・2015年5月に、現在進行中の中期計画を発表した。2015年3月期の業績は、売上高11.1兆円、営業利益1.1兆円、ROE6.0%、EPS 237円、配当90円であった。これに対して、中期計画のKPI(重要経営指標)として、3年後の2018年3月期に、1)EPS 350円以上(営業利益1.4兆円)、2)海外営業利益15億ドル(120円換算で1800億円)、3)設備投資-2000億円(2015年3月期比)、4)コスト削減-6000億円(同)を掲げた。
・過去15年を振り返ると、音声の電話収入が7兆円から2兆円へ減少し、その一方でブロードハンド、グローバル、クラウド関連の売上高が増えている。海外売上高は2008年3月期に0.2兆円であったものが、2015年3月期で1.8兆円まで増えたが、これを2018年3月期には2.6兆円へ伸ばす計画である。
・海外部門の営業利益は、2015年3月期の800億円を、2018年3月期で1800億円に拡大する計画である。全社の営業利益に占める海外比率も7%から13%に高める方針である。そのために、M&Aには引き続き力を入れていく、2010年に3000億円弱で買収した南アのディメンションデータのマネジメント陣を活用して、グローバル展開を加速しようとしている。
・従業員は国内16.5万人に対して、海外は7.3万人である。事業マトリックスを、1)コンサルから保守、運用までを横軸に、2)インフラからアプリケーションまでを縦軸にして、グローバルにクラウドビジネスを推進する。
・国内のネットワーク事業では、ドコモの新料金、NTT東西のフレッツ光の卸サービスなどによって、サービスの充実とともにインフラコストの削減を図る。また、2020年に向けては、イマーシブテレプレゼンス(仮想空間一体型のシステム)、ターゲットマイク(特定音のクリア抽出)、アングルフリー物流検索など、新しいイノベーションをリード役にして、スポーツ、観光、ビジネスの分野で新しい感動や体験を提供する。こうしたサービスの創出も含めて、市場の拡大に力を入れていく。
・配当に関しては、配当性向35%ベースに、2016年3月期で110円と5期連続の増配を予定する。自社株買いも累計で2.8兆円ほど実施した。今後とも海外ビジネスがうまく拡大すると、キャッシュフローの拡大が見込めるので、増配余力も高まってこよう。マイナス金利下で、配当利回りも注目されよう。NTTグループの事業構造改革に期待したい。