ギリシャ国民投票で緊縮策にノー、債権者側とドイツは譲歩を迫られるだろう

現在とギリシャ危機の2010年とは根本的に情勢は異なっている。当時の問題はギリシャをはじめとした南欧諸国の過剰消費と過剰債務、にあった。しかし今のギリシャ、南欧諸国は消費抑制により過剰債務は一掃されている。当時10%前後あった南欧諸国の対外経常収支の赤字(対GDP比)は、ほぼゼロないしはプラスに浮上している。また財政収支もプライマリー財政バランスで見れば、ギリシャを含めて南欧諸国は全て黒字になっている。それは金利上昇と財政赤字削減により、国民の生活水準が劇的に引き下げられたからである。ただ景気後退の結果、南欧諸国の失業が上昇してしまっている。図表4に見るようにギリシャの消費水準はギリシャ危機勃発前に比べて75%の水準まで落ち込んだままで低迷している。他方失業率は危機勃発前の7%から25%へと急上昇している。喫緊の課題は更なる緊縮ではなく景気浮揚なのである。

zuhyo4-5

2010年の正しい対応は南欧諸国の消費抑制と債務返済であり、その後に起こったことは景気後退であった。それに対して現在の問題は正反対の過剰貯蓄と需要不足なのであるから、正しい対応は需要創造による過剰貯蓄の解消、つまり成長を促進するリフレ政策の導入ということになる。問題は大幅な経常収支の黒字による巨額の貯蓄余剰を積み上げたドイツが、財政緊縮と金融緩和に対する後ろ向きの姿勢によって、リフレ政策に背を向けていることである。その結果ユーロ圏全体が、日本が陥ったようなデフレに陥るリスクが高まっている。

ドイツは潜在的に高まる反ドイツ感情を制御できるか
第三に債権者が譲歩せずなおグレグジット(Grexit=ギリシャのユーロ離脱)が現実となれば、それはパンドラの箱を開くものとなる。過剰な緊縮による景気後退と失業率上昇はフランスを含めスペイン、イタリア、ポルトガルなど南欧諸国に共通した課題であり、これに向き合わなければ各国国民のユーロ中枢に対する反発が強まるだろう。フランスの思想家エマニュエル・ドット氏が近著「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」で主張しているように、強大な産業競争力と安価な通貨ユーロを武器にしてドイツが圧倒的影響力を高めてきた現状に反発は強まっている。ドイツは積み上げた金融力(経常余剰)を資本還流と財政支援により南欧諸国にふり向けざるを得ない局面に入ったと言える。ボールはドイツのメルケル首相が握っており、メルケル氏はチプラス政権に譲歩することでグレグジットの回避を図るという、賢明な選択をすることになろう。

合意成立となれば、欧州経済展望は一気に明るくなる。ユーロ安、原油安に加えてようやく拡大に転じた銀行貸し出しが寄与していくものと予想される。また長期の経済停滞により、ペントアップディマンドが蓄積していることも南欧諸国の需要拡大を支える。先進国株価は鋭角反発し、サマーラリーの始まりとなるだろう。

zuhyo6

zuhyo7

1 2

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> ギリシャ国民投票で緊縮策にノー、債権者側とドイツは譲歩を迫られるだろう