超過利潤時代の中央銀行の挑戦、マイナス金利の導入

(3) QEと負の金利との併用はパワフル、特に大幅株高要因

 コロンブスの卵かもしれないが、マイナス金利は意外に大きな効果があるかもしれない。第一は究極の安全資産としての日銀当座資産からの資金の押し出し効果である。これまでの量的金融緩和批判は、借り手が(経済の先行きに自信が持てず)借りる気がないのに、マネーの供給量を増やしても無理、という論理に基づいている。確かに量的金融緩和が当初の狙い通りに進展しているとは言えない面がある。当初の期待は、投資家や金融機関が保有する国債を日銀が買い、投資家や金融機関は国債保有を減らした分、他のもっとリターンの高い資産保有や貸付を増やし、リスク資産に資金が回り投資増・資産価格上昇・インフレ期待上昇と言う好循環が生まれるというもの(ポートフォリオリバランス)であった。しかし、消費税増税による成長のとん挫、中国危機の発現、世界的株安と円高観測の台頭などの環境変化があったとはいえ、投資家ポートフォリオのリスク資産への押し出しは行き詰まりをみせている。国債売却代金がそのまま日銀への当座預金として滞留しているのである。当座預金に対するマイナス金利の導入は、この滞留資金をリスク資産や貸し出しへと押し出す効果があると期待される。

 第二に金融緩和拡大の手段が格段に広がったことが指摘できる。量的金融緩和は、流通国債の3割以上を日銀が保有することになり、買い増しの余地がなくなりつつあるとの観測があった。ETFやREITなど国債以外に日銀が買っていた資産は池の中の鯨に例えられるごとく、流通市場の規模に比し日銀保有が大きくなっている。それに対して金利は当初はマイナス0.1%からスタートするが、いくらでもマイナス幅を拡大することは可能である。中央銀行が無限の弾丸を保有していることによる威圧感は大きく高まる。

 第三にマイナス金利は自動的に金利構造を変化させ投資家の採算変化に影響を及ぼすので、量的金融緩和の実効性は大きく高まるかもしれない。第四に黒田日銀総裁の失敗や副作用を恐れない大胆な姿勢は、市場心理を大きくリスクテイクに誘導するだろう。無限の弾丸を持つ日銀の覚悟が鮮明である以上、リスクアバーターはポジションを落とさざるを得なくなる。

 マイナス金利により当座預金からの資金の流出が起これば、マネタリーベースの縮小をもたらし、インフレ期待が弱まる懸念もある。その場合国債買い入れ額の増加が必要になる。あくまでもマイナス金利は量的金融緩和との併用により効果を高めていくのではないか。

 このように見てくると、初めての試みであるマイナス金利には副作用の懸念もあるが、ハイリスクハイリターンの株式や不動産などの価格上昇、円安には非常にパワフルな政策といえる。そもそも量的金融緩和の主たるトランスミッション経路が、金融機関投資家のポートフォリオリバランスによる株・不動産高、円安であったことを考えると、マイナス金利はより直接的効果が期待できるのではないか。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 超過利潤時代の中央銀行の挑戦、マイナス金利の導入