黒田イニシャティブ世界を救うか~相場転換のきっかけになり得る 1/29金融緩和 ~

(3) 資本規制に初めて言及した黒田総裁、
中国危機封じ込めにイニシャティブを

中国危機管理に資本規制提案
黒田氏はまたダボス会議において、「中国は通貨を守るため資本規制を使うべきだ、とタブーを破る発言をした」(1月28日FT紙)。「その発言に対する同意を聞かれたラガルドIMF専務理事は、直接の回答をかわしつつも、中国が人民元の価値を維持するために外貨準備を使い果たすことは賢明でない、と述べた」(同)。ダボス会議ではメキシコ中銀総裁や、一部の研究者が新興国の危機に際しては資本規制など非常識的手段が必要だという議論が出された。

黒田氏の議論は規制緩和と透明性ある通貨、外貨管理運営、市場原理の尊重を基本としつつも、リーマンショック時に見られたような危機封じ込め策、つまりContingency Planにおいては、資本規制が有用だというものであろう。当然、黒田氏の思案の中には、中国において資本流出危機が深刻化しているという認識があったはずである。

1月12日のロイターは「どちらが提案したかは不明だが、日銀と中国人民銀行が通貨スワップ協定の締結交渉をしている」と報じている。日本円と人民元の通貨スワップ協定はアジア通貨危機後の2002年にスタート、日中関係が悪化した2013年に期限切れとなっていた。水面下で日銀による支援体制が進展していることをうかがわせる。

ダボス会議ではジョージ・ソロス氏が「中国のハードランディングは不可避」と発言し、人民元や香港ドルなどのアジア通貨売りを宣言した、と伝えられる。それに対して中国共産党機関紙人民日報や、国営新華社通信は、「中国はハードランディングしない、人民元売りは失敗する」と応酬している。まるで デジャヴ、1997年アジア通貨危機当時のマレーシアのマハティール首相とソロス氏との応酬の再現である。ただし今回の違いは、投機筋の中国人民元売りが功を奏したら、中国経済の巨大さ、とその4兆ドルに上る対外債務の巨大さから容易に世界金融危機が巻き起こされる、ということである。

当面、中国当局の介入と限定的な資本規制により人民元相場は小康状態である。しかし急減する外貨準備、急増している資本流出に歯止めがかからなければ、人民元の先安観は強まるばかりであろう。2014年6月にピークを付けた外貨準備高の減少傾向には歯止めはかからず、むしろ加速、2015年12月は単月で過去最高の1,079億ドルの減少になった。中国の最近の経常黒字は月平均200億ドル程度なので、差し引き月間1,300億ドル程度の純資金流出が起きているのである。2014年6月から2015年12月末までの18か月累計では、外貨準備高減少6,600億ドル(3.99兆ドル→-3.33兆ドル)、経常黒字額4000億ドル(推計)、合計で1兆ドル以上の巨額資本流出が続いているのである。①中国人による対外直接投資の増加、②外国人による対中投資の回収、③中国人の対外資本逃避、等が考えられるが、中心は②と③、つまり急速に中国から資本が逃げ始めているのである。

いま加速しつつある株安(資産価格下落)、通貨安、資本流出はまさしく1997年のアジア通貨危機を引き起した3点セットである。中国発国際金融危機回避のための、緊急策(Contingency Plan)策定が急務となっている。黒田日銀に期待される役割は大きい。

もっともよりラディカルな資本コントロールの導入、本格的中国危機の封じ込めが整備されるには、中国の国内ポリティクスなど乗り越えるべき障害は、大きい。前回レポートした中国「毒(toxic)」の遮断は未だ不確かである。シートベルトを、締め続けることは必要であろう。
 

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