ピケティ氏、水野氏を超える論点、r1>g>r2をどう解くか

ならば、それだけで今の経済情勢が理解できるかというと、違います。それは、現在起こっていることの半面です。もう一つ起こっている現実は、成長よりも資本のリターンが低いということです。資本のリターンには二通りあります。経済の成長率よりも高い資本のリターン、これを「r1」とします。しかし他方で経済の成長率より低い資本のリターン「r2」ということも起こっているのです。この「r2」は何かというと、長期金利です。各国の長期金利は史上最低の水準です。日本の長期金利が今、0.3%台。ドイツの長期金利は、もう0.1%台、米国でも2%未満というように空前絶後の低金利が続いています。となると、一体何が起こっているのでしょうか?一方で、資本のリターン、企業の利益は経済の成長率よりもはるかに大きい。従って、トマ・ピケティ氏が言っているように、お金持ちが儲かる、企業が儲かる。これが不公平だという現実が起こっているのです。同時に長期金利は経済の成長率より低いということが起こっています。金利が経済の成長率よりも低いという現実を捉えて説明しているエコノミストもいます。例えば、水野和夫さんなどは、資本主義はいよいよ終焉を迎えているということを言うんですけど、彼の議論は、経済の成長率よりも資本のリターンがどんどん下がっている。長期金利の著しい低下は資本がリターンを上げられなくなっている証拠であり、資本主義経済の退廃そのものだと言う訳です。水野和夫さんの議論はトマ・ピケティ氏とは全く逆の成長率よりも資本のリターンが低いという議論です。こちらに着目すると、そういう議論が成り立つ。あちらを注目すると、トマ・ピケティ氏のように、どんどん持てる者が豊かになり、格差が拡大するということが起こっている。この両者は、実は今同時に起こっている現実です。ということは、片一方の不等式だけで今の経済は説明できません。

今の経済を説明する最も適切な不等式は一体どのようなものかと言うと、「r1 >g> r2」、「r1」が企業の儲け、利潤率です。そして「r2」は企業の資本コスト、金利、利子率です。そして「g」が成長。つまり、2つの不等式が同時に起こっているのが現在の情勢の大きな特徴なんです。先ほど申し上げましたように、企業は大変儲かっている。利潤率が高い。従って、配当率は2%、企業の益回りは、今6~7%、そしてROEは10%というように企業の利潤率は極めて高いです。では、企業が商売をやる時に必要な資金の調達コストはというと、国債の金利は日本もヨーロッパもゼロ・パーセント台。アメリカだって1%台です。つまり、この両者との乖離が著しく大きくなっている。これが今の情勢の特徴です。普通は利潤率と利子率というのは、ほとんど連動すると考えられ、実際そうでした。何故なら、景気が良くて企業が儲かる時には当然金利が上がる。従って利潤率と利子率は、本当は同じものです。本来だったら「r1= r2」。これが普通の教科書的な経済の姿です。しかし、今起こっているのは「r1」と「r2」が極端に乖離し、そのサンドイッチになって成長率が停滞している。この現実をどのように解釈するかということが、今の経済情勢を理解する最も重要な鍵なのです。

★図表1-2

★図表3-4

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> ピケティ氏、水野氏を超える論点、r1>g>r2をどう解くか