9年ぶりの米利上げに見る二つの風景

(2) 暗-中国、元切り下げの誘惑にかられないか

人民元不安を強めるか

他方、米利上げが悪影響をもたらす最大の懸念は、人民元の不安定化であろう。景気失速が止まらない中国にとって、元安は自然で、且つ望ましい。第一に、大きく落ち込んでいる輸出を立て直すためには輸出競争力の回復が必要である。図表12に見るように、今や中国の人件費はアジア新興国の中で最も高くなり、中国からASEANなど他国への工場移転が急速に進行している。元安はその流れを食い止めるためには必須である。第二に、至上命題である不動産バブル崩壊を回避するための度重なる金融緩和を実効性のあるものにするためにも、元安が望ましい。元高を維持するための元買いドル売り介入は、国内の金融緩和を相殺してしまう。

とは言え、8月のIMFの勧告に基づく為替変動幅拡大を理由とする元安誘導は市場の大パニックを引き起こし失敗した。そうした中での米利上げは元安を希求する中国当局にとつて、格好の口実となりえる。中国当局がその誘惑にかられないとも限らない。

 
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元安は両刃の剣

しかし、元安は中国にとって両刃の剣である。それによって巨額の資本流出に歯止めがかからなくなる恐れがあるからである。中国の巨額の外貨準備の過半は対外債務に基づくものであり、ひとたび中国で経済失速不安、バブル崩壊不安、元下落不安が起きれば、巨額の対中国投資資金が堰を切ったように流出する恐れがある。また中国人自身も資本の海外逃避を加速させるだろう。そうなると人民元相場はアンコントローラブルの急落となる可能性がある。元の急落は設備過剰に悩む中国企業を輸出ドライブに駆り立て、市況下落を引き起すばかりか輸出先国のシェアを奪うことで世界中にデフレ圧力を高める。また中国国内では外国資本の引き上げが金融をタイトにし、バブル崩壊を促進すると言う経路も考えられる。巨額の海外資本に依存してきた中国にとって、人民元の扱いはアキレス腱なのである。

つまり、今回の利上げが引き起こす最も危険な連鎖は、可能性は低いものの中国人民元急落にあると言える。

 
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