新潟農業とイノベーション・ジレンマ(その2)‐産地間競争の優位は揺らぐか?‐

4、新潟の米モノカルチャー構造の問題点

 コメの全国生産に占める新潟県のシェアは、1960年代の6%台から、2000年代には9%台に高まり、現在も8%台の高さにある(生産額ベース)。全国シェアの上昇は喜ぶべきであろうか?(農業全体のシェアは4%台から3%台に低下)。

 新潟県の農業は“コメ特化型”である。これが問題である。
 コメ農業は、消費の減少が続いており、また政府保護の後退も必須の情勢であり、一番の問題児である。新潟農業はこの問題児を大きく抱え込んでいるので、今後の農業を取り巻く環境変化があれば、一番大きな影響を受けることになる。
 
 第1に、消費減少、減反廃止(2018年度)に伴い、コメの価格は下落の可能性が大きい。
 第2に、産地間競争の激化。
 第3に、水田農業のビッグ・イノベーションの進行。
 
 前回(https://money.minkabu.jp/48954)述べたように、新潟県は全国に比べると、(1)農家の階層分解が進まず、規模拡大の遅れが見られる。これはコストダウンが進まない要因となる。(2)一方、品質面では、北海道はじめ他産地のキャッチアップが進んでいる。(1)(2)から、新潟のコメ農業は産地間競争における優位性が後退していく。新潟産コシヒカリは現状、圧倒的な競争力を持っているが、今のままであれば、今後競争力が揺らいでいく可能性がある。
 
 もう一つ大きな問題は、水田農業のビッグ・イノベーションに適応できるかどうかだ。従来は、水田はコメを作っていればよかった。しかし、「水田だからコメを植える」という時代ではなくなりつつある。消費減少を前に“転作”の増加は避けられない。主食用から非主食用(飼料用米、米粉等)への転換、トウモロコシ等他の作物への転作に、コシヒカリ産地はうまく対応できるであろうか。また、乾田直播に技術を切り替え、農業機械を田畑兼用で使用することによりコストダウンを追求する動きも出てきている。
 
 コシヒカリという強い品種を持っていたが故に、新潟はこの水田農業のビッグ・イノベーションの進行に出遅れているという印象がある。新品種開発競争の中でも、超高級品種コシヒカリを抱えていたが故に、停滞感がある。まさしく、イノベーション・ジレンマの帰結である。
 
 また、コメは政府の庇護のもとに農業を続けてきたわけであるから、農家の経営感覚が磨かれていない可能性がある。大転換の時代に、他産地並みにうまく対応できるかどうか懸念が残る。こうした心配は杞憂であることを願う。2017年デビューを目指して、新品種開発を急いでいるようだが、期待したい。

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