利潤率と利子率の乖離が示唆する歴史的投資チャンス~量的金融緩和がなぜ必須なのか、成功できるのか~

空前のミスプライシング
図表21の振り子は、かねてから筆者が説明している、いわばバブルの振り子もしくはリスクアペタイトの振り子である。1990年は値上がりしすぎのバブル、今は値下がりしすぎのバブルと言え、どちらも著しく妥当性を欠いた株価形成となっている。1990年には株式の益回りが2%、社債の利回りが8%で、株は社債の1/4しかリターンがなかった。明らかに、株は値上がりしすぎだったのだ。現在(2015年)は株式の益回りが6%、社債の利回りが0.5%で、株には12倍ものリターンがあり、値下がりしすぎと言えるのに株はそれほど買われていない。どちらのケースも、フェアバリューから著しく乖離していて、金融市場が適切な資本配分の場として機能していないことを示している。故に日本ではまさしく、2000年以降米国で起こった金融市場の機能停止である株式のミスプライシングが続き、いまだに変わっていないということがお分かりになるだろう。

★図表21

この益回りと社債利回りの歴史的データは、図表22の日米利回りの推移に示している。上が日本で1966年から今日までの期間、下が米国で1929年から今日までのそれぞれの株式益回りと社債利回りのグラフである。さらに図表23の株式の益回りの対社債利回り倍率(株式益回り÷社債利回り)のグラフから、株が割高か割安か、あるいはその結果として金融市場が望ましい金利裁定を実現しているかどうかが大雑把には把握できるだろう。現在の日本では金利が超低水準となり、同倍率はほぼ10倍以上である。バブルで株価がピークをつけた1990年、同倍率は0.25と異常な低水準であったが、現在の10倍強も異常だと考えられる。

★図表22

米国で1929年以降の同倍率の推移をたどる、現在は2倍弱でまだ割安感があるのが現状である。歴史的に一番割安だった1949年に同倍率は5倍だったわけだが、その後米国でいったい何が起こったかと言えば、株価が10数年で10倍になるような劇的な資産の増加が始まった。その株価上昇の起点はまさしくこの1949年であり、ベンジャミン・グレアムが『賢明なる投資家』を書いた年である。ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』の最大の愛読者はウォーレン・バフェットで、彼は多くの著作で、他の章は読まなくてもいいから第20章を読むようにと薦めている。その第20章は、「安全域」(Safety Margin)に関する章である。グレアムはこの章で様々な例をあげながら、投資にどう転んでも安全といえるようなテリトリーがありえるのだというニュアンスのことを書いている。それがこの1949年の5倍という局面で著わされたことに意味があると考えられる。
現在の日本の状況は、1949年の米国に極めて類似している。ということはこの後、劇的な日本の株価上昇が起こるということではないか。預金金利が0%、国債利回りが0.4%、配当利回りが1.4~1.5%、株式益回りが6%というこの状況は、異常である。金融市場が最適な資本配分の場としては完全に機能不全に陥っていることを示している。

人々はこれまで10数年間、低金利は一時的でいずれ金利が上がるから、この低い株価状態は異常ではないと言い続けてきた。しかし今や世界的低金利状態の下で日本の長期金利が容易に上がらないのは明らかだ。この低金利を各国中央銀行による国債購入による人為的債券バブルだなどと評する人々もいる。しかし仮にQEが打ち出されず各国中銀の国債購入が無かったら長期金利は上昇していたであろうか。否、QEが無かったら世界は大恐慌に陥り、長期金利はさらに下落していたであろう。つまり低金利はファンダメンタルズがもたらしたフェアバリューなのであり、それに対して何がバランスを崩しているかというと、異常に低い株価なのではないか。株価の水準を上げることによって金融市場が機能し、いわゆる安全資産に眠っていた資本が循環を始める。そのようなことがこれから起ころうとしているというのが、筆者のかねてからの主張である。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 利潤率と利子率の乖離が示唆する歴史的投資チャンス~量的金融緩和がなぜ必須なのか、成功できるのか~