Don’t fight BOJ 日銀の非伝統的政策進化は必至 ~理論的帰結は大幅な株高~

(4) ことに日本が陥っている異形の国民金融資産配分を如何に正常化するか、株式への資金誘導の必然性

日本金融の二つの異常性、リターン格差と資産配分の偏り
 日本は現代経済金融の最大矛盾である利潤率と利子率のかい離現象が最も極端であり、故に(またはその結果として)日本経済が最も深刻なデフレに陥ったことは、説明するまでもない。日本ではデフレの原因となり結果となって二つの金融異常性が極端なまでに進行した。二つの異常性とは①極端なリターン格差、②金融資産配分の極端な偏り、でありこれの是正が焦眉の政策課題になっている。日銀の非伝統的金融政策はこの二つの異常性是正の試みそのものである。第一の異常性金融資産リターン格差の異常な拡大は図表10を見れば明白であろう。
 
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 第二の異常性、国民金融資産配分の偏りは、図表11の日米比較を、図表12に日米欧比較を見れば明らかであろう。日本は2015年末で1741兆円の国民金融資産があり、その内年金保険の積み立て分510兆円を除く1231兆円が運用可能な資金である。その内75%の920兆円が現金・預金・国債など殆ど利息ゼロの安全資産に寝ている。他方株式保有は169兆円と14%、にすぎない。米国は70.3兆ドルの金融資産のうち保険年金準備金22.2兆ドルを除く48.1兆ドルが運用可能資産であり、そのうち安全資産、現金預金国債は12.9兆ドルと27%に過ぎない。それに対して株式は24兆ドルと50%に達している。日米の株式保有比率14%対50%、の違いは極端である。家計が持っている運用可能金融資産の配分として米国並みに、5割は安全の為に現金・預金・国債で、5割は株式へというシフトが実現すれば、920兆円の安全資産から300兆円の新規株式購入資金か発生し、株価は大きく押し上げられるだろう。そのような資金の株式資産への誘導が、遊んでいる余剰資金を有効に活用するもう一つのチャンネルである。株式市場への資金誘導を金融政策的にも制度的にも促進する政策が望まれる。昨年はGPIFの改革が行われ、GPIFの安全資産に偏ったポートフォリオを株式などのリスク資産に振り向けるという大きな方針転換が起こった。今年は簡保、郵貯などの巨額の国債を持っている機関投資家、そして個人など、株式への資金誘導が必要である。

日本の片肺家計所得
 この二つの異常性が日本の家計所得にも大きな困難をもたらしている。アメリカは家計の可処分所得のうち、4分の3が労働所得で残り4分の1は利子や配当などの資産所得であるが、日本の場合はマイナス金利、人々は殆ど株を持っていないことによって資産所得はゼロに近く家計の所得のほぼ100%近くは労働所得、という大きなコントラストが存在している。アメリカ家計は労働者としてのポケットと資産所有者としてのポケットと二つあるので、賃金が上がったり、株価が上がったり、配当が増えたりすることで潤うことができる。しかし、日本の家計は、ポケットは労働賃金しかないので、賃金が上がらないと収入が増えず消費ができない。しかし日本の企業も儲かり配当しているわけであるから、日本の企業が獲得している所得を家計の収入につなげるためのチャンネルを増やしていくことが可能である。

 企業の遊んでいる購買力を有効に活用するためのチャンネルを全開することが必要である。一つは購買力を賃金上昇によって労働者に転嫁すれば家計は消費を増やすことができ、それは十分とは言えなくても進行している。あと一つのチャンネルは企業の儲けが家計の収入に寄与する仕組みを作ること、株式保有を増加させ資産所得を増やせば日本の家計にあと一つの収入源が与えられる。安倍政権は明示的にそちらの方向を志向している。ゼロ金利、非伝統的金融政策はそうした政策体系の一環と考えるべきであろう。
 
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