TPP ニュージーランドは悪いのだろうか‐合意見送り犯人説に疑問‐

3、大国のエゴと政治日程優先が誤算のもと

 もともと、今回のハワイ閣僚会合は厳しい情勢だったのではないか。最後の土壇場でNZが反対したからだと言う見方があるが、果たしてそうであろうか。

 7月中旬、12カ国主席交渉官会合の前、2国間実務者協議が行われている段階で、シンガポールの新聞などは先行きについて厳しい見方をしていた。南方に位置しているので、新薬のデータ保護期間を重視する豪州、酪農品輸出の拡大を目指すNZの姿勢を反映していたのであろう。しかし、その頃、日本の報道は「これが最後」と楽観的な報道が多かった。日本のマスコミは政府官邸筋が流す根拠のない楽観論に影響されすぎていたのではないのか。

 米国は2016年の大統領選挙があるので、それが本格化する前、今秋にもTPP協定に署名、批准を目指すには、8月が大筋合意のタイムリミットと言われてきた。日本も、来夏の参議院選挙での農業票の離反を避けるため、今秋の臨時国会で法案処理を行い、来年の通常国会ではTPPを巡る攻防は避けたかった。それ以上に、安倍総理側は9月の自民党総裁選に対立候補の出現を招かないよう誇示できる実績作りを急ぎたいからだと言う見方もある。日米とも政治日程が優先し、根拠のない希望的観測に走っていたのではないか。

 7月中旬の段階で、日本政府内で「カナダ外し」論が浮上していた。乳製品の関税交渉が遅れているカナダやNZを外して合意するシナリオである(7月15日付け日経朝刊ほか)。これも、各国の経済成長を高めると言うTPPの目的を忘れ、自国の政治日程を優先した考えから出たものであろう。
 フロマン米通商代表より、日本のほうが、政治日程を気にして焦っているようである。「もう一度、会合が開かれればすべてが決着する」として8月下旬の閣僚会合を目指したい日本に対し、フロマン代表は記者会見で次回の閣僚会合について聞かれ「はっきり決まっていない」と述べた(日経8月2日付け3面)。「会見直前には次の閣僚会合の日取りを決めるよう迫る甘利氏に対し、フロマン氏は慎重だった。「次の失敗」は許されないためだ」(朝日2日付け2面)。日本側の焦りを感じる。
 先にも触れたように、 TPPは小国の集まりから始まった。原始加盟国はブルネイ、ペルー、ニュージーランド、シンガポールの4か国(P4)である(2006年発効)。2009年11月に米国オバマ大統領が関与を表明して以来、広く関心を集め、現在、米国、日本を加えた12か国で交渉が続いている。当初からの参加国であるNZを外して妥結に持ち込もうなどと言うのは、大国のエゴであり、礼を欠いた姿勢ではないか。自国の政治日程を優先し、一方、保護主義を堅持(国会決議に縛られ)する交渉態度では、世界の共感を得られず、失敗するのではないか。

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