アジアインフラ投資銀行問題の行方と含意、米国は屈辱からどう出るか?

(2) 中国のAIIB創設提案が成功した理由

ミラー
これは歴史的な転換点ということでしょうか?米国の一極覇権の終わりと言いますか、そういうことなんでしょうか?

武者
そうですよね。これまではアメリカが世界の全てルール作りの中心にあり、アメリカの意向に沿って動いてきた訳です。このことをとってアメリカの一極支配の終わりとか、アメリカの衰退の始まり、中国の台頭の始まり、という風に世界の秩序そのものがこれをきっかけとして変わるのだという見方が出ているということは事実です。但し、私は、そのような見方は著しく的を外していると思います。恐らく今回のAIIBの中国のイニシアティブが成功したのには、二つの理由があったと思います。一つは、世界にそういう需要があったということです。しかし、既存のIMFや世銀体制は、そのような世界の需要に十分応えられていなかったということがあったと思います。具体的には、今世界は、膨大な資金余剰に悩んでいる訳です。ですから、ドイツも日本もアメリカも、世界主要国の長期金利は著しく低下しています。このようにお金が余っているという現実がある一方、もう一つの世界の問題は、需要が足りないということです。お金が余っているにも拘らず、IMFは世界の経済が需要不足によって長期低迷に陥るというリスクを指摘しています。従って、今世界に余っているお金を需要につなげることで世界の経済成長を押し上げるということが必要ですけれども、最も需要が強く存在している地域は何かというと、今大きく発展しているアジアにおけるインフラ投資です。従って、余っているお金をアジアのインフラ投資に振り向けることで、世界の経済成長を促進するという、この大きなフレームワークは極めて合理性のあることで、中国の提唱したアジアインフラ投資銀行は、そのようなニーズにピッタリはまる。これが第一に見事に成功した一つの背景だったと思います。

それからもう一つ、中国の試みが成功した背景には、アメリカのミス・マネジメント、アメリカの対応の悪さがあったと思います。アメリカは先ほどご説明したような、世界の余剰資金の活用という点で大きなボトルネックが存在していたにも関わらず、それをきちんと処理するという点で極めて消極的でした。既存の体制であるIMFや世銀を強化して、余剰資金をもっと新興国のインフラ投資に注入できるような対応をすべきだったと思われるわけですけれども、IMFや世銀の改革に最も消極的だったのはアメリカで、そのために新興国やヨーロッパ諸国、あるいは中国からは大きな不満が出ていたということも事実です。つまりアメリカは、自らの消極的な国際金融改革に対する態度の結果もたらされた苦水を、今飲まされているという様相もある訳です。従って、中国の今回のイニシアティブの意外な成功は、今考えてみると十分に理屈の通ったことであったと言えると思います。

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