アジアインフラ投資銀行問題の行方と含意、米国は屈辱からどう出るか?

(6) 日本に対する影響を考える

ミラー
日本はまだ、このアジアインフラ投資銀行に参加するかどうか決定していないのですが、日本に対する影響というのはあるのでしょうか?

武者
私はアジアインフラ投資銀行がどうなろうと、それそのものが日本に大きな影響を持つことはないと思います。恐らく、それによって一定のファイナンスが行われ、それによって一定の新興国への投資が起こり、それが日本の企業や日本経済の何がしかの需要に結び付くとしても、それはかなり限定的なものだと思います。それがないとしても日本企業に対する需要は存在する訳ですし、それそのものが日本経済に対して大きな影響を持つとは思われません。但し、最も重要なインプリケーションは、アメリカの世界戦略の大きな転換だと思います。アメリカはこれまで、先ほど申し上げましたように対中政策でEngagement and Hedge、つまり関与とヘッジ、抑止という二つの側面で対応してきた訳です。これまではEngagement、つまり中国を国際社会に招き入れる、中国の成長を世界の経済の成長のエンジンとするという形で、ややEngagementに大きく比重を置いた対応をしてきたと思います。しかし、ここまで来てしまうと、これまでのやや無防備な中国を国際社会に招き入れるという政策に反省が出てきているのは明らかです。中国そのものは、繰り返しになりますが、国内においては思想統制を強化しています。そしてまた、軍事的には対外膨張を強めています。これは、明らかに将来のアメリカと中国の衝突コースに中国が向かって進んでいるということです。早い時期にこれを抑止しないと、非常に深刻な事態に陥るという意識をアメリカのペンタゴンなどは高めていると思います。このように考えますと、アメリカはこれまでの過剰なEngagementを抑え、ヘッジを強めるということになります。そして、中国に対してヘッジを強めるということになると、最も重要な同盟国はやはり日本ということにならざるを得ないのです。今回のアジアインフラ投資銀行に対する対応を見ても、ヨーロッパ諸国は経済金融的な観点のみから、これに対して参加を表明している訳です。しかしアメリカが警戒を持っているのは、経済金融的な側面というよりはむしろ地政学、軍事的な側面です。この地政学、軍事的な側面からアメリカとの警戒心を共有している国は、アジアにおける日本、台湾、ベトナム、フィリピンなどの諸国なのです。このような国とのタイアップを強化することで、中国の膨張を抑止するというようにアメリカは重点を移さざるを得ないと思います。このようなことで、日米同盟はより一層強化される可能性が強まります。

今回5月に訪米する安倍首相は、日本の首相としては初めて上下両院の合同会議でスピーチするということになりました。このような破格の安倍首相に対するアメリカの対応は、アメリカが今の地政学的な局面において日本との同盟関係の強化を著しく必要としていることの表れであるということは明らかです。アジアインフラ投資銀行から引き起こされた一連の動きは、日米同盟を強化する方向に動かざるを得ないというのは明らで明白なトレンドだと思います。そして、これは日本経済と日本の株式に大きなポジティブな影響を与えるとみていいと思います。

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