取締役会で何を議論するか~投資家からの期待

・では、社外の目がどれだけ役に立つのであろうか。機関投資家にスチュワードシップコード(SSC)が導入され、上場企業にはコーポレートガバナンスコード(CGC)への対応が義務化された。両者とも真摯に取り組んでスタートを切ったが、1)それが形だけにとどまるのか、2)形に合わせるプロセスにおいて内容を伴ってくるのか、3)初めから魂を込めて改革に当たっているのか、によって今後のありようは異なってこよう。

・投資家から見た時、取締役会で何を議論してほしいか。それはビジネスモデル(BM)を形成する4つの軸について戦略を立て、それを遂行してほしい。1つは、経営者のマネジメント力の強化である。これには構想力とリーダーシップが問われる。

・長期ビジョンと中期計画を確固たるものとし、中期計画は単なる努力目標ではなく、必達のコミットメントであると覚悟すべきである。それを成し遂げるだけの経営力を有しているか。後継社長を決めるに当たっては、十分な仕組みを持っているか。中長期の成果に見合った報酬体系になっているか、を知りたい。

・2つ目は、成長力の強化である。企業は、新たな成長を生み出すイノベーションに挑戦し、それを実現するために手を打っていく。このイノベーション(仕組み革新)を生み出す組織能力が、自律的な進化を遂げるように作ってほしい。

・3つ目は、サステナビリティ(持続性)を支えるESG(環境、社会、統治)の追求である。最も大事なことは、それが企業価値創造にどう結びつくかをよく議論し、実践してほしい。投資家としては、そのストーリーを是非とも知りたい。

・4つ目は、業績の大幅な下方修正を回避し、それをコントロールするリスクマネジメント力の強化である。そのためには、事後的な対応ではなく、先手を打つ仕組み作りが求められる。

・さまざまなステークホールダーがいる中で、その順位を議論するのではなく、企業価値創造への貢献という視点で、統合的に立案し、実行してほしい。消費者が一番、社員が二番、株主は最後という論理ではなく、価値創造へのマテリアリティ(重要性)とコネクティビティ(ストーリーとしての結びつき)の中で、意思決定を展開してほしい。

・そして、KPI(重要経営指標)としては、ROICやROEという財務的な結果としての指標だけでなく、価値創造のプロセスにおけるマテリアリティやコネクティビティの鍵となるKPIをぜひ設定してほしい。

・このようなKPIが示されるならば、投資家は企業価値創造のプロセスを共有することが容易になり、企業に対する中長期投資の信頼が大きく高まることになろう。
 

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