「上場企業が投資家を選ぶ時代~逆もありうる局面へ」

・リクシル(LIXIL)の前回の株主総会では、株主から社外取締役に、どのような活動を行って、経営をどうみているのか、について質問があった。藤森社長は、二人の社外取締役にその質問をそのまま振って答えるようにした。二人は少し驚いたようであったが、平然と持論を述べた。企業と投資家の対話において、トップマネジメントとの対話はもちろんであるが、独立社外取締役の意見が求められる場面も増えてこよう。責任は重大である。

・対話(エンゲージメント)とは、単なる話し合いではない。それを通じて理解を深めた課題には手を打って、ソリューションを見出していく必要がある。それによって収益性が高まり、企業の成長性や持続性が向上することが本来のねらいである。

・オリックスでは、株主の65%が外国人、個人投資家は5%である。浦田副社長(CFO)は、内外の機関投資家に対して、長期投資家を優先してCEOとCFOが対応するという。一方で、個人投資家を増やすべく、年2~3回であった個人投資家説明会を30回に増やしている。

・オムロンの山田社長は社長になって4年、前半2年と後半2年では投資家向け対応が少し違っているという。作田前社長からIRは社長の仕事と受け継いでいるので、常に力を入れている。しかし、前半2年は数を重視したが、後半2年は質を重視している。企業価値を伝達し、経営に取り入れる対話は続けていくが、投資家を選んで回数を減らしている。その分はIR担当役員がしっかり対応している。

・浦田副社長は、機関投資家がCEOでなければ答えられないような質問ではなく、IRの担当者で答えられるような質問ばかりされるとがっかりするという。実際、配当と自社株買いの話ばかりでは必ずしもCEOが答える必要はない。

・山田社長は。機関投資家は足元の状況など四半期の短期の話が多いという。もっと中長期の競争力の源泉に目を向けてほしいので、それに関わる戦略や課題、KPIの開示を充実するようにした。この発想は注目すべきである。

・フィデリティ投信の三瓶ディレクターは、投資家は中期計画の進捗もさることながら、その先を知りたい。長期の将来をどう考えているのか。どのような手を打っていくのだろうか。この点について答えが返ってくるようなCEOは信頼できるという。

・三井物産では、個人株主比率が20%、24万人に達する。それでも個人投資家説明会に力を入れている。個人投資家説明会に出てみると分かるが、目先の短期の質問は少ない。個人投資家は長持ちする情報を求めている。かといって、会社の事業内容を長々と説明するだけでは、よい説明会とはいえない。

・筆者が参加した個人投資家説明会で出た質問は、①各事業分野の収益性をどのように測って、経営を行っているのか、③資源分野に強いのだから、非資源分野を伸ばすといっても収益的なインパクトは少ないのではないか、③新しいブランティングをスタートさせたが、それによって社員の意識はどの程度変わったのか、社員の業績評価のしくみはどのように変えているのか、というような内容であった。

・このように個人投資家の質問はいいところをつく。機関投資家の最大の課題は、社長に対して社長にしか答えられない質問を十分しないことにあるといえよう。従来、投資家は投資する会社を選べるが、上場企業は投資家を選べない、といわれたが、今や企業価値創造に資する投資家を会社サイドが選ぶようになるかもしれない。しかし、真摯に対話をする辛口の投資家を避けるようでは、やはり市場で十分評価されないであろう。

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