株式市場、年度初めの日本株独歩安をどうみるか

(3) 日本売り、円買いの論理

新関:この円高と株安の同時進行の理由は何なのでしょうか。

武者:やや断定的に言ってしまえば、日本売りが始まったという可能性があり得ると思います。日本売りと言うと極端ですが、日本売りの仕掛けがトライアル・アンド・エラーで始められた可能性があると思います。やはり円買いというのは日本売りの象徴です。日本が改革できずデフレが続けば円高になり、円高は更なる株価下落をもたらす悪循環を引き起こします。円買い円高は日本売りの象徴としての投資ポジションです。今やドル安政策が世界の金融安定の為に必要だということで、ドル安の結果円高になったというのが少し前までの観測でしたが、今起こっているのはドル安というよりは、円だけが日本売りという目的の為に買われると言わんばかりに投機的な円買いが起こり、それが原因となって日本株が売られるということが起こっています。なぜこのようなことが起こっているかというと、やはり日本の株式市場の特殊な構造にあると思います。日本の株式市場は実際の株式の保有額の3割を外国人が持っています。しかし、実際の取引に於いては6~7割は外国人です。従って世界の投資家が最も流動性が高く、短期売買によって利益を上げられるのは日本株式であります。日本株式はヘッジファンドが常に注目している非常に大きな収益の源泉であります。

 アベノミクスの時には、日本株が上がるということで日本株を買う。しかし日本株を買って日本株が上がっても円安になれば得られた値上がり益が為替損で相殺されてしまうので、短期の投資家は同時に円を売ってヘッジしておくのです。そうすれば株式の値上がり益はまるまる手に入ります。アベノミクスの局面では投機筋は日本株買い円売りというポジションを取り、その結果円が安くなり更に日本株が上がるという好循環が起こっていたと思います。このような好循環はアベノミクスが失敗する可能性が出てきたということになりますと、今度は日本株を売ると同時に円の売りポジションを外す、或いは逆に日本株を売って日本株の値下がり益を取ろうとするときに円安になれば値下がり益が薄められてしまうので、円を買って値下がり益を予め確保します。つまり、日本株の売りと円買いというのは完全にペアになったポジションであるという可能性が濃厚です。

 このようなことで今年年初来13週連続して外国人は日本株を売っているのですが、その売却ネット売り越し額は5兆円を超えています。わずか3ヶ月で5兆円。2013年のアベノミクスの最盛期に外国人が一年で15兆円買ったわけですが、たった3ヶ月で5兆円も売り越ししているので猛烈な日本株売りが起こったわけですが、それと同時に大幅な円買いが起こったのです。その背景をドイツ証券の外国為替営業部長大西氏は、以下のように推測しています。「2015年末に外国人は日本株式を185兆円保有していましたが、そのうちほぼ20%が為替ヘッジ付きの投資であったとみられます。つまり日本株投資に伴い外国人は37兆円の円売りポジションを保有していたわけです。しかし、株価が20%下落したことで投資元本は2割減り、円売りポジションも2割減らす必要がありました。ここでヘッジ解消の7兆円の円買い需要が発生したと考えられます。」 つまり日本の株式というのは外国人のヘッジによる投資対象であるということによって、円と同時に変化する連動するという傾向が強くて、それがこの間の日本株売り円高の鼬ごっこの悪循環を引き起こしていると言えると思います。従って日本売りとなれば円を買い日本の株を売り、これが自己実現的に更に事態を悪化させるという心配が出てきたのです。少し前まで中国発の金融危機と言っていたのですが、それどころか日本そのものに危機の種があると言わんばかりの日本売りのポジションが積み上げられ始めていると言えると思います。

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