利潤率と利子率の乖離が示唆する歴史的投資チャンス~量的金融緩和がなぜ必須なのか、成功できるのか~

(3) 2000年に起こった劇的変化の解釈~新産業革命がもたらした

新産業革命の成果、生産性上昇が捕捉されていない
昨年11月24日のウォール・ストリート・ジャーナルに、プリンストン大学のアラン・ブラインダー(Alan S. Blinder)教授によるThe Unsettling Mystery of Productivityという論文が掲載されていた。その論文の中で教授は、米国の労働生産性が上昇しないことは極めて大きなミステリーで、なぜこのようなことが起こっているのか、あるいはそれが事実であるのかもわからないと言っている。同様に、昨年11月20日の日経新聞には、ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン(Martin Feldstein)教授のインタビュー記事が出ていた。フェルドシュタイン教授も、米国の生産性が上がっていないことに大きく疑問を呈し、そもそもコンピューターやバイオ技術によるイノベーションを政府の統計がうまくつかめていないのではないか、今起こっている新産業革命や、その結果として実現している生産性の上昇も、我々は統計的に捕捉できていないのではないかということを言っている。(実はこのような問題提起は、10年ほど前から筆者は何度となくレポートに書いていることである。)生産性が高まっているのにそれが統計的に捕捉されずに、生産性の上昇が(自動的に引き起こす)人余りと金余りだけが経済的災禍としてとらえられる、ということが起こっている。

新産業革命がもたらす労働と資本の余剰
これを説明するために、2014年初めに米国で出されたMITの教授であるエリク・ブリニョルフスソン(Erik Brynjolfsson)とアンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee)によるThe Second Machine Ageという著作を紹介、引用しよう。その本によると、人類は今、第二の機械革命に遭遇しているという。200年前の産業機械革命では、人々の筋肉労働が蒸気機関などの動力によって代替されたおかげで人々は筋肉を使う必要がなくなった。現在、人類で筋肉を使って働いている人々はスポーツ選手ぐらいのもので、それ以外は農民であろうと建設現場の従業員であろうと、全部機械のオペレーターなのである。農作業は鋤や鍬の代わりに耕運機・トラクターが、土木作業はシャベル・スコップの代わりにパワーシャベル・ブルーザーが使われるようになった。このようにして筋肉労働から人類は解放されたが(失業したが)、これが第一次機械革命なのだと述べている。それでは、第二の機械革命とは何か。それは、最近起こった人工知能、3Dプリンティング、インターネットなどデジタル・テクノロジーによって、人間の知能労働が機械に代替されることである。そうすると、もはや経済は人間の知能労働・頭脳労働をも必要としなくなる。結論として、人間は筋肉を使う必要がない、頭を使う必要もない、全部機械・ロボットがやってくれる、人間は全部失業する、という時代が起こるということだ。

無策なら失業増加で経済は崩壊する
まさしく今起こっている我々の前にある現実は、空前のインターネット革命あるいは様々なバイオをはじめとした技術革新などによって、生産性が高まっている。その結果として、かつてない規模の余剰が生まれている。それが、労働余剰と資本余剰である。空前の技術発展と新産業革命、その結果として起こっている生産性の上昇、これが今起こっている構造上の大きな特徴なのだ。この生産性上昇はいったいどこで起こっているだろうか。その一つは労働生産性である。労働生産性が上昇すると、商売に必要な労働投入量が大きく圧縮できるので、人がどんどん余っていく。それからもう一つ起こっている生産性の上昇は、資本生産性の上昇、つまり設備やシステムの価格の著しい低下である。商売をするのに必要な資本の投入量があまりいらなくなり、その結果、金が余る。

よって、米国の企業部門で起こっている雇用の減少や資本の余剰は、明らかに生産性上昇つまり新産業革命の結果起こったものと断定していいのではないだろうか。このように考えると、このブリニョルフスソン教授が言っている第二の機械革命がもたらした経済と金融に与える影響は、衝撃的なものがある。これが起こったが故に、2000年ごろを境にして、経済の構造が劇的に変わっているのだと推察することができる。仮に生産性上昇の結果、人の投入も金の投入も不要となり、故に賃金は上がらずに金利は下がるのであれば、コスト圧縮の恩恵を受けて企業が儲かるのは当たり前である。しかし、そうした形での生産性上昇だけが進展すれば、金も人も大きく余剰化し、他方企業だけが繁栄するということになり、それは経済体制の崩壊をもたらすだろう。ブリニョルフスソン教授がThe Second Machine Ageで示唆していることは、そのような破局的な将来もありうるという現実で、場合によっては好業績企業であふれかえりながら、我々には職がないということも起こりうるということなのである。

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