長期展望、日経平均長期上昇シナリオは終わったのか?

このように中国経済の悪化、衰弱は、一部の国の地盤沈下と、別の国の大きな発展をもたらすという二つの可能性を秘めている。中国の地盤沈下の悪影響を受ける国は、当面警戒しなければならないが、恩恵を受ける国で一時的にマーケットに波乱が起きるような場面は、絶好の投資チャンスということもあり得る訳で、その代表が日本であると考えられる。① 日本は、対中輸出依存度(含む香港)は22%と高いが、輸入依存度は24%とさらに高く年間2兆円の貿易赤字を抱えており、対中貿易減少は国内生産の増加に結び付く可能性が大きいこと、② 対中輸出品の大半は資本財、中間財で、中国で生産しても最終需要地は欧米であり、中国需要の悪化には影響されない(人民元が切り下げられてもダメージは小さい)こと、③ 対中輸出のピークは2005年であり、過去10間微減傾向であり、早くから脱中国が進められていたこと、などの事情がある。

日経平均長期上昇シナリオは終わらない

ミラー: 当面のマーケットはどのように見ていったらよろしいでしょうか?

武者: 今起こっている中国の混乱は、リーマンショックあるいはアジア通貨危機で見られたようなスパイラル的な金融危機にはならないだろう。中国ではバブルが崩壊したり、あるいは、いずれ人民元が急落をしたりという混乱は避けられないが、そのようなことが起こっても、問題が限定的だと思うのは、中国に対する融資・投資は一部の華僑系資本に限られており、あるいは先進国、米国、日本、欧州の金融機関などはそのための防火壁を既に設置しており、ほとんど影響を受けないであろう。では、中国経済がどんどん弱くなったら、世界経済は大変なリセッションになるかと言うと、たとえ一時的な減速になっても、米国、日本などの景気の足腰は強いし、中国に代わって浮上する新興国も出てくるとすれば、それも考えられない。また今年に入ってからの新興国通貨下落、世界株安で中国リスクは既に相当織り込まれ、更なるbad newsには耐性がついていると見られる。つまり、混乱はあっても長期的な世界経済の成長のシナリオは不変であるとすれば、一旦大きく下落をした株価などは、大きくリバウンドをすることも起こり得る、と言えるだろう。

短期的なことを言えば、恐らく中国の混乱に対して、主要国では協調して景気対策を打ち出すと考える。米国の利上げの先送り、必要なら第二弾、第三弾の量的金融緩和、主要国で財政政策による需要創造、等々である。他方、中国は中国で緊急避難対応により、強権的な景気対策、そして市場誘導、操作をする。株価の暴落が止まり、これ以上の元安の可能性も否定され、他方で、相当な財政出動などによって足元の景気を押し上げるということがあると、一時的にマーケットは黒い雲が晴れたということで、世界株価は大きくリバウンドをすることがあり得る。恐らく、この間の急落で、だんだん底値圏が固まってきた。そこに不安の解消が加わると、株価はリバウンドをして暴落前の高値を抜いていくかどうかは別として、それに近いところまで戻るということは起こり得る。

但し、そういうことが長く続くかと言うと、恐らく中国の第二弾の混乱が、いずれやってくる。小康状態が終わり次の事態の悪化、例えば中国の輸出の更なる落ち込み、生産活動の一層の低下、中国の金融緩和が上手く機能せず不動産価格が再び暴落を始める、外貨準備の減少が続き人民元の相当の切り下げが不可避だ、等が起きると、もう一回ドスンと来るというようなことも起こり得る。その時に世界の他の国は、中国の影響はもはや限定的であるというように言えるところまで行っているかどうかによって、大きな底割れ無しに長期的な持続成長に入れるのか、もう一回ちょっと底を探りに行くような動きになるのかというようなことが起こるのではないか。つまり、短期的には非常にバンピーな動きとなるので一方方向の下落に賭けることも、一方方向の上昇に賭けることも危険が大きい。しかし、非常に大きなトレーディングのオポチュニティーが、そこに存在する。そして長期投資家は、売られたところは絶好の買い場と考えて買えばよいということになる。日経平均は短期的にはずっと上昇を続けるという一方方向の上昇シナリオは修正せざるを得ないけれども、恐らくこの問題がかなりスッキリしてくる半年、一年先には長期上昇軌道に乗っていく可能性は充分にあるというように思われる。

ミラー/武者: はい。ありがとうございました。

* ミラー和子 武者リサーチディレクター

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