TPP ニュージーランドは悪いのだろうか‐合意見送り犯人説に疑問‐

2、TPPは各国の「経済成長を高める」目的

 TPPは自由貿易を理念としている。人、モノ、カネ、情報が自由に行き交う仕組みを作ることで、世界の経済成長を高めよう。その中で、各国は比較優位商品の輸出を伸ばし、経済成長を高めることができるようにする。これがTPPの目的である。このTPPの目的に照らした時、ニュージーランドの姿勢は「正論」である。

 TPP交渉を評価するに当たり、筆者には二つの規準がある。一つは「例外なき自由化」「100%自由化」は無理で、貿易障壁を残した「聖域」が幾つか残るであろうと言う見通しを当初から持っている。

 「例外なき自由化」は、TPPが当初、4つの小国(ブルネイ、ペルー、ニュージーランド、シンガポール)から始まったときの原則である。例えばシンガポールは農業がなく食料を輸入に依存している。食料は農産物輸出国NZ等から輸入する。農産物の100%輸入自由化は何の問題もない。
 小国の場合、産業構造が比較的シンプルである。上述の例のように、シンガポールは農業がない。サービス産業とハイテク型製造業から成り、比較優位に特化した産業構造だ。食料は輸入に依存しているから、農業国とFTAを締結しても相互に補完しあうだけで、産業調整コストは発生しない。しかし、大国はフルセット型の産業構造が多く、関税障壁等をなくした場合、産業調整コストが発生する。FTA締結は国内に抵抗勢力があり、容易ではない。
 こうしたことから、小国グループのTPPから、米国、日本等大国も参加するTPPに変わるとき、「例外なき自由化」というルールはハードルが高すぎ、そのままの維持は難しくなる。市場統合の程度は低下したものにならざるを得ない(つまり100%自由化は無理)。
 参加国が増えるにしたがって、TPPルールは変質していかざるを得ない。各国に裁量の余地を残し、市場統合の程度が低下するとしても、なお余りある利益が世界にもたらされる場合、それはそれで良いのではないか。現実的解決策だ。筆者は早くから、そういう考えであった。(拙稿「TPP仮説-シナリオB」WEBみんかぶ2012年1月10日掲載、https://money.minkabu.jp/28638)。
 もう一つの規準は、もちろん、「自由貿易原則」である。出来るだけ高度な市場統合を行うことにより(100%に近い高度な自由化)、世界の経済成長を高める。これは重要な原則である。
 このように、「聖域」を認める現実論と「例外なき自由化」という二律背反の二つの規準を置いている筆者でさえ、NZの議論は「正論」に聞こえる。国際交渉は、モノカルチャーに近い産業構造の小国にも経済成長の機会を与えるよう努力が必要なのではないか。
 

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