フィリピン製造業発展戦略 ―オランダ病を超えて―

 フィリピンはASEAN随一の高成長国になっている。海外出稼ぎ労働者からの送金が景気を支えている。人口大国(1億人)や教育水準の高さも注目される。しかし、それだけ良い条件があるのに、なぜ10%成長できないのか。製造業が未発達なことに示されるように、「オランダ病」に陥っているのではないか。

 本稿では、OFW送金とオランダ病の関係の実証に加えて、人口大国(及び生産年齢人口の増加)、高い教育水準、市場開放を迫るTPPの潮流などを要因として、経済発展のドライビングフォースである製造業の発展戦略を模索したい。「社会改革」が必要である。  

 近年、「最後のフロンティア」としてミャンマーが注目を浴びてきたが、フィリピンは国の特徴、問題点等の諸相がミャンマーの2倍くらい大きい。面白い国になっていきそうだ。今後の発展が期待されるが、課題は多い。また、フィリピンは日本の準同盟国になりつつあり、新たな関心を集めることになろう。(1)
 

Ⅰ. なぜ10%成長できないのか

1、ASEANの中で一番の高成長

 フィリピン経済は近年、好調である。2012年以降の経済成長率はASEAN諸国の中でも一番高い。表1に示すように、2012年以降、6.7%、7.1%、6.1%、6.0%と推移している。GDPの約1割に達する海外就労者(OFW)の送金に支えられた個人消費が成長の牽引力になっている。

 しかし、1960~80年代の長期停滞の影響で、1人当たりGDPは約3000㌦とまだ低い。タイの半分、マレーシアの3分の1、インドネシアより低い。

 経済指標を他のASEAN諸国と比較すると、フィリピンは輸出額が著しく低い。また、直接投資受入額も少ない(表2)。この両者は表裏一体であるが、フィリピン社会の本質的問題から現象しているとみられる(詳しくは後述)。
 
zu1
 
zu2
 
 現地でヒヤリングすると、人口が1億人に達したこと、生産年齢人口の高い伸び率、若い労働力の豊富さが強調される。そして、他のASEAN諸国が成長減速する中で、OFW(海外就労者)の送金もあり、フィリピンだけが減速していないことが強調される。しかし、筆者からすれば、そんなにいい条件を持っているのに、なぜ10%成長できないのか、という疑問がある。日本経済は1960年代、10%成長が続いた。中国は2000年代初頭、10%成長が続いた。なぜフィリピンは10%成長できないのか。本稿ではこの疑問に答えを出したい。

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