外貨逼迫する中国、脆弱な対外金融力、再元安不可避に

(4) 中国外貨事情の特徴、巨額の対外資金依存体質

実は借金に依存している中国の外貨準備
何故突如中国の対外資金不安が高まったのだろうか。それは「中国は世界最大の貿易黒字国でありその結果外貨準備高は世界最大の4兆ドル弱、第二位の日本の3倍と言う巨額の規模となり、中国は世界最強の金融力を持っている」というコンセンサスの誤りが、露呈したからである。新たに発表されたIMF準拠の国際収支統計、対外資産統計により実態が白日の下にさらされた。そもそも中国の成長に貿易が大きく寄与したのは2007年までで、それ以降はもっぱら投資が成長をけん引してきたが、その投資資金は巨額の外貨流入、対外借り入れによって賄われた。その対外借入資金の増加が外貨準備の急増をもたらし、それを裏づけとしてなされたマネーの供給が空前の投資を可能にしたと言える。対外金融力の象徴とされている外貨準備高も実は過半が他国資本に依存したものであるとすれば、中国の対外金融力は相当に脆弱であると言わねばなるまい。

★図表6

日中の外貨準備の性格が大きく異なる
そもそも外貨準備高の性格が日本と中国ではまるで違うことに人々は気が付いてこなかったのではないか。外貨準備高とは対外決済や為替市場の安定のために当局が保有する資金である。日本の定義では日銀と財務省が保有する外貨の総額で、その大半はかつての外貨介入によって取得されたものであり、その源泉は全てが過去の経常黒字にある。また2015年7月末残高1.27兆ドルであり、その90%の1.12兆ドルが外国証券、大半は米国債となっている。

それに対して中国の外貨準備高には政府、中央銀行のほかに国有銀行など民間保有の短期外貨資産が含まれているとみられる。そしてその源泉は、過去の経常黒字の積み上がりに加えて、海外からの借り入れが大きく寄与していると考えられる。中国は民間や外資企業の外貨保有を厳しく管理しているため貿易収入や対外借り入れなどによって取得した外貨の過半は銀行に預託され、その預託額が外貨準備にカウントされていると考えられるのである。
だから日本の対外総資産額に対する外貨準備高の比率は16%に過ぎないが、中国の対外総資産額に占める外貨準備高の比率は59%と異常に高いのである。

★図表7

著しい過大評価、中国の対外金融力
また中国の外貨準備高が対外純資産の2.7倍に達すると言う奇妙なことが明らかになった。外貨準備高のうち自国資本の裏付けが37%に過ぎず、63%は外国資本によって支えられているのである。ちなみに日本の外貨準備高は対外純資産の41%であり、フルに自国資本によって裏付けられている。

だから日中間では外貨準備高に3倍の開きがあるのに、米国国債保有高は日本1.22兆ドル、中国1.26兆ドルとほぼ拮抗している(2015年7月末)ということも起きるのである。

★図表8

このように見てくると、中国の外貨準備高は対外金融力や外貨介入余力を示すものとは到底言えないことが分かる。真の金融力は対外純資産額なのであり、2015年3月末の対外純資産が日本は2.9兆ドル(349兆円)であるのに対して中国が1.4兆ドルと半分しかないということは、中国の対外金融余力は日本の半分に過ぎないというのが実態なのである。

日本の外貨準備はひも付きのない自由な資金だが、中国の外貨準備の過半は多大なる債務を負っている資金、つまり他国資本なのであり介入には投入できない。故に中国に投融資している華僑系の膨大な資本が回収に転じ始めたら、上げ底の過大表示されている外貨準備高では到底足りなくなると言う事態もあり得るのである。

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