2015年9月1日時点での主要市場見通し

ただし、その後6月にかけては、豪州からの輸出額が持ち直している。中国は仮需(たとえば、実際に鉄鋼材が売れているわけでもないのに、売れるだろうとのアテで鉄鉱石を買いつけてしまう)があるため、この輸出額の持ち直しを手放しで楽観視はできないが、ある程度は中国経済の悪化にブレーキがかかっているのかもしれない(ただし。悪化が止まった、ということではまったくなく、悪化速度が多少落ちたかもしれない、というイメージ)。

なお、中国の株価については、最近のバブル的な上昇相場の「発射台」近辺までは戻ってきた(図表7)。その点からは、中国株価の調整はかなり済んだと考えられる。
ただし、中国政府が強力に株式市場に介入しているため、現在の中国の株価は完全にひずんでいる。したがって、今後中国の株価はどう動くかは予想不可能だと考えるし、どう動いても、全く意味はないだろう。ただ、中国株が大きく下げると、心理的には(あくまでも心理面でだけ)他国市場に波乱を引き起こすことは、短期的にはありそうだ。

(図表7)
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さて、中国経済が一段と悪化することによって、他国の経済にどのような影響が生じるか、ということだが、中国経済に限らず一つの国の経済は、いろいろな側面を持っている。

まず一つは、財の買い手としての中国経済だ。国内で消費するため、あるいは国内での設備投資等のため、海外から財を輸入する。もしくは、日本におけるインバウンド消費のように、海外でお金を使う。加えて、中国国内での国産品の購入であっても、そうした国産品を中国国内で作ったり売ったりしているのは、外資系企業の製造工場や小売店かもしれない。
この点では、中国経済の悪化は、他国から中国への輸出減少や、他国企業の中国における収益悪化を生じる。ただし、たとえば米国経済については、中国へ大量に輸出しているというより、中国からの輸入が多額だ(※4)。つまり、米国にとって、中国が財を買ってくれるお客さんというより、米国がお客さんという色合いの方が濃い。

日本から中国向けの輸出については、前月号の記述をそのまま繰り返せば、2014年年間で、中国向け輸出は総輸出の18.3%を占めている。中国経済の失速により、中国の購買が落ちることで、この輸出は悪影響を受けることは避けられまい。
しかし日本から中国向けの輸出が、全て中国国内で用いられるものとは限らない(中国が最終需要者とは限らない)。日本から輸出した電子部品等を中国で組み立て、他国に輸出している分もあるだろう。
その割合がどのくらいかは、正確にはわからない。ただ、WTO等のデータによれば、中国の総輸入額(日本からとは限らない)のうち7~8割が中間財(部品等の、製造過程の中間のもの)であると推察される。もちろん、中間財を中国が輸入し、それを中国で組み立て、中国国内で販売する場合もあるだろう。ただ、日本から中国が中間財を輸入し、中国で組み立てて、中国以外の国に輸出するケースが、かなりのウエイトを占める、と考えてもおかしくはないだろう。
こうした最終需要地が中国以外の場合は、中国の景気が悪化しても、最終需要地の景気が悪化しなければ、影響を受けにくい。リーマンショック直後の2009年は、日本からの輸出が4~5割落ち込んだ(最悪は、2009年2月の前年比49.4%減)。これは全世界の需要が落ち込んだことによるものであり、中国だけの経済悪化であれば、リーマンショック時のような輸出の落ち込みは考えにくい(※5)。

※4 2015年1~6月累計で、米国から中国向けの輸出は、全輸出の7.3%に過ぎないが、中国からの輸入は、全輸入の20.2%をも占める。この結果、同時期の対中貿易赤字は1708億ドル(季節調整前)にのぼり、単一国向けの貿易赤字としては最大。
※5 以上は、前号(「花の一里塚」2015年8月号)から、ほぼそのまま転載した。なお前号では、日本でのインバウンド消費に対する中国経済悪化の影響が限定的(中国からの観光客が日本で使う金額が、日本の総個人消費の0.23%)であることも述べているので、参照されたい。

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