3%上昇を上回る0.4%の上昇となりました。設備稼働率は5月の74.9%から6月は75.4%に上昇しました。6月の生産者物価指数(PPI)は事前予想の前月比0.3%上昇を上回る0.5%上昇となり、前年同月比でも0.3%上昇しました。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.4%上昇、前年同月比では1.3%の上昇となりました。6月の消費者物価指数(CPI)は、市場予想の前月比0.3%上昇に対して、0.2%の上昇となりました(前年同月比では1.0%上昇)。食品とエネルギーを除くコア指数は市場予想通り前月比0.2%上昇し、前年同月比では2.3%の上昇と、5月の2.2%上昇から加速しました。6月の小売売上高は前月比0.6%増となり、市場予想の0.1%増を大幅に上回りました。6月の貿易統計では、輸出が0.9%増、輸入が1.8%増となり、貿易収支は633億ドルの赤字となりました。6月15日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、低調な雇用統計(雇用者数が15万8,000人増の予想に対して3万8,000人増)やブレグジットに対する懸念が示されており、これらが金利据え置きの判断に影響したと考えられます。米連邦準備制度理事会(FRB)の地区連銀経済報告(ベージュブック)では、「経済全般にわたって見通しは概ね良好であり、全体的に緩やかな成長が続くと予想される」との見方が示されました。7月のFOMCでも、予想されていたように金利は据え置かれました。FRBは9月利上げの可能性を残していますが、その公算は小さいとみられます。ここで重要なのは、経済見通しに対する短期的なリスクが低下したという声明内容と、市場がほとんど反応しなかったという2点です。前者はブレグジットの進展には時間がかかることを意味し、後者は状況の変化も大きなニュースもないことを意味しています。経済の不透明感を理由に、企業は支出を抑制しています。第2四半期GDP成長率は8月26日に改定値、9月29日に確報値が発表される予定です。第2四半期GDPデフレーターの速報値は、事前予想の1.89%上昇を上回り、2.2%上昇となりました。

 住宅関連では、7月の住宅市場指数は59となり、前月の60から低下しました(市場予想は61)。6月の住宅着工件数は年率換算で119万戸となり、5月の114万戸から増加し、事前予想の117万戸も上回りました。着工許可件数は予想通りの115万戸で、5月の114万戸からわずかに増加しました。中古住宅販売件数は、市場予想の547万戸に対し、前月比1.1%増、前年同月比3.0%増の年率換算557万戸となりました。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した5月の住宅価格指数は前月比0.2%の上昇となり、市場予想の0.4%上昇には届きませんでしたが、前年同月比では5.6%上昇と、好調を維持しています。6月の新築住宅販売件数は年率換算で59万2,000戸と事前予想の56万2,000戸を上回りました。また5月の数字は当初発表の55万1,000戸から57万2,000戸に上方修正されました。6月の中古住宅販売仮契約指数は前月比で0.2%上昇となりました。市場は1.3%の上昇を予想していました。5月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は、前月比0.4%上昇が予想されていましたが、0.1%低下という結果となりました。総合すると、住宅市場では販売件数は伸びていますが、価格は下落しています。

 雇用に関しては、6月のADP全米雇用統計は17万2,000人増と予想(15万人増)を上回りました。雇用統計の非農業部門就業者数も予想を上回り、予想を下回った前月を埋め合わせる結果となりました。6月の就業者数は18万人増の予想に対して28万7,000人増でした。平均時給は0.1%増の25.61ドル、週平均労働時間は横ばいの34.4時間でした。しかし、労働参加率が5月の62.6%から62.7%へわずかに上昇する中、失業率は5月の4.7%から4.9%に上昇しました。市場は雇用統計に大きく反応し、全体で1.53%上昇し、一時終値ベースの過去最高値を超える場面もありました。その他の雇用関連では、米国石炭生産最大手(非上場)のMurray Energyが5,500人の従業員のうち4,400人を削減する可能性があると警告しました。ハードディスクドライブ(HDD)メーカーのSeagate Technology(STX)は、人員削減規模を以前に発表した従業員の3%から14%に拡大すると発表し、株価は7月に31.5%高となったものの、年初来では12.6%下げています。同社は約4万5,000人の従業員を擁しています。英国保険会社のLloyds(LYG、7月は1.42%高)が3,000人の人員削減を発表する一方、ファストフードのMcDonalds(MCD、同2.2%安)は英国で新たに5,000人を雇用すると発表しました(ただし両社の賃金体系は異なると思われます)。ソフトウエア会社Microsoft(MSFT、同10.8%高)は、7,400人の人員削減を行った後、さらに2,860人を追加削減すると発表しました。同社は全世界で11万4,000人の従業員を雇用しています。

 M&A関連では、フランス食品大手Danone(DANOY、同7.8%高)がオーガニック食品メーカーWhiteWave(WWAV、同18.2%高)を105億ドルで買収すると発表しました。総合格闘技団体Ultimate Fighting Championshipは40億ドルで民間グループに身売りすることで合意しました。米連邦取引委員会はヘルスケア会社Abbott Laboratories(ABT、同13.8%高)と医療機器St. Jude Medical(STJ、同6.5%)に対して、両社の250億ドル規模の合併について追加情報を提供するよう要請しました。ソフトバンク(SFTBY、同2.3%安)は英国半導体メーカーARM Holding(ARMH、同45.8%高)を現金320億ドルで買収すると発表しました。石油メジャー最大手のExxon Mobil(XOM、同5.1%安)から250億ドルの買収案を提示された天然ガス掘削のInteroilは、オーストラリア石油・天然ガス探査大手Oil Search Limitedと合意していた22億ドルの買収案を破棄しました。ウォーレン・バフェット氏が率いる米国投資持株会社Berkshire Hathaway(BRK.B、同0.4%安)は、医療損害相互保険会社Medical Liability Mutual Insuranceを18億ドルで買収することで合意しました。米規制当局はベルギーのビールメーカーAB InBev(BUD、同1.9%高)と同業の英国企業SABMiller(SBMRY、同0.3%高)の1,070億ドルの合併に関して、一部資産を売却することを条件に承認しました。農業化学大手Monsanto(MON、同3.2%高)はドイツの製薬会社Bayer(BAYRY、同7.0%高)が1株あたり125ドルに引き上げた買収案を正式に拒否しましたが、交渉は継続する意向を示しています。通信大手Verizon(VZ、同0.8%安)はインターネット検索大手Yahoo!(YHOO、同1.7%高)の中核事業を48億ドルで買収すると発表しました。データベース・ソフト会社Oracle(ORCL、同0.3%高)はクラウドサービスのNetSuite(N、同49.5%高)を93億ドルで買収すると発表しました。M&A関連のマイナス材料としては、米司法省がAnthem(ANTM、同横ばい)とCigna(CI、同0.8%高)、ならびにAetna(AET、同5.7%安)とHumana(HUM、同4.1%安)の2つの大型合併を阻止するために提訴しました。

 個別銘柄のニュースとしては、ヘルスケア会社Danaher(DHR、同19.4%安)からFortive(FTV)がスピンオフ(分離・独立)し、同社はS&P500指数に追加されました。ゲーム会社の任天堂(NTDOY)の株価はポケモンGOの大ヒットで7月に45.0%上昇しました。Fiat Chrysler Automobiles(FCAU、同4.7%高)は月間新車販売台数の水増し疑惑で米連邦当局から調査を受けていると発表しました。Volkswagen(VLKAY、同9.4%高)の決算によると、米国の訴訟費用(排ガス不正問題関連)として24億ドルの引当金を計上しましたが、利益は市場予想を上回りました。新聞・メディア会社News Corporation(NWSA、同14.3%高)はFox Newsのエイルズ会長が辞任したと報告しました。同氏はセクハラ行為で提訴されていました。航空機メーカーBoeing(BA、同2.9%高)は、製品開発の遅れにより税引き前21億ドルの費用を計上すると発表しました。アイフォーン(iPhone)メーカーのApple(AAPL、同9.0%高)の決算は減収減益となったものの、予想を上回りました。

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