異説・中国経済論 ‐中国は失速するか、世界株安の犯人は中国か‐

(3)中国経済の実情‐異なる見方

 中国経済の二ケタ成長は過去のものであり、既に3~4年前から7%台成長に減速している。中国の減速が世界株安の震源地だと言う見方が多いが、タイムラグがある。また、8月の人民元切り下げを切っ掛けに世界株安中国犯人説が盛り上がっているが、7月、8月に中国の経済実態に変化が生じたわけではない。

 表5に示すように、消費は急落しているわけではない。堅調である。固定資産投資も急落していない。大きく悪化しているのは輸出入貿易である。7月の輸出は前年同月比マイナス8.3%、輸入はマイナス8.1%である(8月10日発表)。この輸出入データの悪化と直後の人民元切り下げが結びついたのが不幸であった。

 輸出の伸び率も、3~4年前から大きく低下している。輸出の停滞が中国経済の足を引っ張っていることは事実である。
 しかし、この7月の大幅減少(△8.3%)はイレギュラーである。前年同月が大幅に上昇したことの反動減である(前年は6月+7.2%、7月+14.5%)。前年比マイナスは実態であろうが、8.3%ものマイナスは過大表示である。また、輸入もマイナス8.1%(8月マイナス13.8)となり、スハ内需減少、景気悪化と読んだのであるが、実は輸入のマイナスは年初から起きていることであり、7,8月から急に景気底割れが起きたわけではない(輸入は1~3月マイナス17.8%、4~6月マイナス13.6%)。
★表5 中国の経済指標

◇李克強指数の読み方
 中国減速説がGDP10%成長から6~7%への減速を言うのであれば、これは3年前から起きていることであり、いまに始まったことではない。もし、失速、底割れ(GDP2~3%あるいはマイナス成長)を言うのであれば、論拠が必要であろう。よく、「李克強指数」を持ち出す人がいるが、これは説明力がない。
 
 李克強指数とは、李克強首相が2007年に遼寧省党委員会書記として在任中、景気実態を表す統計としてはGDPではなく、電力消費量、鉄道輸送量、中長期新規貸出残高の3指標がよいと言ったことに由来する。しかし、これは当時の遼寧省の経済状況を分析したものである。遼寧省は沿海地区に比べ経済発展が遅れている。また、重化学工業偏重で第3次産業が遅れている産業構造であり、中国を代表しない。今の中国はサービス産業が主導する経済構造へと転換が始まっている。
 
 したがって、いわゆる李克強指数とGDPに乖離があったとしても、真のGDPは政府発表値より低いとは限らない。今の中国経済の実態が厳しいことは事実であるが、李克強指数を持ち出してGDP2~3%成長説や景気底割れを説明することはできない。

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