マイナス金利政策によるデフレスパイラル

世界の主要中銀の資金供給量はリーマンショック後に急拡大。以降は同時期の経済成長の7~8倍のペースで増えている。世界は空前のカネ余りとなっている。

金融緩和政策は英語で Easy Money Policy と呼ぶ。つまり、簡単に安く資金調達ができるようにする政策だ。金融機関はカネ余りで融資先を探し、低利での低収入を量で補おうとする。その結果、これまで融資先として不適格と見なしていた所にも貸出すようになる。同時に、信用力のない企業の債券発行ラッシュが起こり、米企業債全体の格付けをジャンク級(投資不適格)に引き下げた。
参照図05:ジャンク債の急増が、全体をジャンク級に引き下げた

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イージーマネーは過剰設備、過剰生産でデフレ環境を産んだ。例えば、米テキサス州では、2009年に天然ガス井が67井、原油井が40井あったが、2013年にはそれぞれ2400井、2500井、以上に急増した。もっとも、2014年後半以降リグ数は急減したが、コストの安い大油井を増産したために、生産量は高水準を維持したままだ。

また、競争力のない企業や、支援なしでは存続できないいわゆるゾンビ企業が生き残ることで、デフレ環境を助長した。

例えば、世界最大の船会社A.P.モラー・マースクの社長は、マイナス金利は船舶産業に必要不可欠な統合の動きを遅らせることで、業界に悪影響を与えていると述べた。現状の金融政策下では「統合はなかなか進まない。なぜなら、銀行は沈みかけの船会社を浮かせておけるからだ」と述べた。

また、デンマーク4月の消費者物価指数は前月比+0.1%、前年比横ばいと、2カ月連続で前年比の伸びがゼロとなった。マイナス金利政策を導入して約4年。金利を下げれば物価が上昇するという逆相関が完全に壊れ、むしろデフレを進展させる状況となっている。

サブプライムショックと、それに続くリーマンショックは、未曽有の金融危機と呼ばれたほどの大きな危機だった。米連銀は即座に対応し、空前規模の資金供給と、史上初めてのゼロ金利政策を導入した。しかし、明確な出口戦略を現在に至るも持たず、自国と世界の金融市場を極めて不安定にしている。

欧州中銀と日銀は対応が遅かったことを取り戻すためか、金融市場の機能を否定するマイナス金利政策を導入した。それにも関わらず、共に財政は引き締め気味で、経済成長を望んでいるのか、減速させたいのか、整合性が保てない状態だ。マイナス金利と増税は、共にデフレを助長する政策なので、インフレ目標は為替レートだけに頼ることになっている。

また、マイナス金利政策では、金融市場と金融機関の安定は望めず、金融機関は過剰なリスクを取り始めている。金融機関のリスクで、ゾンビ企業が生き永らえ、健全な企業のシェアと利益を奪っている。そうしながら、米企業債全体の格付けがジャンク級に低下したように、世界的に経済全体が傷んできている。個人所得は伸びず、失業率は高い。

そのことを世界中の人々が匂い始めている。私には、安倍政権への支持も、米大統領選を戦っているトランプ氏への支持も、根は余り変わらないと見ている。他への失望が強すぎて、「まだまし」的な支持なのだ。世界経済は深刻な危機の一歩手前まで来ている。余っているはずのカネの偏在が著し過ぎるのだ。

日本政府が、次の危機を未然に防ぐには、減税によって、個人消費拡大に賭けてみるしかないと、私は見ている。

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