利潤率と利子率の乖離が示唆する歴史的投資チャンス~量的金融緩和がなぜ必須なのか、成功できるのか~

雇用と株価を二つの変数としてグラフを描いて示してみよう。100%完全雇用と100%最適サステイナブル(継続可能な)株価をグラフに描くと一体どうなるか。雇用が0の時には経済は崩壊しているということだから、株価も0に決まっている。完全雇用が実現し経済が最も望ましいサステイナブルな成長局面では、株価は100%だと考えられる。この因果関係を描くと際限なく雇用を拡大させるために株価を上げ、この100%のところで株価がピークに達するという放物線が描かれる。おそらくフェアバリューと株式時価とはこのような感じでいくのではないだろうか。しかし、完全雇用を超過して経済が過熱しインフレ的になれば、バブルとなる。一時的には株価が上昇しても、フェアバリューを上回ってバブル化した部分はいずれ消去され、サステイナブルな妥当株価に回帰することとなる。このように考えると、大事なことは完全雇用の実現である。その為の変数として、どの水準の株価が妥当かという観点から株を考えなければいけないというのが、第一の問題提起である。

★図表20

金融市場の最適資本配分は、株価が利益と金利で決まる時に実現する
第二の問題提起は、株価のフェアバリューとはFEDモデルの復活ではないかと考えられることである。2000年以降にFEDモデルが大きく崩れ、フェアバリューに対して実際の株価が、半分以下の水準まで下落するような事態が起こっている。これが意味するところは何かというと、企業価値があるのに、そこに資本が流れていないということだ。資本が、現金や長期国債などの価値を生まない安全資産に吸収され、金利が低下している。教科書的な株式の価値とは、将来収益の総和の現在還元価値であり、将来収益を割引率でで割ったものと考えられる。FEDモデルとは、この収益を将来収益ではなしに現在の収益、そしてこの割引率を現在の金利に置き換えているにすぎない。将来の収益を予測することなど不可能であり、将来の割引率を予測することも不可能であるとすれば、より確かで実用的な妥当株価とは、足元の収益と足元の金利で現在の株価を説明するFRBモデルであると考えられる。

これが変わるかどうか。これを復元しようというのが、量的金融緩和の究極の目的ではないだろうか。バーナンキ元FRB議長は、リスクプレミアムをどう下げるかが量的金融緩和の目的だということを、量的金融緩和を導入した当初からしきりと言っていた。リスクプレミアムを下げるということは、債券と株、それから貨幣との間の裁定関係を作り出すことによって資本の循環を取り戻すすということである。これが機能していなかったのがリーマンショック直後であり、ようやく機能し始めているのが現在の米国の状況である。そして、今の日本では10数年間これが機能していない。

つまり、金利と利益で計算できない株価は嘘なのだ。従って金利が下がっているが、この金利の下落は異常なのであって、これを踏まえてバリュエーションを考えるのは間違い、という議論こそ誤りなのではないか。つまり低金利なら低株式益回り(=高PER)となるのが自然なのだ。低金利であっても株価が上がらないということは、金融市場ではいわゆる安全資産と株式などのリスク資産との間で裁定的投資が起きず、資本の最適配分機能が働いていないということなのではないか。米国は量的金融緩和によって、いちはやくFEDモデル復活の方向に向けて動き出している。これが今、米国経済のもっとも力強い推進力になっている。それに対して日本依然としては、このFEDモデルが機能しないという状況で対極にあると考えられる。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 利潤率と利子率の乖離が示唆する歴史的投資チャンス~量的金融緩和がなぜ必須なのか、成功できるのか~