新潟農業とイノベーション・ジレンマ‐大変革か衰退かの岐路に立つ‐

3、コメ過剰・米価下落の時代

 新潟県は、全国有数の農業県として発展してきた。良質米コシヒカリの価格競争力の成果が大きい。しかし、時代は大きく転回しようとしている。
 人口一人当たりコメ消費量(純食料)は、1962年の年118kgから、2013年には57kgと低下してきた。米を食べる量が半分以下に減ってきたのである。それに加えて、最近は高齢化と人口減が重なっている。その結果、米の国内食料消費量は2003年度の894万㌧から、2013年度には800万㌧と、この10年間で94万㌧も減少した。

 国内消費の減少が続くという事は、米は過剰供給の傾向が続くことを意味する(米が輸出産業化しない限り)。長期趨勢としては米価の下落は避けられないであろう。図1はそれを示唆している。

★図1 米価の長期趨勢

◇高米価と経営サイズが階層分解を抑制
 従来、新潟は米モノカルチャー型でありながら、農家は比較的豊かであった。越後平野は農家の経営規模が比較的大きく、加えて米価が高かった。農家の経営耕地規模は2~3haと大きく(都府県の典型は1ha未満)、米価も他産地の1万5~6000円に対し、越後平野産コシヒカリは1万8000円であった。一方、中山間地の魚沼地区は、経営サイズは小さいが(1ha未満)、魚沼ブランドは2万5000~3万円の高値であった。

 農家収入を試算すると下記のようになる。
  越後平野  2ha、単収9俵/10a、18,000円/60kg ⇒粗収入324万円
  魚沼地区  1ha、単収9俵/10a、25,000円/60kg ⇒粗収入225万円
  都府県平均 1ha、単収8表/10a、15,000円/60kg ⇒粗収入120万円

 新潟の稲作農家は収入が多い。ほとんどが兼業であるから、上記の収入のほかに兼業所得がある。先に、新潟は大規模農家への土地集積が少し遅れ気味であると指摘したが、それは合理的な理由があったのである。農家の所得水準が比較的高い以上、離農に伴う土地集積が進まないのは当然だ。農家の階層分解が遅れているのは、上述のような恵まれた条件が存在したからである。土地の流動化は、農家の高齢化と農機の更新時期の到来を待つことになる。

 しかし、いま、時代は転回し始めた。第1に、過剰供給、米価下落の時代に入った。新潟農業を支えた高米価という要因に陰りが生じてきた。第2に、有力なライバルが現れてきた。特に北海道の稲作の台頭が著しい。例えば、北海道の「ゆめぴりか」は食味が良く、新潟産の一般コシヒカリや岩船産・佐渡産コシヒカリよりも高価格で取引されている。しかも、経営耕地規模は北海道の方が圧倒的に大きいので、コスト競争力も高い。北海道産の食味向上に伴い、越後平野の稲作は有力なライバルが現れたと言えよう。新潟農業の豊かさを支えてきた要因が崩れつつある。

 減反に苦しんできた新潟農業であるが、それはまだ高米価の下での話、「氷雨」程度のものであったろう。しかし、今後は新しい試練の時が訪れるであろう。今までのブランド効果による高米価等の好条件がむしろ足枷になり、イノベーション競争上、他産地に遅れる危険がある。敗者転落の危険である。

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